夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『偶然と想像』

2022年03月23日 | 映画(か行)
『偶然と想像』
監督:濱口竜介
出演:古川琴音,中島歩,玄理,渋川清彦,森郁月,甲斐翔真,占部房子,河井青葉他
 
せっかくの連休中に1本も映画を観ないのもなぁと思い、
一昨日、芦屋で晩ごはんの前にテアトル梅田で2本ハシゴ。
 
『ドライブ・マイ・カー』(2021)がロングラン中。
カンヌ映画祭ゴールデングローブ賞その他、国際的な賞を次から次へと受賞し、
もうじき発表されるアカデミー賞にもノミネートされていて注目度高し。
濱口竜介監督は時の人となった印象です。
 
でも私は『ドライブ・マイ・カー』がそこまで好きじゃありませんでした。
アカデミー賞を取ればいいと同じ日本人としては思っているけれど、
去年観た映画で気に入ったものを20本挙げてもその中には入らない。
なんとなく、海外で字幕で観るほうが良さそうに思ったりも。
 
そんな濱口監督の『ドライブ・マイ・カー』より前で『寝ても覚めても』(2018)より後の作品がこれ。
『ドライブ・マイ・カー』と並行して撮られていたそうで。
私はこっちのほうが好きです。
ただ、ダラダラしゃべっているだけの映画と思う人もいるでしょう。
ウチのダンナなんかは「これにカネ払う意味がわからん」と言いそうです(笑)。
 
1話40分ぐらいの短編3つ。どれもテーマは“偶然”。
 
第1話:「魔法(よりもっと不確か)」。
モデルの芽衣子(古川琴音)は、ヘアメイク担当のつぐみ(玄理)と親友。
撮影帰りのタクシーの中で、つぐみの恋バナを聞かされる。
相手のイケメン男性(中島歩)に運命的な出会いを感じているとつぐみは嬉しそう。
先にタクシーを降りるつぐみを見送った後、芽衣子は運転手にいま来た道を戻るように告げる。
彼女はいったいどこに向かおうとしているのか。
 
第2話:「扉は開けたままで」。
大学で教鞭を執る作家の瀬川(渋川清彦)は、どんなときも研究室の扉を閉めない。
テレビ局に就職が内定していた学生・佐々木(甲斐翔真)が卒業させてほしいと土下座したときも、
扉を開けたままにしておかなければ逆にハラスメントを疑われるという理由で。
内定取り消しとなった佐々木は瀬川のことを逆恨みし、失脚させることを目論むと、
セフレである同級生・奈緒(森郁月)を近づけて瀬川をハニートラップに陥れようとする。
 
第3話:「もう一度」。
東京に暮らす夏子(占部房子)は故郷・仙台でおこなわれる高校の同窓会に出席。
ほとんど友人のいなかった夏子が会いたかったのはただ一人だが、会えずじまい。
帰途についた彼女は、駅のエスカレーターである女性(河井青葉)とすれ違う。
彼女こそ夏子が会いたかった人。エスカレーターを降りて駆け寄り合うふたり。
彼女の家に招かれて20年ぶりの再会を喜ぶが予期しなかった事態に。
 
どれも「ない」とは言い切れない偶然。
第3話に関しては「こんなことがあってもいいかもね」と思えますが、
第1話と第2話はありがたい偶然とは言えません。
特に第2話は瀬川があまりに気の毒で、奈緒よ、佐々木に仕返ししろ!と思う。
その辺りもこちらが勝手に想像してもよいようになっています。
 
本作も『ドライブ・マイ・カー』同様に海外でも高い評価を受けているそうで、
「フランスの巨匠エリック・ロメールを思わせる」と言われても私にはわかりません。
古川琴音が気になるし、河井青葉が好きなので劇場鑑賞したけれど、
これは大画面で観なくてもいい映画だという人もいるんじゃないでしょうかね。
私はこういう延々しゃべる作品は嫌いじゃない。

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