『野球少女』(英題:Baseball Girl)
監督:チェ・ユンテ
出演:イ・ジュヨン,イ・ジュニョク,ヨム・ヘラン,ソン・ヨンギュ他
TOHOシネマズ伊丹にて、『太陽は動かない』の次に。
韓国では1996年の規約改定により、女性もプロ野球選手になることが可能に。
本作は実在の女性選手アン・ヒャンミをモデルとしているそうです。
彼女は1997年に韓国の高校で初めて野球部に所属したのち、
プロ野球選手となって公式戦に先発登板したとのこと。
高校の野球部に所属する唯一の女子チュ・スイン。
彼女は130km/hの速球を投げることができ、
中学の頃から天才野球少女として称えられてきた。
彼女の夢はプロ野球選手になること。
しかし、実際には女子というだけでトライアウトさえ受けられない。
パク監督は温かい目で彼女を見守っているものの、
彼が連れてきた新任コーチのチェ・ジンテは実に冷ややか。
とっととあきらめるようにスインに言い放つが、
監督から彼女の面倒を見るようにそれとなく言われ……。
本当はジンテ自身がプロ野球選手になりたかった。
男の自分がなれなかったのだから、こんな女子になれるわけがない。
でも、スインは指導してほしい、代わりに私がプロ野球選手になるからと言います。
序盤は、スインの練習の様子を観ていて納得できませんでした。
なんぼ速い球を投げるといっても130km/h。
女子だから凄いといわれるわけで、男子ならなんちゅうこともない。
練習にいそしんでいくら投げたところで、
それ以上速くなるはずもなく、肩を壊すだけでしょう。
もっと足腰鍛えるとかさぁと思っていました。
中盤以降、ジンテの指導を受けるようになってからは納得。
そうです、速球で勝負しようということ自体が間違い。
スインの長所はほかのところにあるはず。
野球好きだから、こんな野球の話が楽しいのはもちろんのことですが、
彼女の家族や友人とのやりとりがまた良い。
娘が高校の野球部に入りたいと言ったときに父親がどうしたかを知って涙。
反対に、娘の野球を許そうとしなかった母親の心が溶けるときにも涙。
スインとずっと一緒に野球をしてきた男子イ・ジョンホもすごくカッコイイ。
本人が「できない」と言わないのに、
周囲が「できない」と決めつけてはいけない。