夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

2019年4月に読んだ本

2019年05月01日 | 映画(番外編:映画と読み物)
2019年4月の読書メーター
読んだ本の数:11冊
読んだページ数:3536ページ
ナイス数:910ナイス
 
■外道クライマー (集英社文庫)
私の沢登り体験はほぼハイキング。著者の沢登りにそんな緩いイメージ皆無。なにしろ「外道」ですから。衣類が濡れることは死に直結するからと素っ裸で氷水の中を歩く。タイのジャングル46日間は特に凄絶。ワニに怯え、ヘビをぶった斬り、サソリに噛まれ、アリに襲われる。何度も心が折れるフォトグラファー高柳くん。殺したくなることはあっても、やっぱりふたりでよかった。う○こネタは誰でも笑うから反則だと思うのですが、そう思いつつも笑ってしまった。うん、上流から人のう○こが流れてくるのは嫌だ(笑)。この旅に私は猛烈に惹かれます。
読了日:04月02日 著者:宮城 公博
https://bookmeter.com/books/13638173

■春、戻る (集英社文庫)
読みはじめたとき、なぜか短編集だと思っていました。自分より一回りも年下の男性が現れて、君の兄さんだよなんていう話、一冊分は続かないと思って。余裕で一冊続いた(笑)。出てくる人みんな、変人兄さんをすんなり受け入れる善人。著者の描く料理や食事のシーンは相変わらずよくて、食べることは心をも健康にするのだと思わせられます。記憶から追いやっている時分のことでも、もしかして思い出してみたらいいこともあるのでしょうか。誰かの人生を変えるぐらいのことをしていたなんてことは、私にはなさそうだけれども。思い出話はお腹が空く。
読了日:04月04日 著者:瀬尾 まいこ
https://bookmeter.com/books/11520666

■スピン (角川文庫)
中高生に断トツ人気の作家といえばこの人だそうで、物は試しと遥か昔に中高生だった私も何冊かは読んだことがあります。不愉快な描写も多いけど、軽いからその不愉快さが後を引かない。ネットで知り合った中学生が同時間帯にバスジャックを謀るという本作は陰惨度低め。犯人、乗客、運転手と、バスによって視点が変わるのも面白い。そして今更ながら気づきました。歳を食ってからこのこの著者の作品を読むと、知らない言葉がひとつもない(笑)。平易な言葉でわかりやすいからガンガン読める。著者が今後どうなるか楽しみ。いや、意外にこのままか。
読了日:04月07日 著者:山田 悠介
https://bookmeter.com/books/607554

■MIX 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子 (角川ホラー文庫)
前作読了後に即突入したかったところ、同じ作家は続けて読まないように努めているため我慢。間に3冊挟んだからよかろうと『MIX』へ。人体実験でつくりあげられた人魚なんて、想像するだにおぞましい。綾辻行人の『フリークス』も同様に子どもに人体改造を施す話でえげつなかったから、あっちを思い出せばこっちは耐えられないことはない。新人刑事の御子柴くんがどうにもならん。東海林さんが恋しい。そういえば今回は麗華様のお姿を拝見できず。永久くんに金子くん、鍵師と気になる人が多すぎる。読むのをやめられません。ちょっと我慢して次!
読了日:04月10日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/12039654

■ドルフィン・ソングを救え! (角川文庫)
年齢がバレそうな感想はあまり書かないようにしているのですが、本作ではどうにも無理(笑)。最初の頁の中原中也に吉田拓郎でニヤニヤ。目次を読んでいくつかでも拾える人ならば中身もそこそこは楽しめると思いますが、普通の一文の中に東電OLとか木綿のハンカチーフが出てくるから、それに反応できなければ読むのが辛そう。まさかのタイムスリップもの。45歳の独身女性がバブル期に戻ったら、こんなことあんなこと。なんだかんだで男目線、納得できない部分もあるけれど、ネタを拾うだけでも面白い。ツボはやっぱりミリ・ヴァニリ。ワラける。
読了日:04月11日 著者:樋口 毅宏
https://bookmeter.com/books/13442266

■銃 (河出文庫)
私の場合、晩ごはんの後、就寝までの数時間で読めるのは230頁程度。本作は220頁を切るから楽勝のはずが、芥川賞作家。銃を拾ったことが主人公の心に影響を与えるさまは面白いけれど、映画版を観ていなかったらかなりしんどかったかも。村上虹郎ってこんなに演技が下手だったかなと思って観ていたのですが、原作に忠実だった結果があれだったのですね。隅々まで原作どおりの映画で、だから原作同様、私にはきつかった。かと言って眠くもならず、不思議。原作を読めば、村上淳との共演も含め、なかなか興味をひかれるキャストだったと思います。
読了日:04月15日 著者:中村 文則
https://bookmeter.com/books/5133542

■ビール職人の醸造と推理 (創元推理文庫)
ビストロやリストランテが舞台というミステリーはあっても、ブルワリーが舞台という話を私は知らない。初めてです。まるでドイツなアメリカの町最大のブルワリーに嫁入りした主人公が、新たにオープンするブルワリーで働くことに。日常の謎系かと思ったら堂々の殺人事件発生。犯人は最初から怪しすぎる奴で、言ったところでネタバレにもならん(笑)。ミステリーとしてはちっとも惹かれないけれど、ビールと料理が素敵すぎる。シリーズものなのにミステリー部分にはほぼ興味わかず。続編が刊行されるならば、ビールと料理に釣られて読むでしょうね。
読了日:04月18日 著者:エリー・アレグザンダー
https://bookmeter.com/books/13527849

■あきない世傳 金と銀(六) 本流篇 (時代小説文庫)
四代目、五代目、六代目へと順に嫁ぐも、皆亡くなったり居なくなったり。魔性の女による保険金詐欺かとでも言いたくなります(笑)。しかし遺産も保険金もなく、むしろ夫を失うたびに大変なことが勃発して痩せ細りそうな幸。美貌は維持したままだから、同性読者の嫉妬を買ってもおかしくないところ、応援一択の気持ちにさせます。女名前では店を継がせてもらえず、相談相手は過去に卒中で倒れた爺様ばかりで頼りになるのか心配になるけど大丈夫。個人的にはわりと「普通」な第6巻だったのですが、最後の5頁に泣かされました。やっぱりええんだわ。
読了日:04月21日 著者:髙田郁
https://bookmeter.com/books/13519781

■負け逃げ (新潮文庫)
映画『純喫茶磯辺』麻生久美子の台詞「私、ヤリマンなの」は衝撃的でした。本作の最初の一文「野口は、この村いちばんのヤリマンだ」も衝撃的。そんな野口とヤッたことはない田上の目線から同級生、教師に移り、〆は野口で。超豪華な推薦者の帯を見れば素通りできません。田舎町から出ることなく生きる人々。若い作家なのに、くたびれたオッサンとオバハンの不倫描写に哀切が。最も冴えない教師ヒデジだけは後悔がないように思えます。私はヒデジに宇野祥平を当てましたが、すだれハゲとはちゃうか。イライラ、どんより、スキップ。そんな読後感。
読了日:04月24日 著者:こざわ たまこ
https://bookmeter.com/books/12740704

■パンドラ 猟奇犯罪検死官・石上妙子 (角川ホラー文庫)
この著者のシリーズものならば断然「よろず建物因縁帳」で、その次がこれだと思っていたけれど、こっちのほうが冊数が多いせいか、なんだか情が湧いてきて、今ではこっちも読むのを止められず。きゃぴきゃぴの年頃(だけどきゃぴきゃぴではない)死神女史が当時どんな目に遭ったのかをつぶさに知らされて驚愕。女史でも遺体を見て吐いて焼肉もパスってか?とびっくりしたらつわりでした。明治のミルクチョコレートを切らさないようになったきっかけにニヤリ。やるなガンさん。白衣を着ていなくたって、つまらない女なんかじゃないですよ、石上先生。
読了日:04月28日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/11618539

■ヒトでなし: 金剛界の章 (新潮文庫)
平成最後の平成最後のって皆うるさいねん!と思いながら、積読の山から平成最後に読む本を選んでいる自分がいます(笑)。無理やり貸されることがなければ手を出すことがなかったであろう京極さん。娘を亡くして妻に離婚を言い渡され、全財産を取られた挙句、仕事もクビになった男の言葉が、妙に心に刺さります。とはいうものの、禅問答のような、屁理屈のようでもある770頁超だから、京極さんを初めて読む人には薦められない。平成に京極さんにくすぐられた人でなければツライのじゃなかろうかと思います。ヒトでなしも悪くはないかもしれない。
読了日:04月30日 著者:京極 夏彦
https://bookmeter.com/books/13537158

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