夜な夜なシネマ

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『ビール・ストリートの恋人たち』

2019年03月22日 | 映画(は行)
『ビール・ストリートの恋人たち』(原題:If Beale Street Could Talk)
監督:バリー・ジェンキンズ
出演:キキ・レイン,ステファン・ジェームズ,コールマン・ドミンゴ,テヨナ・パリス,
   マイケル・ビーチ,デイヴ・フランコ,ディエゴ・ルナ,レジーナ・キング他
 
なんばで『シンプル・フェイバー』を観てから梅田へ。
TOHOシネマズ梅田で27回目の『ボヘミアン・ラプソディ』を観て、
大阪ステーションシティシネマへ移動、本作を鑑賞。
 
『ムーンライト』(2016)が第89回アカデミー賞作品賞を受賞したバリー・ジェンキンズ監督。
本作では、キキ・レイン演じる主人公ティッシュの母親役を演じたレジーナ・キングが、
第91回アカデミー賞で助演女優賞を獲得しました。
 
アメリカ黒人文学の巨匠で、公民権運動家としても知られるジェイムズ・ボールドウィン。
彼の同名小説の映画化で、1970年代のニューヨークが舞台。
『グリーンブック』が黒人たちに批判されるなか、本作の評判はどうなんでしょ。
 
19歳の黒人女性ティッシュは幼なじみの22歳の同じく黒人男性ファニーと恋人同士。
ある出来事で白人警官の怒りを買ったファニーは、強姦の罪をでっちあげられる
ファニーが刑務所に入った直後、ティッシュの妊娠が判明。
それを聞いたファニーは喜び、ティッシュの家族たちも手放しで祝う。
 
しかしファニーの家族で祝福してくれたのは父親だけ。
母親と娘たちはティッシュに酷い言葉を浴びせかけ、断固として認めないと言う。
ファニーの濡れ衣を早く晴らしたいものの、調べるには時間も金も必要。
彼の家族の協力を得られない今、ティッシュの家族が動くしかなく……。
 
静かに進んでゆく純愛劇。
眠くもならなかったし、良い作品だとは思うのですが、
ありがちな言葉で評するならば、パンチに欠けます。
 
観てよかったのは確か。
『グリーンブック』のような白人が描かれている作品もあるのに、
実際はこうなんだよと言われると返す言葉もなくなる。
部屋を借りようにも黒人だというだけで貸してもらえない。
しかもティッシュひとりで部屋を借りようとすると契約にこぎつけられるのに、
ファニーも一緒だとわかると断られてしまう。
若いふたりが自立して生活していこうと思っても、まず住むところがないんですね。
 
たまにいい人だっている。
ユダヤ教の男性がやっと住むところを貸してくれることになったとき、
心から喜んで感謝するファニーとティッシュ。
そのときのキッパを被った男性の言葉が印象に残ります。
「人間の違いは、母親が違うということだけ」。
 
そのとおりなのに、差別はなくならない。

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