夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『殺人者の記憶法』

2018年03月16日 | 映画(さ行)
『殺人者の記憶法』(英題:Memoir of a Murderer)
監督:ウォン・シニョン
出演:ソル・ギョング,キム・ナムギル,キム・ソリョン,オ・ダルス,
   ファン・ソクチョン,キル・ヘヨン,イ・ビョンジュン他

立誠シネマプロジェクトが昨夏終了、木屋町から出町柳に移転して、
出町座としてオープンしたのが昨年末。
行こう行こうと思いながら、箕面から行くにはやはり遠い。
躊躇している間に3カ月近く経過しました。

しかし学生時代は池田から京都まで毎日かよっていたのですから、
観たい映画がかかっているときに行くのだと奮起。
この日、15:00上映開始の『バーフバリ』を狙い、
どうせならその前の2本も観ようと出発したのでした。

電車の中で読もうと携帯したのは森見登美彦『有頂天家族 二代目の帰朝』
舞台となっているのはまさに出町柳界隈。
出町座までの道中も楽しいのなんのって。
『有頂天家族』中にたびたび登場する豆餅。
その豆餅で有名な“出町ふたば”はあいかわらず朝から長蛇の列。

出町座に着くと、ふたばに負けないぐらいの行列。
みんな『バーフバリ』の客だと思っていたら、
私が2本目に鑑賞を予定しているアニメも誰やらの舞台挨拶付きとかで大混雑。
会員登録をして招待券やスタンプカードをもらい、
かろうじて2本目と3本目の席を確保できたけど、あと3分遅かったら補助席でした。

さて、出町座はとても楽しいです。
スクリーンは地階と2階にひとつずつ、いずれも50名に満たない収容人数。
1階には書籍売場とカウンター席を配したカフェ。
フードやドリンクの種類も豊富、いろいろとやみつきになりそうです。

出町座で3本ハシゴ、まず1本目に観たのは本作。
暗くて辛くて非常にこたえる韓国の作品です。
監督が『サスペクト 哀しき容疑者』(2013)のウォン・シニョン、
主演は『オアシス』(2002)のソル・ギョング
もうそれだけで観る前からどんより。(^^;

小さな動物病院を経営する獣医キム・ビョンス。
無愛想ながらも男手ひとつで娘ウンヒを育ててきた愛情深い男、
のはずだが、その正体は元連続殺人鬼
17年前を最後にもう殺人に手を染めることはなくなったが、
それまでは自分勝手な人間に遭遇するたびに殺し、竹林に埋めていた。

交通事故のせいで脳に損傷を受けたビョンスは、
次第に記憶がおぼつかなくなり、アルツハイマーと診断される。
動物の診療にも支障を来すようになったため、病院を休業することに。

ちょうどその頃、ウンヒが若い警察官ミン・テジュと交際を始める。
どこかで会ったことがあるような気がして、正気なときの録音メモを再生してみると、
以前ビョンスは停車中のテジュの車に追突していたことがわかる。
しかもそのとき、テジュのトランクには死体が積まれていたのだ。
殺人鬼として、テジュもまた同類の殺人鬼であると直感したビョンスは、
テジュがウンヒをビョンスの娘と知ったうえで交際していると考え……。

アルツハイマー患者に殺人は可能か。
記憶は薄れても手が覚えているということに妙に納得。
次々と明かされる真実に身も心も凍りそう。
それでも、ビョンスが守ろうとしたものを考えると切ない。

頭をパカッと外すシーンだけは、なんでそこだけそんなホラーやねん、
要らんやろ!とツッコミ入れたくなりました。(^o^;

別のエンディングが用意された『殺人者の記憶法:新しい記憶』も上映中なのですが、
このヘヴィーな作品を最初からまた観るのだと思うとどうにも辛すぎて悩みます。
これより明るいラストなら観たいような。

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