夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ドント・ウォーリー』

2019年05月22日 | 映画(た行)
『ドント・ウォーリー』(原題:Don't Worry, He Won't Get Far on Foot)
監督:ガス・ヴァン・サント
出演:ホアキン・フェニックス,ジョナ・ヒル,ルーニー・マーラ,ジャック・ブラック,
    マーク・ウェバー,ウド・キア,キャリー・ブラウンスタイン他
 
前夜に続いてこの日も終業後すぐには帰宅する気になれず。
なぜって、巨人vs阪神があるから。
前夜はなんとか逆転勝ちして今季初の勝利を収めたものの、
ウチが巨人に連勝するなんてこと、考えられないじゃないですか。
しかも向こうの投手は菅野やし。とても怖くて中継を観られない。
現実を直視する勇気はなく、109シネマズ大阪エキスポシティへ。
 
上映開始までしばらく時間があったので、駐車場でラジオ中継を聴きました。
初回に3点も先取している。ミラクル。でもそのまま勝てるとは思えない。
やっぱり怖いから、そこで聴くのを止めて劇場ロビーで読書。
あきらかな現実逃避です(笑)。
 
アメリカ・オレゴン州出身の風刺漫画家ジョン・キャラハン。
2010年に59歳で他界した彼の半生をガス・ヴァン・サント監督が描きます。
最初に監督に映画化について相談したのは故ロビン・ウィリアムズだそうで。
存命ならばロビンがジョン役を演じていたことでしょう。
 
母親に捨てられ、養父母に育てられたジョンは、13歳で酒をおぼえる。
立派なアルコール依存症になり、酒を切らすと手の震えが止まらない。
 
あるパーティーで知り合ったジョンとデクスターは意気投合、飲み歩いてべろべろに。
意識も定かでないのにデクスターが運転する車で走り、電信柱に激突。
デクスターは奇跡的に軽傷で済んだが、ジョンは上肢の一部と下肢が麻痺。
車椅子生活を余儀なくされる。
 
自分で歩けなくなってからもアルコールを断てないジョン。
アルコールを摂取できないと、同居している介護士ティムに八つ当たり。
そんなジョンに呆れたティムがしばらく出かけたところ、
ジョンは信じがたい深遠な体験をする。
忘れたくても忘れられない母親の幻覚を見たのだ。
 
断酒のグループセラピーに参加する決意を固めたジョン。
主催者のドニーに連絡を取り、断酒に取り組むとともに、
持ち前の辛辣なユーモアを駆使して風刺漫画を描きはじめる。
 
時系列がぐちゃぐちゃで、時折前後がわからなくなるのですが、それが嫌じゃない。
ジョンが思い返しているのであろう時期に、鑑賞者も飛び込むことができます。
 
数多くの作品に登場する断酒会のシーン。
正直に言って、今まではあまり良い印象がありませんでした。
とても表面的なつきあいに思えて、こんなんでほんとに断酒できるのかと思っていました。
それが本作のドニー主催の断酒会なら可能だと思える。
 
驚いたのはドニー役のジョナ・ヒル
ちょっぴりおデブで、知的だけど格好良くはない人、そうでしょ?
ところが本作の彼は金髪の美形。
えーっ、こんなに美男子だったのかとビックリ。
体型はそうそうは変わらないから、ずんぐりむっくりのままなんですが、
本作ではそれも隠れる服装が多くて、最初は誰だかまったくわからず。
 
そして言うまでもなく、ジョン役のホアキン・フェニックスは素晴らしい。
お兄さんのリヴァー・フェニックスが23歳の若さで亡くなってから25年が過ぎました。
ホアキンの風貌を見るたびに、リヴァーも長生きしたらこんな感じになったのかしらんと微妙な思い(笑)。
 
歳を取ると、長らく会わなくなって気がかりな人が何人かいます。
ジョンがひとりひとりに会いに行く姿に共感。
事故に遭ったことを恨まずに、幸せを感じて生きていく。
 
優しく温かい作品でした。
生きるうえでの心持ちも教えてもらえたような気がします。

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