2021年7月の読書メーター
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2835ページ
ナイス数:683ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
■蠱峯神 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
たぶん私は春菜の百倍くらい歴史が苦手。なのに半ば近くまでが歴史を交えた隠温羅流のルーツを探る旅。事件は何も起こらないから、名前は出ても姿は見えないパグ男の登場を切に願ってしまいました(笑)。このまま何も起こらない巻かと思った頃に聞かされる、虫に食われたみたいな穴だらけの遺体の話。想像すると心底怖い。唐突すぎるプロポーズ。いよいよ最後かしら。今更ながら『愛の不時着』を観はじめたせいか、私の頭の中では仙龍がヒョンビン、春菜がソン・イェジン。いや、春菜はむしろソ・ジヘかも。でもコーイチはやっぱり菅田将暉だなぁ。
読了日:07月03日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/17969131
■ブルース (文春文庫)
「男の美しさ」をすべて持っている男。本作のあらすじを簡単に言い表すならば、そんな男の少年時代から命を落とすまでの連作短編集。彼には生まれつき6本の指があり、愛想はなく、色気がある。その時々に彼にハマった女たちの目線で描かれます。表紙から想像する雰囲気も、話中で流れる音楽も、何かにつけて昭和の色が濃いなぁと思ったら、テレビのニュースから舞台が昭和であることがわかる。映像化したらR-18指定になりそうだけど、桜木紫乃の世界はいつもエロティックなのに品があって、薄っぺらさを感じない。なんだかとても哀しくなる。
読了日:07月06日 著者:桜木 紫乃
https://bookmeter.com/books/12314193
■夜がどれほど暗くても (ハルキ文庫)
ゴシップをウリにする週刊誌の副編集長が主人公。彼の息子にストーカー殺人犯の嫌疑がかかり、息子自身も死亡。ネタを追う側が追われる側に変わるとどうなるか。既婚俳優と若手女優の不倫話だとか、お騒がせ議員の問題発言だとか、リアルなゴシップを反映した小説をこんなにも速攻で書ける七里センセは凄い。だけど、私にとっては最近の七里作品の中ではいちばんつまらなくて、いつものドンデン返しすら肩すかしもいいとこ。ところがそのままでは終わりませんでした。抱腹絶倒の巻末、西原理恵子の解説漫画。ヘイ、西原さん、次も待ってるぜ(笑)。
読了日:07月08日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/16327612
■異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 剥皮の獣 (メディアワークス文庫)
シリーズ第1弾を読んだのが約半年前。そのとき何か引っかかる言葉があったなぁと思っていましたが思い出せず。読み始めて思い出す、「けれどの莉花ちゃん」と名付けたことを。第1弾よりは頻度少なめですが、やっぱり多い「けれど」。引っかかるのは彼女には「が」のほうが似合うと思うから。事件そのものよりも彼女を貶めようとする同僚たちにゲンナリ。感情希薄で雪女と揶揄されるヒロインのことを応援したくなるし、段々と好きになってきました。何よりこのシリーズは薄いのが嬉しい。しかしどう見てもますますクラリスとハンニバル・レクター。
読了日:07月09日 著者:久住 四季
https://bookmeter.com/books/17977132
■異端の祝祭 (角川ホラー文庫)
タイトルこそ普通の(?)単語の組み合わせですが、各章に付けられた妙な響きの平仮名は澤村伊智を思わせます。だけど著者は三津田信三の大ファンだそうで、読めばなるほどその雰囲気が強い。民俗学ホラーを謳うラノベなどには時折「どこが民俗学やねん」とツッコミを入れたくなることがありますし、本作もそこは少し疑問。でも不気味なカルト教団の存在に引き込まれます。それ以上に怖いのは、常識人だと思われていた人に隠されている実際の姿。本作のるみと小野不由美の『ゴーストハント』のナルが一緒に現場に臨むところを勝手に想像して楽しむ。
読了日:07月13日 著者:芦花公園
https://bookmeter.com/books/17851763
■ボーダレス (光文社文庫 ほ 4-17)
誉田哲也も引き出しの多い作家ですね。ドロドロ系もあれば爽やか系もあって、本作は後者ではあるけれど、「お嬢様」の章が微妙にドロッ。並行して描かれる4つの出来事のうち、1つは登場人物のひとりが書く小説の話だと思っていたら。騙されたわけではないけど、ほ〜、そうですか。言い回しの違う伊坂幸太郎とか道尾秀介とかを想像しましたが、凄いトリックが潜んでいるわけでもない。事件をきっかけとして彼女たちがそれぞれの人生を歩み始める。これがスタートラインとなる物語。だから、面白かったわりにはまだまだこれからな感じがもどかしい。
読了日:07月18日 著者:誉田哲也
https://bookmeter.com/books/17526969
■もう一杯、飲む? (新潮文庫)
小説とエッセイのごった煮。純粋に酒をテーマにしていると感じられたのはエッセイの中に2つだけ。他はどれもあくまで「お酒のある風景」。私もアルコールは大好きですが、ビールはお腹が膨れるのであまり執着がありません。でも文章にするならビール最強。缶を開けるときの「プシュッ」という音、この文字を目にすれば、飲みたくてたまらなくなる。最も酒の話に徹していた小泉武夫さんのエッセイに登場する『千日酒』が面白い。飲めば心地よく酔って千日間。しかしそのまま埋められたら困る(笑)。私は小説のほうが好みでしたが、こんな試みは粋。
読了日:07月22日 著者:角田 光代,島本 理生,燃え殻,朝倉 かすみ,ラズ゛ウェル細木,越谷 オサム,小泉 武夫,岸本 佐知子,北村 薫
https://bookmeter.com/books/17982813
■稲荷書店きつね堂 アヤカシたちの奮闘記 (ハルキ文庫)
ヨモギが学校に行っている様子がないことをいつか通報されやしないかと心配するのはもうやめた(笑)。狐と犬が人間に化けて書店を盛り立てようと奮闘する姿に、ひたすら応援したくなります。加えて、怪しすぎたツンデレの狸がどんどん愛らしくなっている。悪い話が降りかかるのは次に持ち越されたらしく、安心の第4弾。って、いつもわりと安心できますけど。いちばん笑ったのは「なんで吐くまで飲むんだろう」「人間の世界も大変だな」というヨモギたちの台詞。いやほんと、なんでそんなに飲むんでしょうね(笑)。私は最近そこまで飲んでないよ。
読了日:07月23日 著者:蒼月海里
https://bookmeter.com/books/17447029
■夏への扉 [新版] (ハヤカワ文庫SF)
SF映画は大好きなのですが、小説は私の頭ではついていけないことが多く、本作も敬遠していました。しかし不朽の名作といわれる本作を日本で実写化するなんてと驚き、訝りつつ観たら、面白い。で、原作も読むことに。原作ファンの評価は知らないけれど、意外と原作に忠実でよくできた映画だと私は思いました。ダンは巨乳好きで(笑)ベルにお熱だったようで、山崎賢人演じる宗一郎はそんなふうではなかったところが高得点(笑)。また、清原果耶演じる璃子はリッキーほど幼くないから、宗一郎を待っていても違和感なし。今後もSFは映画→小説で。
読了日:07月29日 著者:ロバート・A・ハインライン
https://bookmeter.com/books/16899272
■京都おもしろウォッチング (とんぼの本)
7月に読んだ本を10冊にするための完全な冊数稼ぎで、長らく本棚に飾っていた本書を引っ張り出して読みました。これまでの人生で読んだ本のうち、猛烈に楽しかったものを5冊挙げるとすれば、『超芸術トマソン』がたぶん入ります。本書は路上観察学会の紹介的なところもあるので、書籍としての楽しさはトマソンのほうが上ですが、写真を見ているだけでニヤニヤと笑ってしまう。鬼門とか縛り物とか、ホラー小説を読んだ後なら不気味に見えるものもあったりして(笑)。注意して周りを見ればこんなにも面白いものが転がっている。上を向いて歩こう。
読了日:07月31日 著者:赤瀬川 原平,藤森 照信
https://bookmeter.com/books/21332
読んだ本の数:10冊
読んだページ数:2835ページ
ナイス数:683ナイス
https://bookmeter.com/users/762098/summary/monthly
■蠱峯神 よろず建物因縁帳 (講談社タイガ)
たぶん私は春菜の百倍くらい歴史が苦手。なのに半ば近くまでが歴史を交えた隠温羅流のルーツを探る旅。事件は何も起こらないから、名前は出ても姿は見えないパグ男の登場を切に願ってしまいました(笑)。このまま何も起こらない巻かと思った頃に聞かされる、虫に食われたみたいな穴だらけの遺体の話。想像すると心底怖い。唐突すぎるプロポーズ。いよいよ最後かしら。今更ながら『愛の不時着』を観はじめたせいか、私の頭の中では仙龍がヒョンビン、春菜がソン・イェジン。いや、春菜はむしろソ・ジヘかも。でもコーイチはやっぱり菅田将暉だなぁ。
読了日:07月03日 著者:内藤 了
https://bookmeter.com/books/17969131
■ブルース (文春文庫)
「男の美しさ」をすべて持っている男。本作のあらすじを簡単に言い表すならば、そんな男の少年時代から命を落とすまでの連作短編集。彼には生まれつき6本の指があり、愛想はなく、色気がある。その時々に彼にハマった女たちの目線で描かれます。表紙から想像する雰囲気も、話中で流れる音楽も、何かにつけて昭和の色が濃いなぁと思ったら、テレビのニュースから舞台が昭和であることがわかる。映像化したらR-18指定になりそうだけど、桜木紫乃の世界はいつもエロティックなのに品があって、薄っぺらさを感じない。なんだかとても哀しくなる。
読了日:07月06日 著者:桜木 紫乃
https://bookmeter.com/books/12314193
■夜がどれほど暗くても (ハルキ文庫)
ゴシップをウリにする週刊誌の副編集長が主人公。彼の息子にストーカー殺人犯の嫌疑がかかり、息子自身も死亡。ネタを追う側が追われる側に変わるとどうなるか。既婚俳優と若手女優の不倫話だとか、お騒がせ議員の問題発言だとか、リアルなゴシップを反映した小説をこんなにも速攻で書ける七里センセは凄い。だけど、私にとっては最近の七里作品の中ではいちばんつまらなくて、いつものドンデン返しすら肩すかしもいいとこ。ところがそのままでは終わりませんでした。抱腹絶倒の巻末、西原理恵子の解説漫画。ヘイ、西原さん、次も待ってるぜ(笑)。
読了日:07月08日 著者:中山七里
https://bookmeter.com/books/16327612
■異常心理犯罪捜査官・氷膳莉花 剥皮の獣 (メディアワークス文庫)
シリーズ第1弾を読んだのが約半年前。そのとき何か引っかかる言葉があったなぁと思っていましたが思い出せず。読み始めて思い出す、「けれどの莉花ちゃん」と名付けたことを。第1弾よりは頻度少なめですが、やっぱり多い「けれど」。引っかかるのは彼女には「が」のほうが似合うと思うから。事件そのものよりも彼女を貶めようとする同僚たちにゲンナリ。感情希薄で雪女と揶揄されるヒロインのことを応援したくなるし、段々と好きになってきました。何よりこのシリーズは薄いのが嬉しい。しかしどう見てもますますクラリスとハンニバル・レクター。
読了日:07月09日 著者:久住 四季
https://bookmeter.com/books/17977132
■異端の祝祭 (角川ホラー文庫)
タイトルこそ普通の(?)単語の組み合わせですが、各章に付けられた妙な響きの平仮名は澤村伊智を思わせます。だけど著者は三津田信三の大ファンだそうで、読めばなるほどその雰囲気が強い。民俗学ホラーを謳うラノベなどには時折「どこが民俗学やねん」とツッコミを入れたくなることがありますし、本作もそこは少し疑問。でも不気味なカルト教団の存在に引き込まれます。それ以上に怖いのは、常識人だと思われていた人に隠されている実際の姿。本作のるみと小野不由美の『ゴーストハント』のナルが一緒に現場に臨むところを勝手に想像して楽しむ。
読了日:07月13日 著者:芦花公園
https://bookmeter.com/books/17851763
■ボーダレス (光文社文庫 ほ 4-17)
誉田哲也も引き出しの多い作家ですね。ドロドロ系もあれば爽やか系もあって、本作は後者ではあるけれど、「お嬢様」の章が微妙にドロッ。並行して描かれる4つの出来事のうち、1つは登場人物のひとりが書く小説の話だと思っていたら。騙されたわけではないけど、ほ〜、そうですか。言い回しの違う伊坂幸太郎とか道尾秀介とかを想像しましたが、凄いトリックが潜んでいるわけでもない。事件をきっかけとして彼女たちがそれぞれの人生を歩み始める。これがスタートラインとなる物語。だから、面白かったわりにはまだまだこれからな感じがもどかしい。
読了日:07月18日 著者:誉田哲也
https://bookmeter.com/books/17526969
■もう一杯、飲む? (新潮文庫)
小説とエッセイのごった煮。純粋に酒をテーマにしていると感じられたのはエッセイの中に2つだけ。他はどれもあくまで「お酒のある風景」。私もアルコールは大好きですが、ビールはお腹が膨れるのであまり執着がありません。でも文章にするならビール最強。缶を開けるときの「プシュッ」という音、この文字を目にすれば、飲みたくてたまらなくなる。最も酒の話に徹していた小泉武夫さんのエッセイに登場する『千日酒』が面白い。飲めば心地よく酔って千日間。しかしそのまま埋められたら困る(笑)。私は小説のほうが好みでしたが、こんな試みは粋。
読了日:07月22日 著者:角田 光代,島本 理生,燃え殻,朝倉 かすみ,ラズ゛ウェル細木,越谷 オサム,小泉 武夫,岸本 佐知子,北村 薫
https://bookmeter.com/books/17982813
■稲荷書店きつね堂 アヤカシたちの奮闘記 (ハルキ文庫)
ヨモギが学校に行っている様子がないことをいつか通報されやしないかと心配するのはもうやめた(笑)。狐と犬が人間に化けて書店を盛り立てようと奮闘する姿に、ひたすら応援したくなります。加えて、怪しすぎたツンデレの狸がどんどん愛らしくなっている。悪い話が降りかかるのは次に持ち越されたらしく、安心の第4弾。って、いつもわりと安心できますけど。いちばん笑ったのは「なんで吐くまで飲むんだろう」「人間の世界も大変だな」というヨモギたちの台詞。いやほんと、なんでそんなに飲むんでしょうね(笑)。私は最近そこまで飲んでないよ。
読了日:07月23日 著者:蒼月海里
https://bookmeter.com/books/17447029
■夏への扉 [新版] (ハヤカワ文庫SF)
SF映画は大好きなのですが、小説は私の頭ではついていけないことが多く、本作も敬遠していました。しかし不朽の名作といわれる本作を日本で実写化するなんてと驚き、訝りつつ観たら、面白い。で、原作も読むことに。原作ファンの評価は知らないけれど、意外と原作に忠実でよくできた映画だと私は思いました。ダンは巨乳好きで(笑)ベルにお熱だったようで、山崎賢人演じる宗一郎はそんなふうではなかったところが高得点(笑)。また、清原果耶演じる璃子はリッキーほど幼くないから、宗一郎を待っていても違和感なし。今後もSFは映画→小説で。
読了日:07月29日 著者:ロバート・A・ハインライン
https://bookmeter.com/books/16899272
■京都おもしろウォッチング (とんぼの本)
7月に読んだ本を10冊にするための完全な冊数稼ぎで、長らく本棚に飾っていた本書を引っ張り出して読みました。これまでの人生で読んだ本のうち、猛烈に楽しかったものを5冊挙げるとすれば、『超芸術トマソン』がたぶん入ります。本書は路上観察学会の紹介的なところもあるので、書籍としての楽しさはトマソンのほうが上ですが、写真を見ているだけでニヤニヤと笑ってしまう。鬼門とか縛り物とか、ホラー小説を読んだ後なら不気味に見えるものもあったりして(笑)。注意して周りを見ればこんなにも面白いものが転がっている。上を向いて歩こう。
読了日:07月31日 著者:赤瀬川 原平,藤森 照信
https://bookmeter.com/books/21332