『ある家族』
監督:ながせきいさむ
出演:川崎麻世,野村真美,寺田もか,木本武宏,阿部祐二,秋吉久美子,木村祐一他
シネ・リーブル梅田にて、3本ハシゴの1本目。
高校の同期生の息子くんが子役で出演していると聞き。
その同期生とは同じクラスになったことがなく、私の親しい友だちの同級生でした。
だから、顔は知っているけれど、言葉を交わしたことはほとんどなし。
それがSNSで繋がるのですから、懐かしく嬉しいご縁です。
前述の『子供はわかってあげない』と本作の間に観た映画が8本ありますが、
そんな事情もあってこれを先にUPします。
ファミリーホームと呼ばれる児童養護施設があることをそもそも知りませんでした。
さまざまな事情で親と暮らせなくなった子どもを5人から7人、
施設というよりは普通の一軒家で預かって生活する、児童養護の形なのだそうです。
本作の一ノ瀬ホームの「お父さん」は、元児童相談所の職員で、
負傷して体の自由が利かなくなったのをきっかけに退職、ホームを運営しているという設定。
一ノ瀬夫妻(川崎麻世&野村真美)には実子のアカネ(寺田もか)のほか、
ユリ、タケル、カリン、レン、ショウタ、アイ、チハルという子どもがいる。
子どもたちは実の親に捨てられたり虐待されたりして居場所を失い、
児童相談所を通じて一ノ瀬ホームへやってきた。
一定の年齢に達すれば退所しなければならないから、
就職も住むところも決まった最年長のユリは皆に別れを告げて笑顔で出て行くが、
後日スナックで客の見送りをしている彼女を見かけたタケルは驚く。
また、虐待を受けて入所していたカリンを母親が迎えにくるが、
また戻ってくるのではないかとの心配が一ノ瀬夫妻やタケルの頭をよぎる。
かくして心配どおりのことが起きる。
そんなこんなの折、「お母さん」が倒れ、進行した癌であると判明。
体に支障のある「お父さん」だけでホームを運営していくのは無理だと、
子どもたちそれぞれの里親を探すことになるのだが……。
公式サイトを見ても役名が書かれていないので、俳優の名前と役名が一致しづらいのが残念。
子役のみんながそれぞれなんという名前なのかをちゃんと知りたいところ。
役名は暗記して帰宅、忘れないうちにこれを書いています(笑)。
高校の同期生の息子は山川大遥(たいよう)くん。先に聞いていたおかげでわかりました。
彼はショウタ役で、子どもたちの中でただひとり台詞なし。
なんと難しい役どころなのでしょう。
言葉としての台詞はなくても、台詞は台詞で覚えて、手話も覚えて、
自分の心情を観ている者に姿や表情で伝えなければいけない。
次々と里親が決まっていく中、自分には声がかからない。
親にさえ捨てられた自分のことをほしいと言ってくれる人などいるわけがない。
そう訴えて涙する彼を見たら、こっちも泣かずにはいられません。
美少年というわけじゃないけれど(ごめんやで)、ええ役者になりそうでものすごく楽しみです。
就職先で上手く行かなくて水商売に入ったユリに「あんな仕事なんか」と皆が言うのは、
水商売に対して失礼ではないかと思いますし、
ホステスたちを意地悪に描いているのも必要あったかどうか疑問です。
川崎麻世の演技が少し過剰に感じられる部分はあったりもするものの、
本作で児童養護施設の実情を知ることができたのはよかった。
『かば』を観たときにも思ったように、こうして伝えていかねばならぬこと。
児童相談所が不要になる世の中になればいいのにという台詞がありました。
本当にそう思います。
日々起きている虐待やネグレクト。心が痛みます。
心を痛めているだけじゃなくて、なんとかしなくちゃいけない。