夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

第94回アカデミー賞のもろもろ受賞作品について

2022年03月29日 | 映画(番外編:小ネタいろいろ)
ご存じのとおり、第94回アカデミー賞の授賞式が昨日おこなわれました。
ノミネートの対象は2021年の3月から12月にかけて公開された作品です。
 
こうして日本の作品が受賞したときは特に、友人知人から「あれ観た?」と聞かれます。
本ブログで探したけれど、見つけられないとも。
このブログのプロフィール欄の下、検索の窓をお使いいただくと簡単なのですが、
あいまい検索はできないため、一字ちがうだけでヒットしません。
でも前方一致検索はできますから、たとえば “『ドライブ” だとか “『パワー” というふうに、
始め二重括弧のみで閉じ二重括弧なし、中黒の前までで検索をかけてもらうと簡単です。
 
と書き始めたついでに、今回の主な受賞作の私の記載ページを挙げますけれど、
配信のみで未見の作品、先週末公開されたばかりで未見の作品があります。
 
主演男優賞:『ドリームプラン』のウィル・スミス
主演女優賞:『タミー・フェイの瞳』のジェシカ・チャステイン ←配信のみで未見。
助演男優賞:『コーダ あいのうた』のトロイ・コッツァー
助演女優賞:『ウエスト・サイド・ストーリー』のアリアナ・デボーズ
脚本賞:『ベルファスト』 ←先週末封切りで未見。
脚色賞:『コーダ あいのうた』
長編ドキュメンタリー映画賞:『サマー・オブ・ソウル(あるいは、革命がテレビ放映されなかった時)』 ←観る機会があったのにスルー。
衣装デザイン賞:『クルエラ』
 
短編ドキュメンタリー映画賞と短編映画賞、短編アニメ映画賞受賞作品は日本未公開。
いずれ配信で観られるかもしれませんね。
 
『DUNE/デューン 砂の惑星』は作曲賞のほか、音響賞、美術賞、撮影賞、編集賞、視覚効果賞も受賞しています。
受賞個数でいえば最多6冠なのに、監督としてはちょっと不本意でしょう。
でも裏方の皆さんにとってはとても嬉しい受賞だと思います。確かにワクワクする映像でした。
 
ノミネートされたものの受賞を逃した作品のうち、鑑賞済みで上記にないものはこちらに。
 
作品賞にノミネート:『ドント・ルック・アップ』
主演女優賞にノミネート:『ロスト・ドーター』のオリヴィア・コールマン
長編アニメ映画賞にノミネート:『ラーヤと龍の王国』
国際長編映画賞にノミネート:『ブータン 山の教室』
短編ドキュメンタリー映画賞にノミネート:『私の帰る場所』
メイクアップ&ヘアスタイリング賞にノミネート:『星の王子ニューヨークへ行く2』『ハウス・オブ・グッチ』
衣装デザイン賞にノミネート:『シラノ』
 
てなところです。

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『クラム』

2022年03月29日 | 映画(か行)
『クラム』(原題:Crumb)
監督:テリー・ツワイゴフ
 
アップリンク京都にて、前述の『夢みる小学校』の次に。
今年2度目の“おひとりさま”。まだ3月なのに場内ひとりがすでに2度目とは。
 
1994年のアメリカ作品をリバイバル上映中です。
プロデューサーとしてデヴィッド・リンチが名を連ねています。
 
確かに絵は見たことがあります。でもその作者の名前は知りませんでした。
1943年生まれ、ペンシルヴェニア州フィラデルフィア出身の漫画家ロバート・クラム。
1960年代のアンダーグラウンドコミックスの代表作家といえる人。
“フリッツ・ザ・キャット”は本人の望まぬ形で映画化されるもヒットしました。
 
彼自身に密着したドキュメンタリー作品です。
5人兄弟妹の次男で、妹たちは本作への出演を拒否したそう。
兄チャールズと弟マクソンにロバートが会いに行くシーンが頻出しますが、
なんとも歪んでいて正気とはいえない家族です。
 
チャールズは高校を卒業してから40代後半に至るこのときまで引きこもり。
精神安定剤を飲みつづけ、母親と同居しています。
一方のマクソンは家を出てひとりで暮らし、針の筵の上で毎日座禅を組んでいる。
チャールズにもマクソンにも絵の才能はあるようですが、どちらの絵もどことなく恐ろしい。
 
3兄弟が語るのは、暴君だった父親のもとで性的に抑圧されていたということ。
その影響がロバートの絵にも表れていて、大人気を博す一方、
LSDに手を出した後は卑猥で、特に女性に嫌悪感をもたらすもの。
また、差別主義者であることも作品からは見て取れるけれど、それを隠そうともせず、
なんというのか一事が万事、投げやりな態度なんです。
当時の評論家や漫画家、編集者の作品評も面白い。
 
“フリッツ・ザ・キャット”の映画版が気に入らなくて、
二度と映画に登場させられないように、主人公のフリッツを自作の中で殺した話が可笑しい。
しかもフリッツの殺され方がえげつなくて、ダチョウ女にアイスピックで刺されるという。(^^;
 
幸せとはいえない幼少期を過ごした彼が、
フィラデルフィアのヘイトストリートの街並みに文句を言いながらも住みつづけ、
やがて南フランスへと渡るまでの日々が綴られています。
 
観終わってから知りましたが、『アメリカン・スプレンダー』(2003)で、
ポール・ジアマッティ演じる主人公の友人役で出てくるのがロバートなんですね。
 
本作の完成後にチャールズが自殺したというテロップがあり、途轍もない喪失感に襲われる。
ロバートは存命。彼のことを現代のゴヤブリューゲルと称賛する批評家もいました。
いま彼はどこで何をしているのか。

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