goo blog サービス終了のお知らせ 

夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2017年6月に読んだ本まとめ

2017年07月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
“読書メーター”ではこんなこともできるそうなので、とりあえず試しにUPしてみます。

2017年6月の読書メーター
読んだ本の数:18冊
読んだページ数:5550ページ
ナイス数:722ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly

■卒業するわたしたち (小学館文庫)
人生における「卒業」は学校に限ったことではなく、こんなにもいろいろ。好きな人との別れや想いを断ち切ることも、ある種の卒業。1編が15頁前後、さくさく読める卒業話が13編。親離れ子離れにまつわる「母の告白」と、大好きだった二股男との再会を描く「全て」が私は特に好きでした。高校在学当時に短歌集でデビューを飾った著者だから、それぞれの冒頭には短歌付き。巻末の対談相手は朝井リョウ。これを読むと、どの話も面白さが向上します。卒業してから気づく、その場所が、自分で考えていたよりもずっと、愛おしい空間だったということ。
読了日:06月30日 著者:加藤 千恵
https://bookmeter.com/books/10169733

■極限トランク (PHP文芸文庫)
半ば惰性で読んでいた“悪夢”シリーズ。いつもそこそこ楽しいけれど、もうそろそろええわと思い、『水族館』は読まずにこちらの“極限”シリーズへ。四十路男が美女をナンパして浮気中、現場に何者かが乱入して殴られ失神。目覚めると全裸で車のトランクの中。隣には同じく全裸の美女、でも死体。私が小説に求めたい切なさも何もあったもんじゃないけれど(笑)、最後までネタは割れないのが木下半太のスゴイとこ。誠実さと笑いは最大の武器になるという、思わずうなずきたくなる教訓も挙げられていたりして。とりあえず次の『冷蔵庫』は読もかな。
読了日:06月28日 著者:木下 半太
https://bookmeter.com/books/11088132

■舞台 (講談社文庫)
金持ちでイケメンの29歳がNYへ。これまでの人生、はしゃぐと失敗してきたから、平静を取り繕って旅に臨んだのに、初日に鞄を盗まれる。なのにまだ平静を装う彼に、私は共感できずにいたけれど、巻末の対談を読めばふむふむ。正直じゃないことが悪いとは限らない。演じることで人を傷つけずにいられるならば。誰もが生涯を通して自分を演じているのかもしれません。「男はつまらないことで男度をひけらかそうとする」という一文にちょっぴりウケました。この西加奈子も悪くないけど、私はやっぱり『通天閣』と『漁港の肉子ちゃん』が好きだなぁ。
読了日:06月27日 著者:西 加奈子
https://bookmeter.com/books/11293144

■アキラとあきら (徳間文庫)
倒産した町工場の息子・瑛と同族企業の御曹司・彬。各々宿命を負った2人がやがて同期として同じ銀行に就職する。池井戸さんには珍しい子どもの視点の話かと思いきや、中盤以降はやっぱりいつもの池井戸さん。2人ベッタリの人生が描かれるのではなく、「交差する」のが面白い。商売の基本は客を喜ばすという単純なもののはずなのに、それが難しい。間違いを認めることこそが解決策なのに、それもなかなかできなかったりして。「カネは人のために貸せ」、半沢直樹の心を継ぐ者、ここにあり。「貸りられますか」という誤字だけは頂けないぞ。(^^;
読了日:06月25日 著者:池井戸潤
https://bookmeter.com/books/11679386

■むすびや (双葉文庫)
就活に失敗して実家のおむすび屋を手伝うことになった結(ゆい)(♂)。おむすび屋が入る商店街の面々を主人公に、各章タイトルは主におむすびの具材の名前。イートインもできるおむすびは、温かいうちも冷めてからも美味しい。具材も付け合わせもすべて手作り。八百屋、魚屋、米屋など、各店にさまざまな形で関わる人たちが登場します。商売をしている自分の家を恥ずかしく思っていた商店街の子どもたち。でも、大人になって就職したら見えてくるいろんなこと。人との繋がりに感謝したくなります。おむすびは、心を込めて手のひらの中で結ぶもの。
読了日:06月23日 著者:穂高 明
https://bookmeter.com/books/11576030

■海と真珠 (ハルキ文庫 う 8-1)
同じバレエスクールに通う中学3年生の女子、舞と理佳子の視点で。頻出する専門的な言葉に、素養のない私は序盤ちょっぴり退屈。70頁目付近からはとてもいい。人生なんて、全然平等じゃない。異なる環境で育つ2人は、各々鬱屈した思いを抱えていて、時に素直じゃないこともあるけれど、それをきちんと認める心の内が細やかに描かれています。何度感極まりそうになったことか。「大きな悲しみには、小さな喜びがついてくる」。使うべきではないとも言われる「がんばれ」。でも、いちばん好きなことはがんばって。そうすれば、離れていても大丈夫。
読了日:06月21日 著者:梅田 みか
https://bookmeter.com/books/4716121

■最後の医者は桜を見上げて君を想う (TO文庫)
映画化されそうなお涙頂戴路線かもと冷め気味に読みはじめたらそんなことはなく、しかも涙。患者の命を何が何でも救おうとする医者と、患者にも死を選択する権利はあると主張する医者。大学の同期で以前は親しかったのに、いつしか前者が後者を目の敵にするように。そんな2人を仲直りさせたいもう1人の同期。自分の命の対価として具体的にどこまでなら差し出せるかという問いにハッとさせられ。「ただ」生きたいわけじゃない。自分らしく生きて自分らしく死ぬということ。医者だって迷う。自分のために本気で迷ってくれたなら、その思いは通じる。
読了日:06月18日 著者:二宮敦人
https://bookmeter.com/books/11212313

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)
映画版は鑑賞済みです。キャストも併記。ブラック企業に就職して身も心も疲れ果て、線路に飛び込みかけた隆(工藤阿須加)は、ヤマモト(福士蒼汰)という男に助けられる。ヤマモトはかつて隆と同級生だったというが、隆に覚えはない。疑問に思いつつつきあううち、隆の気持ちに変化が生まれる。しかしヤマモトのことを調べてみると、彼は3年前に自殺していて……。隆が仕事を辞めるときは、原作のほうが言いたい放題でスッキリ。ラストは映画版のほうがだいぶん「映画的」。人生、生きてさえいれば、案外なんとでもなるもの。命を絶つ前に考えて。
読了日:06月16日 著者:北川恵海
https://bookmeter.com/books/11212313

■月魚 (角川文庫)
まほろ駅前多田便利軒の男二人を古書店に移して、その二人の間に恋愛感情を持たせたもの、と言ったら強引すぎるか。古書店の当主と幼なじみの同業者。訳あって、お互いを想う気持ちを明かせない。直接的なBLの表現はないものの、細かな描写がそれそのもの。そこが引っかかる人は無理でしょうが、なにより小説として美しく、本の査定の話も面白い。もう一編は王道の青春物語。「眠られず」という表記だけが引っかかる。ら抜きはもはや標準化しているとしても、ら入れは嫌だなぁ(^^;。というところを差し引いたとしても、やはり三浦さんはイイ。
読了日:06月15日 著者:三浦 しをん
https://bookmeter.com/books/573531

■ローラ・フェイとの最後の会話 (ハヤカワ・ミステリ文庫 ク 17-1)
田舎町を出て20年、歴史学者のルークは、ある日の講演会場で同郷のローラ・フェイから声をかけられる。彼女はかつてルークの父親の愛人と噂され、彼の家庭に悲劇をもたらした張本人。彼女の夫がルークの父親を銃殺して自殺したのだから。渋々ながらもしばし彼女と語らうことに。無感覚もひとつの感情。心の芯まで麻痺していたルークが感情を取り戻す過程を見守っている気分です。ふたりの会話とルークの回想のみなのに、すべてのシーンが想像できる。父親の、母親の、そしてルーク自身の人生最後で最大の希望は何だったのか。これぞ至福の読み物。
読了日:06月14日 著者:トマス H.クック
https://bookmeter.com/books/7134903

■もし文豪たちが カップ焼きそばの作り方を書いたら
アイデアがもうそれだけで可笑しい。帯の例にある芥川龍之介をはじめとして文豪だらけだろうと思いきやそうではなく(笑)。登場する面々を先に目次で確かめたりせずに、ページを開くたびに「え、この人も文豪!?ホンマに文豪!?」とツッコミを入れながら読むのがオススメかと。私は元ネタを知らないものも多く、ものすごく面白かったとは言えませんけれども、著者はあれこれよく読んで勉強していると見え、良いおふざけだと思います。巻末には各カップ焼きそばの作り方を「そのまんま載せただけ」。くだらなさの追求、いいんじゃないでしょうか。
読了日:06月11日 著者:神田 桂一,菊池 良
https://bookmeter.com/books/11909259

22年目の告白-私が殺人犯です- (講談社文庫)
【再読ではなく、映画版を観たので書き込み】ノベライズの主人公だった女性編集者はほぼ出番なし。確かに、この人なしでも十分成立。ノベライズではイメージしづらかった滝刑事の殺害シーンは、なるほどこういう仕掛け。遺族の医者役の岩松了がよかったです。仲村トオルの演技が少々大仰だけど、ノベライズどおりだからまぁええか。一筋縄では行かない監督なので、ノベライズで映像向きだと感じたラストほどの感動的煽りなし。この監督、お涙頂戴になるのは嫌だったと見えます。これ未読で映画をご覧になった方、安心をお望みならばこれを読むべし。
読了日:06月11日 著者:浜口 倫太郎
https://bookmeter.com/books/11660695

■マウンドの神様 (実業之日本社文庫)
野球にまつわる短編6つとエッセイ2つ。後者の書き手が荻原浩と宮下奈都だったので購入。荻原さんが阪神ファンだとは初めて知りました。前者の書き手で読んだことがあるのはあさのあつこのみ。あさのさんの『バッテリー』は「がんばってるアピール」が強くて少し苦手でしたが、この地元の公立高校の甲子園出場で活気づく、ふだんは寂れた商店街の親父の話は○。ほかはプロ野球、ドラフト、満州での野球の話等々。野球に興味のない人にはいささかツライと思われます。試合そのものの話を楽しみたいならば堂場瞬一の野球シリーズのほうがよさそうな。
読了日:06月10日 著者:あさの あつこ,朝倉 宏景,荻原 浩,須賀 しのぶ,額賀 澪,早見 和真,東川 篤哉,宮下 奈都
https://bookmeter.com/books/11882230

■たった、それだけ (双葉文庫)
会社ぐるみの贈賄の罪を丸かぶりさせられそうになっている男を、告発したうえで逃すその愛人。男の妻、男の姉、男の娘の担任教師、男の娘、それぞれの視点で第5話まで。第6話は一見まるで関係のない人の視点。第5話から第6話への流れが凄くいい。さまざまな立場のさまざまな想いが胸に突き刺さります。男の帰りを待ち続ける母はまるでハチドリのようだと気づいた瞬間の、娘の笑顔が目に浮かぶ。逃げるのは駄目なことなのか。「地球は丸いんだ。反対側から見たら追いかけてるのかもしれねーし」。駄目じゃないし、駄目でもいい。光が射すラスト。
読了日:06月09日 著者:宮下 奈都
https://bookmeter.com/books/11303146

■スマホを落としただけなのに (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ)
2カ月前、『おとなの事情』というイタリア映画を観ました。簡単に言うと、「お互い秘密なんてないよね〜と言い合っている中年の男女仲良しグループが、ほならスマホの見せ合いっこしようよということになり、ほんまに見せ合ったら修羅場になった」という話でした。その映画と『スノーデン』を観て、さらにこの本を読んだら、ケータイもスマホも絶対に持たんとこと思う。実際、私はいまだに持っていません(笑)。“このミス”応募時のタイトルは『パスワード』とのこと。そりゃ改変されたこのタイトルのほうがインパクト大。余韻はないけど面白い。
読了日:06月08日 著者:志駕 晃
https://bookmeter.com/books/11648502

■恋愛仮免中 (文春文庫)
奥田英朗、窪美澄、荻原浩、原田マハ、いずれも好きな作家と、私は初読みの中江有里による短編集。書き下ろしではなく雑誌等に既出。三十路突入までに結婚したいのに頼りない恋人にいらつくOL、夏の海辺で年上の女性に淡い恋心を抱く男子高校生、余命わずかな妻に寄り添う夫、外国人観光客を乗せたタクシー運転手、母が通う美容室のシャンプー係に恋をした女子中学生。贔屓目もあって私は荻原浩がいちばん。中江有里もささやかなドラマ性があります。どの物語も穏やかでそれなりの良さ。2時間ほどでさまざまな恋の形が楽しめるのはお得かも。
読了日:06月05日 著者:奥田 英朗,窪 美澄,荻原 浩,原田 マハ,中江 有里
https://bookmeter.com/books/11653254

■スペードの3 (講談社文庫)
トランプゲーム“大富豪”になぞらえたタイトル『スペードの3』『ハートの2』『ダイヤのエース』。それらのカードが各章の主人公を表している。宝塚歌劇を思わせる劇団。あるスターのファンクラブを仕切る女性が第1章の主人公。新会員として小学校時代の同級生が現れたことから、思い通りに行かなくなる。この第1章の最後に「えっ!?」。やられました。強烈すぎて、第2章と第3章は若干退屈に感じるけれど、女性のどす黒い感情を描ける平成生まれの男性作家、オソロシイ(笑)。妬み羨みを隠して生きていても、自分の心は騙せないんだなぁ。
読了日:06月04日 著者:朝井 リョウ
https://bookmeter.com/books/11661592

■侠飯3 怒濤の賄い篇 (文春文庫)
シリーズ3作目。今度の主人公は27歳の卓磨。「串刺連合」の一員で闇金屋の店長。串刺連合のホテル建設予定地にヤクザの事務所があり、その組長は、会ったこともない卓磨の祖父。地上げの話をまとめろと言われて祖父を訪ねたところ、取りつく島もない。卓磨はしばらく行儀見習いで祖父宅に住み込むはめに。そこへやってきたのが柳刃と火野。このシリーズの料理は、レシピ本を出してほしいぐらい美味しそう。柳刃の話には説教臭さがなく、生きるうえで大切なことを教えられているように思います。終盤は不覚にも涙。続いてほしい、このシリーズ。
読了日:06月02日 著者:福澤 徹三
https://bookmeter.com/books/11081925

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする