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『犬部!』

2021年08月03日 | 映画(あ行)
『犬部!』
監督:篠原哲雄
出演:林遣都,中川大志,大原櫻子,浅香航大,田辺桃子,安藤玉恵,
   しゅはまはるみ,坂東龍汰,田中麗奈,酒向芳,螢雪次朗,岩松了他
 
109シネマズ箕面にて。
 
109シネマズでは、エグゼクティブシートにだけ客がいるという光景をよく見ますが、
この日の客は私ともうひとりで、そのもうひとりのお方は最後列の端っこに。
これはなかなかないことです(笑)。
私はもちろんエグゼクティブシートに着席。
 
原案は2010年に発行された片野ゆかのノンフィクション。
北里大学獣医学部に実在した動物保護サークル“犬部”への取材を基にしているそうです。
 
青森県十和田市にある大学。
獣医学部の学生・花井颯太(林遣都)はバカが付くほどの犬好き。
自室で犬のみならず多くの保護動物の世話をしている。
 
あるとき、目の前のすべての命を救いたいという思いから、
動物保護を目的とするサークル“犬部”を設立。
やはり犬好きの同級生・柴崎涼介(中川大志)と猫好きの佐備川よしみ(大原櫻子)を巻き込んで活動を開始する。
そこに彼らの指導教授・安室(岩松了)の助手を務める秋田智彦(浅香航大)も参加。
 
保護犬の譲渡会などを企画し、動物保護に青春を捧げる颯太は、
やがて卒業、自分の動物病院を開業するに至るのだが……。
 
真面目に話をする前にどうしてもひとこと言いたい。安藤玉恵、サイコー。
本作では颯太が経営する動物病院の看護師役です。
 
殺処分される動物の話は本当につらい。
本作中にも出てくる、商売を目的とするペットショップでの繁殖は
どうにも理解できなくて目を覆いたくなります。
 
獣医になるためには、殺処分対象の生きた犬の解剖をする。
それをしなければ単位がもらえないからと普通は飲むところ、
颯太は「1匹も殺したくない」と教授に直訴。
命を救うために手術をおこなう動物病院を自ら調べて訪ね、
見学を認めてもらってレポートを書くことで教授にうなずかせます。
 
動物を殺したくないんだと主張するばかりではなく、
やるべきことに代わる方法をきちんと自分で見つけ、
国家資格を取得して医師になっても、さまざまな問題が押し寄せる。
他のところに就職して、死んでゆく動物と対峙できずに病む者もいる。
 
またしても思い出します。この台詞を。
「目の前の危機を救えばいいじゃないですか。
 今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、
 明日、世界を救えるわけがないんですよ」。 
 
フィクションの世界にではなく、現実にこれを叶えようとしている人がいる。
それが凄いし、嬉しい。
傍観者になっていてはいけないと思うけれど、どうすればよいかわかりません。

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