『犬部!』
監督:篠原哲雄
出演:林遣都,中川大志,大原櫻子,浅香航大,田辺桃子,安藤玉恵,
しゅはまはるみ,坂東龍汰,田中麗奈,酒向芳,螢雪次朗,岩松了他
109シネマズ箕面にて。
109シネマズでは、エグゼクティブシートにだけ客がいるという光景をよく見ますが、
この日の客は私ともうひとりで、そのもうひとりのお方は最後列の端っこに。
これはなかなかないことです(笑)。
私はもちろんエグゼクティブシートに着席。
原案は2010年に発行された片野ゆかのノンフィクション。
北里大学獣医学部に実在した動物保護サークル“犬部”への取材を基にしているそうです。
監督は、『起終点駅 ターミナル』 (2015)や『花戦さ』 (2016)、
青森県十和田市にある大学。
獣医学部の学生・花井颯太(林遣都)はバカが付くほどの犬好き。
自室で犬のみならず多くの保護動物の世話をしている。
あるとき、目の前のすべての命を救いたいという思いから、
動物保護を目的とするサークル“犬部”を設立。
保護犬の譲渡会などを企画し、動物保護に青春を捧げる颯太は、
やがて卒業、自分の動物病院を開業するに至るのだが……。
真面目に話をする前にどうしてもひとこと言いたい。安藤玉恵、サイコー。
本作では颯太が経営する動物病院の看護師役です。
殺処分される動物の話は本当につらい。
本作中にも出てくる、商売を目的とするペットショップでの繁殖は
どうにも理解できなくて目を覆いたくなります。
獣医になるためには、殺処分対象の生きた犬の解剖をする。
それをしなければ単位がもらえないからと普通は飲むところ、
颯太は「1匹も殺したくない」と教授に直訴。
命を救うために手術をおこなう動物病院を自ら調べて訪ね、
見学を認めてもらってレポートを書くことで教授にうなずかせます。
動物を殺したくないんだと主張するばかりではなく、
やるべきことに代わる方法をきちんと自分で見つけ、
国家資格を取得して医師になっても、さまざまな問題が押し寄せる。
他のところに就職して、死んでゆく動物と対峙できずに病む者もいる。
またしても思い出します。この台詞を。
「目の前の危機を救えばいいじゃないですか。
今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、
明日、世界を救えるわけがないんですよ」。
今、目の前で泣いている人を救えない人間がね、
明日、世界を救えるわけがないんですよ」。
フィクションの世界にではなく、現実にこれを叶えようとしている人がいる。
それが凄いし、嬉しい。
傍観者になっていてはいけないと思うけれど、どうすればよいかわかりません。