マリヤンカ mariyanka

日常のつれづれ、身の回りの自然や風景写真。音楽や映画や読書日記。手づくり作品の展示など。

ギャンブル依存国家

2020-12-12 | book
図書館で目についた新書「ギャンブル依存国家・日本」を借りてきました。
著者は「国銅」「天に星 地に花」などとても面白い!歴史小説や
「閉鎖病棟」などの医療小説を書いている「帚木蓬生(ははきぎほうせい)」です。
現役の精神科医でもあります。

この新書は精神科医として、ギャンブル障害に苦しむ患者と、
その家族の地獄の苦しみを、長年見てきた医者として、
ギャンブル天国日本の実態を鋭く告発しています。
ギャンブル症の実態と治療と経過などについても詳しく書かれています。

日本のパチンコと公営ギャンブルを合わせた年商は25兆円で、
世界一のカジノを持つマカオの年商4兆円超と比べると、そのすごさが分かります。
日本にはマカオが5カ所以上存在していることになります。
パチンコ店はローソンの店舗数と肩を並べていて、全国に約1万2000件だそうです。
そして日本のギャンブル障害者は500万人超、
厚生労働省が2014年に発表した数字だそうです。

天平の昔から日本では賭け事を禁止してきました。
ギャンブルによって国の土台が腐っていくからです。

しかし、今、農水省は競馬、国交省は競艇、経産省は競輪とオートレース、
文科省はスポーツ振興くじ、とギャンブルの胴元になっています。
特にパチンコ、スロット業界と警察との癒着は根深く
天下りなどの自分たちの権益を守るために、
犯罪とギャンブルとのつながりを公表していません。
著者は「宝くじ」や「スポーツ振興くじ」に巣食う利権についても書いています。
そして最後に「我が祖国を、これ以上重篤なギャンブル依存国家にしてはいけません。」と書いています。

政治が責任を放棄して何でも「自己責任」で片付けようとしています。
諦めじみた気持ちが蔓延しています。
そんな中での、著者の医師としての真摯な訴えが籠められたこの本の存在は貴重です。
多くの人に知ってほしい内容です。
( 6年前に出版された本なので、数字に変化はあると思いますが、
良くなっているとはとても思えません。)

『ギャンブル依存国家・日本
パチンコから始まる精神疾患』
帚木蓬生 著  光文社新書 2014









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