夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ROMA/ローマ』

2019年03月25日 | 映画(ら行)
『ROMA/ローマ』(原題:Roma)
監督:アルフォンソ・キュアロン
出演:ヤリッツァ・アパリシオ,マリーナ・デ・タビラ,マルコ・グラフ,
   ダニエラ・デメサ,カルロス・ペラルタ,ディエゴ・コルティナ・アウトレイ他
 
Netflixで配信された本作が第91回アカデミー賞の10部門にノミネートされて話題に。
そのうちの外国語映画賞、監督賞、撮影賞を受賞しました。
そもそもが劇場公開作品ではないから、上映劇場も少ない。
私の行動範囲内ではイオンシネマ茨木でかかっていることを知り、
月曜日は1,100円のイオンシネマへ行こうと、終業後にオンライン予約しました。
 
その直後、義母から電話が。なんと、義父が行方不明だと言うのです。
朝10時すぎに銀行へ行くと言って出かけた父が、日が暮れても帰ってこない。
昨年の台風で傷んだ屋根の修理代を出金したはずだから、ン十万円。
義母曰く、「誰か親切を装った人から車で送りますとでも言われたのでは」。
そんなん言われて車に乗ります? 乗らないとは思うけど、高齢です。
頭も体もしっかりしているけれど、うーん、爺ちゃんは爺ちゃんだし。
 
とりあえず落ち着かないから家に寄ってほしいとのことで、
そりゃ私も映画に行っている場合ではないと、ダンナ実家に向かいました。
義母に話を聞くと、どこの銀行へ行ったのかもわからない。
出先から「何か要るか」という電話がかかってくることはあるのに、それもない。
「銀行で、やられたんやと思うわ」と義母が冷静に言うので、
不謹慎にもお母さんそれは冷静に言うことではないのではと笑いそうになりましたが、
ちゃうちゃう、シャレにならんかもしれんしと、どうすべきか義母と相談。
 
警察に捜索を依頼するのはきっとまだ早い。
駅の近辺を車で走ってみてくれないかという義母に、
それをしてもどないもならんのではと思いつつ、
その間にひょっこり帰ってきはることを期待して、駅近辺を走りました。
小一時間も経った頃、実家に戻ったら、お父さん居てはる!
歯が痛くてたまらんようになって、歯医者に行ってはったそうです。
「帰ったら事件になっていた。なんで連絡するかな」と叱られるお母さん。
「いやいや、朝出て行ったまま何も連絡がなかったら、そら心配しはりますよぉ」と私。
一件落着でよかったです。
 
あ、ウチのダンナ実家をご存じの人、
ここに私がこんなん書いてるのはくれぐれも内緒でお願いします。(^O^)
 
こうして実家を出たのが18:43。映画の上映開始時間は18:50。
到底まにあわない時間です。
あきらめてそのまま家に帰ろうかと思ったけど、20分ぐらいで着けるかもと一応向かう。
TOHOシネマズならば13分ぐらい予告編があるので余裕。
しかしイオンシネマはたぶんそれより短い。
まぁ最初の5~10分観逃すぐらいの時間には着けるかなと裏道を駆使したら、
オープニングタイトルが表示された瞬間に劇場入りすることができました。(^O^)
なんでもあきらめずにやってみるもんだ。
 
アルフォンソ・キュアロン監督の半自伝的な物語とのこと。
監督はどの役柄に位置するのかさっぱりわからんと思って調べてみたら、
そうですか、雇い主側ですか。
上流とは言わないまでも、家政婦や運転手を雇えるほどの階級の出なのですね。
 
1970年。メキシコの首都メキシコシティにほど近いコロニア・ローマ地区。
クレオはアデラとともに住み込みの家政婦として働いている。
雇い主は6人家族で、医師アントニオとその妻ソフィア、
トーニョ、パコ、ペペという息子3人と娘のソフィ、ソフィアの母テレサ。
 
ある日、アントニオはカナダのケベックへ出張するが、そのまま帰ってこない。
実は愛人を連れて旅行しているらしく、ソフィアは発狂寸前。
そんなそぶりを子どもたちの前で見せるわけにもいかず、
クレオはあらゆる家事と子どもたちの世話をおこなう。
 
その合間に、クレオとアデラはダブルデート。
クレオはアデラの恋人ラモンの友人フェルミンと交際を始めるが、
クレオから妊娠を聞かされたフェルミンはとっとと逃げる。
クビを覚悟でソフィアに妊娠を告げると、思いのほかソフィアは優しく、
子どもたちは皆あなたのことが大好き、クビなんてとんでもないと言う。
 
ソフィアの紹介で病院で診察を受けたクレオ。
お腹の中の赤ん坊は順調に育っていくのだが……。
 
とにかく玄人の評価が高いのです。評論家もメディアも絶賛。
しかしアカデミー賞の監督賞やヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞とかいう賞は、
芥川賞みたいなものに見えることがあります。凡人の私には。
 
ただなぜか妙に心に残るのです。
評論家たちに「痛いほど美しい」と賞賛されたのはそのとおり。
モノクロというより綺麗な褐色のイメージを受けます。
 
家政婦クレオの日常が淡々と描かれているだけなのに退屈しない。
普通なら確実に睡魔に襲われているパターンなのに。
飼っていた犬が死ぬたびに頭だけ切断して剥製をつくり、額に入れて飾る金持ちの神経はわかりかねますが、
意外に笑えるシーンもあり、特におかんの運転にはマジかい!と大笑い。
 
出てくる男はみんな酷くて、子どもたちの父親然り、
フェルミンなんて人間のクズですよ、クズ。
そんなんで武術に邁進されたら、武術も腐るっちゅうの。
『イップ・マン外伝 マスターZ』のチョン・ティンチを見習ってください。
 
ネタバレになりますが、
死産した後に雇い主家族と旅行に出かけたクレオが心の裡を吐露するシーンと、
帰宅後にアデラにどうだったかと尋ねられて「よかった」と言うシーンは
なんだかジーンと来ました。
 
ラストの構図もものすごく好きです。

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