蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

かわいた、風景

2008-08-09 | わたし
退屈な一日。
何もすることが、ない。
これは、実は、ものすごく贅沢な愚痴だ。


ふと、先日、中之島の国際美術館で見た、
現代芸術家(日本人)の作品を思い出した。
黒い、やたら大きなカンバス一面に、白い小さな文字で、びっしり
「何もすることがない、何もすることがない、何もすることがない・・・」
と埋め尽くされていた。
笑ってしまってはいけないのだが・・・笑いそうになった。
難解な作品ばかりが続く中、緊張を緩和する、ネタか?

作者は真剣に芸術を追求している、たぶん、おそらく。
何もすることがない現状を、膨大な時間を割いて、
「何もすることがない」と表現しているが、
そのせいで、超多忙だ。
深い・・・???のだろう・・??・・きっと・・・

犬が自分の尻尾を追いかけて、ぐるぐる回っている図を連想した。
人間の一生も、似たり寄ったり?


さて、本題に戻る。
何もすることがない、なんて、・・・・
本当のところは、私はとても満たされている。
世の中が面白くない人々には、申し訳ないのだが、
私は、退屈を楽しんでいる。

しかし、電話は時折、鳴るし、
(ほとんどは、セールス。ごくタマに、ちゃんとした電話があるので、
留守録設定にしていると、あとでクレームが来る。)
配達人は宅配品を持ってくるし、郵便人は「ハンコください」
と待っているし、ゲリラ的に私の優雅な時間を脅かす。
居留守を使えばいいのだが、また、出直してもらうのが、わずらわしく、
郵便屋さんと、宅急便屋さんには、渋々玄関先に出て行く。

いただき物をすると、このシーズン、多いときは食べ切れないので、
どこかに持っていかなければならない。
消費期限があるから、時間に追われる。
おすそ分け先を工面するのが面倒な時は、
自宅で消費し尽くすときもあるが、結構苦戦している。
大好きだったものが、嫌いになったりする。

庭の手入れの大変さは、重々知っているので、
庭の木々に水をやらなくてもいいように、草を抜かなくてもいいように、
テラコッタをびしっと一面敷き詰めた。
インナーテラスにもイタリア製テラコッタを敷いているのだが、
なぜか外から土が入ってくるようになり、想定外の侵入物に手を焼いている。
輸入扉や窓は日本の気候に合わないようで、トラブルも発生する。
扉の部品調達は、1年越しだ。

植物といえば、玄関先のシンボルツリーと、公道側に植えた低木類、
庭の、やたら巨木になってしまって持て余しているモミジ、
その他、少しばかりの木々があるだけだ。
(お花類は、季節ごとに咲き終わり、完結)
でも、草があちこち伸びるし、
気付けばガレージの屋根に蜂の巣が作られていたり
猛暑で、去年植えたハナミズキの葉先がカラカラになっていたり
休めない。
まあ、ほっておけばいいハナシだが、そうもいかない。


パソコンに、かじりつく。
パソコンは、どんなにぶっ通しでも、ありとあらゆる分野でも、
文句を言わずに相手をしてくれる、24時間対応のお友達だ。
ネットサーフィンはしない。
ニュースをざざっと見て、お気に入りのブログをチェック。
かたや、リアルタイムの株価、為替の動きに目が離せない。
充実のメールタイムは、ゆっくり考え、自分と向き合う。
くだらないブログも覗く。
これは、怖いもの見たさ。
くだらなさを感じている自分は、まだ意識が正常に働いている証拠。

私は純粋で美しいものだけを見て、触れて、生きていきたいのだが、
どうも、自分には、へんな虫が巣食っていて、
余計なものにも、首を突っ込んでしまう。
世の中の美しい上澄みだけをチョイス、なんていうのは、
マヤカシとわかっているからだ。
清濁併せ持って、生きていくのが人間だと思っている。
自分を騙して、うっとりする器用さが、私には欠如している。

(しかし、古今東西、ジャンルを問わず、
人々を感動させる美しいものには、心洗われる自分がいる。)

世の中には、欺瞞が満ちている。
欺瞞と隣り合わせに生きていかなければいけないのは、
業を背負って生きている人間の宿命。
単純に純粋な善人が、心の底から羨ましい。

実に乾いた感性の持ち主なのに、涙腺はいたって弱い。
クールになりきれない。

女同士の足の引っ張り合いは、恐ろしい。
女性の戦いには、「なりふり構わず生活密着型」と、
後ろ盾のカサを着た「静かな火花飛ばし型」がある。
そういう世界では、私は、絶対に生きていけない。

私は「生活感がない」とよく言われる。
それはそれで、いい。

平穏無事、が、好き。
退屈な日があるから、刺激的な日が際立つ。
行動する日に向けて、静かに気力を蓄える。

なにもない日は、それだけで幸せを感じる。
そう思えるようになったのは、つい最近だ。