『グリーンブック』(原題:Green Book)
監督:ピーター・ファレリー
出演:ヴィゴ・モーテンセン,マハーシャラ・アリ,リンダ・カーデリーニ,
ディミテル・D・マリノフ,マイク・ハットン,イクバル・テバ他
有休消化のため、「映画の日」に休みを取りました。
ダンナ出張中ではないので、晩ごはんは普通につくらなきゃいけない。
それでも朝から3本は観られるだろうと思ったら、
ダンナもその日に休みを取るという。ひゃ~っ、ならば3本は無理。
どうしても観たい2本にとどめておこうと思い、1本目に本作を。
TOHOシネマズ伊丹にて。
第91回アカデミー賞で作品賞を受賞しました。
何がビックリしたかって、監督がピーター・ファレリーだということ。
彼が企画した『ムービー43』(2013)はお下劣極まりなかったし、
下ネタ満載の『メリーに首ったけ』(1998)はいまだに忘れがたい。
私が好きだった『キングピン/ストライクへの道』(1996)も人には薦めづらい。
そんな監督が作品賞を獲るような映画を撮るなんて。
もうひとつ驚いたのは、本作のために体重を増やしたヴィゴ・モーテンセン。
もともと大好きな役者ではありますが、この不良オヤジには惚れる。
1962年のアメリカ。
イタリア系のトニー・“リップ”・バレロンガは、NYの一流ナイトクラブの用心棒。
無教養で粗野ではあるが、トラブルを片づける腕は確か。また、家族思いでもある。
勤務先のナイトクラブが改修工事のために休業。
その間の仕事を探すが、ハンバーガーの大食い競争で50ドルというような話しか来ない。
毎日何十個ものハンバーガーを食べるわけにもいかなくて困る。
そこへ舞い込んだのが、どこぞのドクターが運転手を雇おうとしているとの情報。
ドクターと付くぐらいだから医者か研究者かと思ったら、
カーネギーホールの上階に暮らす天才黒人ピアニストのドナルド・シャーリー。
彼は人種差別が色濃く残る南部でのツアーをわざわざ計画しており、
それに同行する運転手兼用心棒を求めていたのだ。
ツアーは8週間。クリスマスイブまでに自宅へ帰ってこられないかもしれない。
トニーを長く借りることをドクター・シャーリーはトニーの妻ドロレスに丁寧に詫びる。
こうして2人は、黒人が利用できる施設を記したガイドブック“グリーンブック”を携え、
何が待ち受けるかわからない南部へと向けて旅立つのだが……。
批評家にもおおむね評判のよかった本作ですが、
スパイク・リー監督や『ブラックパンサー』(2018)の主演俳優チャドウィック・ボーズマンが
「ホワイトスプレイニング」だとして呆れた顔を見せ、非難しました。
白人が偉そうに説教することを指すのだそうで、私は初めて聞く言葉。
映画の世界には「白人の救世主」という言葉まであるのだそうですね。
白人が非白人の人々を窮地から救うという決まり切った表現のことで、
その白人が非白人を救出する過程で何かを学ぶということがパターン化されたもの。
確かにそのパターンです、この作品も。
でもやっぱり良い作品だと思うのです。
深刻なテーマをヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの会話でもって軽快に。
もともとトニーには差別意識がある。
妻のドロレスにそんな意識はなく、配管修理に来てくれた黒人職人をお茶でもてなす。
トニーは、その職人たちが帰った後に彼らが使ったコップを捨てようとする人間です。
だから、ドクター・シャーリーの仕事を引き受けることになったときも、
ドロレスはまず夫には務まらないだろうと考えている。
トニー自身も金のために引き受けただけで、最初の態度は酷い。
しかし、ドクター・シャーリーのピアノの演奏を聴いたときから印象が変わり始めます。
ピアノの音が人の気持ちを変えるところがもう好きで。
旅先から手紙を書くことを妻に約束したトニーだけど、
そのあまりに拙い文章にドクター・シャーリーがアドバイスせずにはいられず、
手紙の書き方を教わるシーンも大好きです。
すっかりコツを飲み込んで自分で書けるようになったトニーが、
ドクター・シャーリーにお兄さんに手紙を書くように勧めるシーンも。
「寂しいときは、こっちが先に手を打たなきゃ」という台詞にはホロリ。
こんなふうに差別意識が世の中から消えるといいのに。
監督:ピーター・ファレリー
出演:ヴィゴ・モーテンセン,マハーシャラ・アリ,リンダ・カーデリーニ,
ディミテル・D・マリノフ,マイク・ハットン,イクバル・テバ他
有休消化のため、「映画の日」に休みを取りました。
ダンナ出張中ではないので、晩ごはんは普通につくらなきゃいけない。
それでも朝から3本は観られるだろうと思ったら、
ダンナもその日に休みを取るという。ひゃ~っ、ならば3本は無理。
どうしても観たい2本にとどめておこうと思い、1本目に本作を。
TOHOシネマズ伊丹にて。
第91回アカデミー賞で作品賞を受賞しました。
何がビックリしたかって、監督がピーター・ファレリーだということ。
彼が企画した『ムービー43』(2013)はお下劣極まりなかったし、
下ネタ満載の『メリーに首ったけ』(1998)はいまだに忘れがたい。
私が好きだった『キングピン/ストライクへの道』(1996)も人には薦めづらい。
そんな監督が作品賞を獲るような映画を撮るなんて。
もうひとつ驚いたのは、本作のために体重を増やしたヴィゴ・モーテンセン。
もともと大好きな役者ではありますが、この不良オヤジには惚れる。
1962年のアメリカ。
イタリア系のトニー・“リップ”・バレロンガは、NYの一流ナイトクラブの用心棒。
無教養で粗野ではあるが、トラブルを片づける腕は確か。また、家族思いでもある。
勤務先のナイトクラブが改修工事のために休業。
その間の仕事を探すが、ハンバーガーの大食い競争で50ドルというような話しか来ない。
毎日何十個ものハンバーガーを食べるわけにもいかなくて困る。
そこへ舞い込んだのが、どこぞのドクターが運転手を雇おうとしているとの情報。
ドクターと付くぐらいだから医者か研究者かと思ったら、
カーネギーホールの上階に暮らす天才黒人ピアニストのドナルド・シャーリー。
彼は人種差別が色濃く残る南部でのツアーをわざわざ計画しており、
それに同行する運転手兼用心棒を求めていたのだ。
ツアーは8週間。クリスマスイブまでに自宅へ帰ってこられないかもしれない。
トニーを長く借りることをドクター・シャーリーはトニーの妻ドロレスに丁寧に詫びる。
こうして2人は、黒人が利用できる施設を記したガイドブック“グリーンブック”を携え、
何が待ち受けるかわからない南部へと向けて旅立つのだが……。
批評家にもおおむね評判のよかった本作ですが、
スパイク・リー監督や『ブラックパンサー』(2018)の主演俳優チャドウィック・ボーズマンが
「ホワイトスプレイニング」だとして呆れた顔を見せ、非難しました。
白人が偉そうに説教することを指すのだそうで、私は初めて聞く言葉。
映画の世界には「白人の救世主」という言葉まであるのだそうですね。
白人が非白人の人々を窮地から救うという決まり切った表現のことで、
その白人が非白人を救出する過程で何かを学ぶということがパターン化されたもの。
確かにそのパターンです、この作品も。
でもやっぱり良い作品だと思うのです。
深刻なテーマをヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリの会話でもって軽快に。
もともとトニーには差別意識がある。
妻のドロレスにそんな意識はなく、配管修理に来てくれた黒人職人をお茶でもてなす。
トニーは、その職人たちが帰った後に彼らが使ったコップを捨てようとする人間です。
だから、ドクター・シャーリーの仕事を引き受けることになったときも、
ドロレスはまず夫には務まらないだろうと考えている。
トニー自身も金のために引き受けただけで、最初の態度は酷い。
しかし、ドクター・シャーリーのピアノの演奏を聴いたときから印象が変わり始めます。
ピアノの音が人の気持ちを変えるところがもう好きで。
旅先から手紙を書くことを妻に約束したトニーだけど、
そのあまりに拙い文章にドクター・シャーリーがアドバイスせずにはいられず、
手紙の書き方を教わるシーンも大好きです。
すっかりコツを飲み込んで自分で書けるようになったトニーが、
ドクター・シャーリーにお兄さんに手紙を書くように勧めるシーンも。
「寂しいときは、こっちが先に手を打たなきゃ」という台詞にはホロリ。
こんなふうに差別意識が世の中から消えるといいのに。