蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

蟹かにツアー 

2010-03-02 | 
なんばや梅田のバス集合場所には、蟹ツアーバスが10台近く並んでいる。
日曜日の朝、7時半。集合したものの、どのツアーも、みんな蟹ツアーなので、
自分の参加ツアーの添乗員さんは、どの人だかさっぱりわからない。
集合場所の女性用トイレは、長蛇の列。
集合時間に余裕を持って来たのに、トイレの順番待ちで、ギリギリになってしまった。
待ち時間中ずっと、前に並んでいる女性が友人らしき人に、
延々と息子さんの離婚話を微に入り細に入り、話していた。
待っている間に、読み切り小説の一話が、完結したかんじ。
トイレで息子の離婚話・・・女性は、デリケートな人もいるけれど、そうでもない人もいるようだ。
後になって思えば、それは、このバスツアーを象徴していたような気がする。

私が参加したのは、京都府の北西に位置する、間人(たいざ)を訪れ、蟹を食べるコース。
そこの間人蟹は、有名だ。
間人港で水揚げされた松葉ガニのことを間人蟹というが、
他の蟹と識別するために、専用のタグが付いている。


水揚げ量を重視して大型船で何日も停泊する漁とは違い、
鮮度を重んじて日帰りで帰港するため、漁獲量が少なく、それが間人蟹が、幻の蟹と言われる所以らしい。
ちなみに、間人という地名の由来は、聖徳太子の生母である穴穂部間人皇后の
当時のエピソードにちなむもので、六世紀の末にまでさかのぼるそうだ。

料理旅館に、バスで押しかける。
大阪からのバスツアー客の団体さんを迎えるのは、こじんまりした旅館だった。
明治元年の創業だという当時を偲ばせる品々がフィスプレイされていたり、壁に貼ってあったり。



趣ある旅館を想像していたが、新しく建て替えてあり、ちょっと建築資金不足かなと感じる。
このような鄙びた地には、大きな資本は動かないのだろう。

蟹は、生で食べる、焼く、しゃぶしゃぶ、カニチリ・・・、
たっぷり、この季節ならではの間人蟹の味を堪能できる。
甘く、とろけるような美味しさ。
蟹好きには、たまらない。
はるか遠くからバスに乗ってやってきて、目的の蟹を胃袋に納めて、満足して大阪に帰って行く。

帰りに、ちりめん織工場や、お土産屋さんにも寄った。
京都最北端の、すっきりした古い町並みは、清潔感があり、
海に面する地で暮らす人々の真面目な営みの積み重ねが感じられた。





(ちょっと、ここで coffee breakです)


ただ、旅館の規模が小さいから仕方ないのだろうけれど、
そして、蟹シーズンで、人手不足なのだろうけれど、
自分がいつも行き届いたサービスに慣れていることを再認識した。
目に見えない気配り、サービス、快適さを提供してくれることが、一流のサービスというもの。
決して押しつけがましくないことも、重要だ。
あれ?と、不便だったり、疑問に感じたり、気になったり、そういうマイナスのことを感じて、
初めて今まで受けていたサービスが、良いものだったということがわかった。

例えば・・・
トイレには、フックが付いていないので、バッグを掛けられない。
バッグを置く場所もないので、バッグを持ったまま、不便極まりない。
終わった食器を全部下げてくれない。(テーブルには、空のお皿がちょこちょこ残っている)
雑炊もまだ作っていない段階から、もう、デザートが出てくる。
お茶が出てこない。(自分で取りに行って、自分で入れて飲みました)
爪楊枝が用意されていない。

18,000円の日帰りツアーなので、そんなに安すぎるということもないと思う。
蟹の内容を重視、充実することで、その値段がついたのだろうか。
旅館は地域の小さなところ。
こじんまりと、素朴で、地域色が出て良い、と言えば、そう言えるのかも知れない。
ただ、色々あちこち出歩いて、ピンからキリまで知ってしまうと、
快適であることに慣れてしまい、ちょっとしたことに不満を感じてしまう。
快楽や欲求は、追求するものではない、ということだ。
あくなき贅沢心は、弊害をもたらす。
成長し尽くした先進国みたいなもの? 
次なる成長分野を模索、確立しなければ、生き残れない。
(→ハナシ、それてます。一人でどこへ行く?)



人材不足? 優秀な人を引き抜いて、従業員教育すれば、鬼に金棒だろうが、
そんなゆとりは、ありそうもない。
若い後継者が不在だと感じた。
「素朴」と、「サービスの悪さ」は、違うと思う。
サービスを徹底するには、やはり、お金、人材、経営者の方針、
そのためには、ひいては地域振興策、助成金、政治の力が必要だと感じる。

せっかく蟹は美味しかったのに、なんだか惜しいような気がした。
ついでに、文句を加えるなら、バスが狭い。
日程の時間配分が、忙しない。
追われるようにトイレに行った記憶ばかりが強烈に残る。
それが、団体バス旅行というものなのだけれど。
しかし、誰と一緒に行くか、が、大きい。(今回、一緒に行った人が良くなかった・・・)
それが嫌なら、自分独自で企画して行けばいいのだろうけれど。

そんな技量もないくせに、文句ばかりは一人前。
それにしても、朝早くから、夜遅くまで、身動きできないバスとトイレ通いに、疲れました。
「本場の間人蟹を食べる」その一点だけを目標にするのであれば、それは満たされたが。
蟹好きの人なら、一生のうちに一度は味わってみる価値のある間人の蟹。
その貴重な体験をすることができたことは、有難いし、幸せなことだ。

食事もさることながら、快適性を重視する傾向にある私。
ダイナミックで、量も多く、味さえよければそれでいい、というわけにはいかない。
もちろん、味が良くないのは、論外。味は、必須第一条件だが。
いかにも「女性好み」という枠にすっぽり入ってしまう。
楽しみの枠を自分自身で狭めている。
難儀だなぁ・・・。






長文過ぎて、うんざり、お疲れ様でした。
クリックする力は、果たして残っているでしょうか?
というより、ココ(最後)まで読まれた方、おられるかしらん・・・?
そっちのほうが、不安です。(反省も含め)