ある仕事仲間、外注ブレーンの一人であるY氏。
彼は会社勤務後に独立して、フリーで仕事を請け負って、30年近くになる。
最近はガタンと受注量が減り、アルバイトを始めた。
バイトは、頭を使わなくていい単純作業なので、最初の頃は、気分転換のようにやっていた。
本職は、頭も感性も不可欠な特殊技能を要するものなので、
大勢の女性たちが働くその職場での軽作業を楽しむかのようだった。
あれから4年。
昨日、本来の職の方での納品のために弊社を訪れてきた。
彼は、疲れきった顔。いつも笑顔が絶えない人なのに。
本職の方は、益々厳しく、業界も冷え込み、さらに受注量が減って、
今やアルバイトが本職となり、本職がアルバイトとなっているが、
その今の(逆転)本職の方で、イジメに遭っているらしい。
ばあさんたちが集団で彼をいじめるとか。
「一人につき、20才のお嬢さんが3人分。そりゃ、すごいで。30人いるから90人分や。」
つまり、ほとんどの女性たちは60才ぐらいらしいが(世間的には、オバサン)、
その中でも、彼は男性ということで異分子。
最初は、頭を低くして、彼女たちに可愛がられるよう、努力していた。
彼女たちも、そこそこ受け入れてくれたようだった。
Y氏は、作業内容を説明してくれたり、うまくいっているようで、当時は楽しそうに話していた。
が、徐々に、不調和音が生じ始めていたようだ。
ばあさんたちは、毛色の違う異分子は排除したいのだろう。
陰湿に、ねちねち集団でイジメてくるらしい。
神経が持たない、と彼は嘆いている。
同じ職場で、彼の娘さんも一時、バイトをしていたが、1週間で辞めたとか。
やはり同じようなイジメに遭い、とても保たなかったそうだ。
20代前半の娘さんを、集団で60代のオババ達がイジメる。
そりゃあ、娘さんも音を上げるだろう。むしろ1週間もよく保ち堪えたほうだ。
奥さんも、その職場に関連するスーパーで働いたが、半年で辞めたそうだ。
彼は、辞める気持ちがよくわかると言う。
Y氏はもう年だし、どこも雇ってくれるところはないと言う。
なので、じっと耐えるしかないそうだ。
カントリー・ウエスタンっぽいファッションに身を包む、180センチ、恰幅のいい彼が、
大勢のばあさんたちにイジメられていると思うと可哀想だ。
辞めたくても辞められない、彼の事情も気の毒だ。
彼は、若い時は給料が安かったし、企業に勤めた期間が短かったので、年金も、涙ほど。
大酒飲みで、時々ギャンブル、お金には執着もしないし、ほとんど使ってしまっているように見えた。
憎めない楽天家なのだが、人生の後半に、「アリとキリギリス」のキリギリスになってしまったかも?
そんなキリギリスを、集団でイジメるなんて、そんなこと、しないでくださいよ。おばあさんたち。
ただし、これはY氏から一方的に聴いた話なので、実情は、微妙に違うのかも知れない。
かつて、私も彼と仕事のやりとりで、結構困ったりもした。
なので、おばあたちの言い分もあるかも。
娘さんが辞めたのも、「イジメられた」と取るか、「根性が足りなかった」と取るか。
おばあたちも、厳しい背景を抱えて働いているのだろう。
「頭なんか全くいらない、誰にでもできる、あんな仕事。
代わりの人間なんか、掃いて捨てるほどいる。歯車の一つに過ぎないんや。」
とY氏は、吐き捨てるように言うが・・・。
元々、独自の個性や能力を活かした仕事をこなしてきたY氏には、屈辱的な仕事だろう。
おばあたちの中にも、そういった特殊能力を持ちながら、軽作業に従事している人もいるかも知れない。
ただ、そんなことは表に出さず、仕事と割り切っているのかも。
実情、現状は、想像するしかないが、いずれにしても、厳しい世の中だ。
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彼は会社勤務後に独立して、フリーで仕事を請け負って、30年近くになる。
最近はガタンと受注量が減り、アルバイトを始めた。
バイトは、頭を使わなくていい単純作業なので、最初の頃は、気分転換のようにやっていた。
本職は、頭も感性も不可欠な特殊技能を要するものなので、
大勢の女性たちが働くその職場での軽作業を楽しむかのようだった。
あれから4年。
昨日、本来の職の方での納品のために弊社を訪れてきた。
彼は、疲れきった顔。いつも笑顔が絶えない人なのに。
本職の方は、益々厳しく、業界も冷え込み、さらに受注量が減って、
今やアルバイトが本職となり、本職がアルバイトとなっているが、
その今の(逆転)本職の方で、イジメに遭っているらしい。
ばあさんたちが集団で彼をいじめるとか。
「一人につき、20才のお嬢さんが3人分。そりゃ、すごいで。30人いるから90人分や。」
つまり、ほとんどの女性たちは60才ぐらいらしいが(世間的には、オバサン)、
その中でも、彼は男性ということで異分子。
最初は、頭を低くして、彼女たちに可愛がられるよう、努力していた。
彼女たちも、そこそこ受け入れてくれたようだった。
Y氏は、作業内容を説明してくれたり、うまくいっているようで、当時は楽しそうに話していた。
が、徐々に、不調和音が生じ始めていたようだ。
ばあさんたちは、毛色の違う異分子は排除したいのだろう。
陰湿に、ねちねち集団でイジメてくるらしい。
神経が持たない、と彼は嘆いている。
同じ職場で、彼の娘さんも一時、バイトをしていたが、1週間で辞めたとか。
やはり同じようなイジメに遭い、とても保たなかったそうだ。
20代前半の娘さんを、集団で60代のオババ達がイジメる。
そりゃあ、娘さんも音を上げるだろう。むしろ1週間もよく保ち堪えたほうだ。
奥さんも、その職場に関連するスーパーで働いたが、半年で辞めたそうだ。
彼は、辞める気持ちがよくわかると言う。
Y氏はもう年だし、どこも雇ってくれるところはないと言う。
なので、じっと耐えるしかないそうだ。
カントリー・ウエスタンっぽいファッションに身を包む、180センチ、恰幅のいい彼が、
大勢のばあさんたちにイジメられていると思うと可哀想だ。
辞めたくても辞められない、彼の事情も気の毒だ。
彼は、若い時は給料が安かったし、企業に勤めた期間が短かったので、年金も、涙ほど。
大酒飲みで、時々ギャンブル、お金には執着もしないし、ほとんど使ってしまっているように見えた。
憎めない楽天家なのだが、人生の後半に、「アリとキリギリス」のキリギリスになってしまったかも?
そんなキリギリスを、集団でイジメるなんて、そんなこと、しないでくださいよ。おばあさんたち。
ただし、これはY氏から一方的に聴いた話なので、実情は、微妙に違うのかも知れない。
かつて、私も彼と仕事のやりとりで、結構困ったりもした。
なので、おばあたちの言い分もあるかも。
娘さんが辞めたのも、「イジメられた」と取るか、「根性が足りなかった」と取るか。
おばあたちも、厳しい背景を抱えて働いているのだろう。
「頭なんか全くいらない、誰にでもできる、あんな仕事。
代わりの人間なんか、掃いて捨てるほどいる。歯車の一つに過ぎないんや。」
とY氏は、吐き捨てるように言うが・・・。
元々、独自の個性や能力を活かした仕事をこなしてきたY氏には、屈辱的な仕事だろう。
おばあたちの中にも、そういった特殊能力を持ちながら、軽作業に従事している人もいるかも知れない。
ただ、そんなことは表に出さず、仕事と割り切っているのかも。
実情、現状は、想像するしかないが、いずれにしても、厳しい世の中だ。
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