夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』

2018年03月05日 | 映画(は行)
『ビッグ・シック ぼくたちの大いなる目ざめ』(原題:The Big Sick)
監督:マイケル・ショウォルター
出演:クメイル・ナンジアニ,ゾーイ・カザン,ホリー・ハンター,
   レイ・ロマノ,アヌパム・カー他

口コミで人気に火がついて、上映館が少しずつ増え、
最終的にはサプライズヒットとなったという本作。
なにせジャド・アパトーのプロデュース。面白くないわけがありません。
批評家たち玄人に絶賛されているそうですが、素人が観たってめちゃ面白い。
TOHOシネマズなんばにて。

パキスタン人のクメイルは、幼少の頃に一家でシカゴへと移住。
両親はクメイルが弁護士になることを希望し、早く結婚もしてほしいと願うが、
本人にはまったくその気なく、なんとか両親をかわしている。
今はウーバー(ドライバー登録をした車を利用する配車サービス)の運転手をしながら、
駆け出しのコメディアンとしてクラブのステージに立つ日々。

そんなある日、クラブに遊びにきていた大学院生エミリーと意気投合。
しばらく男性とつきあう気はないというエミリーを口説き落とし、
押しまくって交際に持ち込むとお互いゾッコンになり、幸せいっぱい。

しかし、クメイルの両親は厳格なイスラム教徒
実家に帰るたび、母親はパキスタン人女性との見合いを白々しく用意している。
クメイルの兄ナヴィードも結局は母親が用意した相手と結婚した。
恋人は白人女性などと言おうものなら、家族親戚みんなから縁を切られるだろう。

エミリーには家族の事情をひた隠しにし、
双方の両親と会う話が出るたびに上手く断りつづけていたが、ついにバレてしまう。
エミリーは激怒、別れの日が訪れる。

ところが数日後、エミリーが倒れて入院したことを知る。
あわてて駆けつけたところ、彼女は昏睡状態に陥っていた。
居合わせた彼女の両親は、娘からクメイルのことを聴いていたらしく、
酷い男だと思われたか、つれない態度で……。

実話です。そしてクメイル役は本物のクメイル・ナンジアニ。
エミリー役にはエリア・カザン監督の孫娘ゾーイ・カザン

異文化カップルを取りまく状況がおもしろ可笑しく、時に切なく描かれて絶品。
映画や俳優の話もいろいろ出てくるので、
それらを知っている人ならさらに楽しめます。

エミリーの両親役にはレイ・ロマノとホリー・ハンター
ホリー・ハンターも早アラ還。キレっぷりがイケてるお母さん役でした。
レイ・ロマノ演じる父親のクメイルへのアドバイスも笑えます。

アメリカのスタンダップコメディって、面白さがなかなかわからないけれど、
イスラム教徒であることすらネタにしてしまう芸には恐れ入りました。
バカっぽい客から心ないヤジを飛ばされることも毎度想定済みで、
どんな状況も笑いで乗り切ろうとする姿勢にはなんだか胸を打たれます。

すご~く良かった。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする