夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『しあわせな人生の選択』

2017年07月08日 | 映画(さ行)
『しあわせな人生の選択』(原題:Truman)
監督:セスク・ゲイ
出演:リカルド・ダリン,ハビエル・カマラ,ドロレス・フォンシ,
   エドゥアルド・フェルナンデス,アレックス・ブレンデミュール他

「映画の日」の2本目、テアトル梅田にて。

前述の『素敵な遺産相続』も本作も、原題は全然ちがいます。
こちらの原題“Truman”は、主人公の飼い犬の名前。

スペイン/アルゼンチン作品。
スペインのアカデミー賞にあたるゴヤ賞で、作品賞、監督賞、脚本賞、
主演男優賞、助演男優賞の最多5部門を獲得しました。確かに良作。

スペインに暮らす舞台俳優フリアンは、
妻グロリアと離婚、息子ニコは一人暮らし。
今は愛犬トルーマンだけが話し相手。
末期癌に冒され、化学療法による治療を自らの意志で止めたばかり。

そんなフリアンのことを彼のいとこパウラから聞いた親友トマス。
カナダ在住のトマスは、家族の了承を得ると4日間の予定でスペインへ。
親友の突然の来訪に戸惑うものの、フリアンは喜びを見せる。
しかし治療を再開するつもりはまったくないらしく、
もしも説得に訪れたのならとっとと帰ってくれと言い放つ。
まずはその場を取りなし、旧交をあたためるふたり。

フリアンはすでに身辺整理を始めていた。
自分の葬儀も気がかりだが、なんとしてでも話をつけたいのがトルーマンのこと。
トルーマンを引き取ってくれる人を見つけなければ死ぬに死ねない。
里親さがしをするフリアンにトマスもつきあうのだが……。

有川浩『旅猫リポート』みたいだと思いました。
これ、『旅猫』を読んでいない人にはネタバレになっちゃいそうですけれども。

自分の余命がわずかであることは伏せて里親さがし。
その前に獣医にあれこれ尋ねるシーンに胸が痛みます。
飼い主が亡くなったら犬も心に傷を負うのかと。
犬は捨てられたときと同じ心境になるのだそうですね。

トルーマンは決して見た目の可愛い犬ではありません。
もうかなりの老犬で、普通なら飼い主より早く死んじゃうこと間違いなし。
だけどそんな犬が飼い主の前で安らぐ姿に、深い絆を感じます。

トルーマンのこと以外で気になるのは息子のこと。
それを察したトマスが安直に「会いに行こう」と提案したら、
息子が住むのはスペイン国外だったというところは笑いました。
あ、またしてもネタバレ、すみません。

ひとつずつ、気持ちの整理をつけてゆく。
フリアンの最良の選択。

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