『サンマデモクラシー』
監督:山里孫存
ナビゲーター:志ぃさー
ナレーター:川平慈英
シアターセブンで『愛のコリーダ』を観た後、ひとつ上階の第七藝術劇場にて。
ナナゲイはかたい(硬いか堅いか迷って仮名(^^;)作品がかかることが多くて、
興味を惹かれて観に行くものの、睡魔に襲われることもしばしば。
本作も観る前から危ないと思っていましたが(笑)、構成が面白かった。
ナビゲーターを務めるのは沖縄のマルチタレント、志ぃさー。
もとはりんけんバンドのメンバーで、立川志の輔に師事。
落語家ではないけれど、「うちなぁ噺家」を自称して活動しているそうな。
砂浜に敷かれた緋毛氈の上に見台と膝隠し。
そこで彼がとてもわかりやすく説明してくれます。
川平慈英のナレーションもユーモアたっぷりで理解を助けてくれるもの。
1963(昭和38)年、米軍の占領下にあった沖縄。
日本への復帰を願う人たちの食卓に欠かせなかったサンマ。
ところがこのサンマに20%もの関税がかけられていました。
その5年前に公布された高等弁務官布令なるものに、
琉球列島の物品には関税がかかると記されていたから。
しかし、関税がかかると指定された魚の中に「サンマ」はない。
サンマなんてどこにも書いてないのに関税がかかっているっておかしいやないかい、
と、琉球政府相手に税金の還付訴訟を起こしたのが魚の卸売業を営む玉城ウシ。
このサンマ裁判に端を発し、民主主義をめぐる闘争へと発展していった経緯を本作は追います。
ウシおばぁだけの話かと思ったら、違う。
アメリカが最も恐れたと言われる政治家、瀬長亀次郎や、
ウシおばぁを援護する弁護士、下里恵良の話も。
下里恵良は、沖縄が本土に復帰したのち、本土で弁護士資格なしとされた沖縄の弁護士たちを守り、
本土でもその資格を認められるように奔走した人なのだそうです。
アメリカに敵視され、徹底的に潰そうとされた瀬長亀次郎。
アメリカからやってくる高等弁務官なるものの着任式で、
「どうかこれが最後の高等弁務官になりますように」と皆の前で祈りを捧げた牧師、最高です。
「沖縄の自治は神話」、そんな言葉を事実にしちゃいけない。