夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『青天の霹靂』

2014年05月27日 | 映画(さ行)
『青天の霹靂』
監督:劇団ひとり
出演:大泉洋,柴咲コウ,劇団ひとり,笹野高史,風間杜夫,柄本佑他

天気が良すぎて暑かった封切り直後の日曜日、
午後2時から箕面のメイプルホールで友人が所属するマンドリンクラブのコンサート。
友人といっても私よりかなり年上、還暦を過ぎて何年にもなる人。
にもかかわらず、その人のお母様と私の母が40年前に同じパン教室にかよっていたと知ったときは、
なんたる世間の狭さよと驚き呆れ、嬉しくなったものです。

という話はさておき、コンサートの前に映画を1本観たい。
伊丹へ行けば、同日まで伊丹郷町館にて開催中の『戦火を逃れた花嫁衣裳展』も観られる。
TOHOシネマズ伊丹へは川西能勢口経由でJRを利用するほうが楽だけど、
阪急で行けば、STACIA PiTaPaの“電車に乗って映画を観に行こう”のキャンペーン中。
300ポイントを貰うために歩いてみるかということで。それにしても暑いがな。(--;

ちょうど40年前にタイムスリップする話で、なんとなくこの日に観るのはタイムリー。

四十路目前の独身男・晴夫(大泉洋)は売れないマジシャン。金もない、女もいない。
さびれたマジックバーに勤め、居眠りする客の前で今日も手品。
後輩がテレビで活躍する姿をみじめな気持ちで見つめている。

そんな晴夫のもとへ、絶縁状態にあった父親・正太郎(劇団ひとり)の訃報が届く。
ホームレスとなっていた正太郎は、河川敷で死んでいたらしい。
警察から呼び出されて遺骨を引き取った晴夫は、正太郎が住みついていた河川敷へ。
青空のもと立ち尽くしていると、突然の雷に打たれる。

目覚めた晴夫はなんと40年前の浅草にタイムスリップしていた。
途方に暮れる彼が行き着いたのは演芸場の雷門ホール。
雇ってもらえないかと支配人(風間杜夫)に飛びつくと、
誰に芸を習ったでもないという晴夫のことなど使えないと言う。
そこで、スプーン曲げをやって見せる晴夫。
ユリ・ゲラーが世間を騒がす以前のこと、ステージに立たせてもらえることに。

しゃべりの苦手な晴夫とコンビを組むのは悦子(柴咲コウ)。
ところが悦子の具合が悪くなり、出演できそうにもなくなった日、
数日間行方知れずだった悦子の夫が戻ってくる。
悦子に代わって晴夫とともに出演するという夫に会ってびっくり、それは正太郎で……。

ベストセラーとなった『陰日向に咲く』と同じく、これも原作は劇団ひとりの小説。
映画化を他人に預けた前作が気に入らなかったのかどうかはわかりませんが、
本作は劇団ひとり自らがメガホンを取った監督デビュー作。

まず96分という尺の短さに好感が持てます。
無駄に笑いを取ろうとしたり泣かせようとしたりすることなく、コンパクトに。
それでいて、晴夫と正太郎のコントのごときマジックは楽しくて、
観客の間でも大ウケしていました。

ろくでなしの父親がほかに女をつくったせいで、
母親は自分を産んですぐに出て行ってしまったと聞かされていた晴夫。
こんなみじめな人生を送っているのは両親のせいだと思っていたのに、
そうではなかったと知ってしまいます。
正太郎がラブホテルの清掃人になった理由をボソッと言うときなど、やっぱり涙。

大泉洋、柴崎コウ、劇団ひとり、いずれも○。
笹野高史はすっとぼけた産婦人科医、柄本佑もマジックバー店員としてちらりと。
プロマジシャン、ナポレオンズのパルト小石が出ているのも楽し。
昭和の雰囲気を満喫できます。

あなたが、私の生きる理由。

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