夜な夜なシネマ

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『ザ・バニシング 消失』

2019年05月10日 | 映画(さ行)
『ザ・バニシング 消失』(原題:Spoorloos)
監督:ジョルジュ・シュルイツァー
出演:ベルナール・ピエール・ドナデュー,ジーン・ベルヴォーツ,
   ヨハンナ・テア・ステーゲ,グウェン・エックハウス他
 
カルト的人気を誇る1988年のオランダ/フランス作品。
日本では劇場未公開でしたが、このたび初公開。
『恐怖の報酬』(1977)といい、何十年も経ってからの公開が嬉しい。
これを見逃すまいと思い、この日はシネマート心斎橋へ行ったのでした。
 
でも、観るかどうかはすごく迷ったのです。
というのも、ジョルジュ・シュルイツァー監督自身がハリウッドリメイクした『失踪』(1993)は、
私がこれまでの人生で観た中でいちばん恐ろしいと感じた作品だったから。
そんな作品のオリジナルって、もっと怖いかもしれんやん。
わざわざ嫌な思いをしに観に行く価値あるやろかと葛藤。
 
結局、観なかったらそれはそれで後悔するだろうと観に行くことに。
 
オランダ人カップルのレックス(♂)とサスキア(♀)は、フランスに旅行。
途中、車への給油を促すサスキアをレックスが無視。
なのにガス欠で止まったことからふたりは喧嘩。
夜道で怖がるサスキアを放置してレックスはガソリンを買いに。
ポリタンをぶらさげて戻ったレックスとサスキアの間に重い空気が流れるが、
レックスが心から詫びたため、すっかり仲直りしてラブラブ。
 
サービスエリアに寄り、サスキアはご機嫌なまま買い物に。
ところがいくら経っても戻ってこない。
警察に通報しても、痴話喧嘩の果てに逃げられたという認識。
そんなわけはないと、レックスは半狂乱になってサスキアを探すが、
いったい誰が彼女を連れ去ったのか、見つからないまま。
 
それから3年が経過。
レックスはリネカという新しい恋人とつきあっているものの、
失踪したサスキアのことが忘れられない。
レックスはリネカに言う、「僕が真相を知らず、でもサスキアが幸せなのと、
僕が真相を知って、でもサスキアは死んでいるのとどちらがいいんだろう」。
 
やはり真相を知りたいレックスは、犯人に向けてメッセージを送り続ける。
するとある日、犯人とおぼしき男が接触してきて……。
 
サスキアを拉致したのは、フランス人の大学教授。
社会的信用もあり、妻と娘の良き夫良き父でもある。
彼は女性を拉致して生き埋めにしていたという驚愕の真相。
 
クロロホルムを嗅がされて、目が覚めたら棺桶の中
土がかぶされていて、声をあげても誰にも聞こえない。
棺桶の中で動けず飲まず食わずで、人間って何日生きていられるのでしょう。
いや、こんな状態では生きていたくなんかない。気が狂いそうです。
 
オリジナル版は教授が何の実験をしたかったのかがよくわかりません。説明不足。
本人は閉所恐怖症で、閉所に閉じ込められた人がどうなるか知りたかったのか。
リメイク版では確か、男性が同じ目に遭わされて殺されかけたとき、
男性の新しい恋人が気づいて救出したというエンディングだったと思いますが、
オリジナルは誰にも気づかれずにそのままおしまい。
リメイク以上に嫌な感じです。嫌すぎて笑ってしまった。
 
リメイクを観ていたおかげで「えっ、こんな悲惨な話!?」と思わずに済んだけど、
もうこんな悲惨なエンディングの話は観たくない。
何はともあれ、心理的に人生でいちばん怖かった映画のオリジナルを観られてスッキリです(笑)。

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