『永遠の1分。』
監督:曽根剛
出演:マイケル・キダ,Awich,毎熊克哉,片山萌美,ライアン・ドリース,
ルナ,中村優一,アレキサンダー・ハンター,西尾舞生,渡辺裕之他
イオンシネマ茨木にて。
脚本を手がけたのは『カメラを止めるな!』(2018)の上田慎一郎監督。
『カメ止め』で撮影を務めた曽根剛が本作の監督です。
コメディが得意なアメリカ人の映像監督スティーブ(マイケル・キダ)は、
相棒ボブ(ライアン・ドリース)と共に作品を制作していたが、
許可を取らずに道路で撮影していたものだから警察沙汰に。
たびたびこういうことを起こすスティーブに上司は怒り、解雇寸前。
もしもクビになりたくないならば、日本へ行くように命じられる。
日本で撮ってくるように言われたのは、東日本大震災のドキュメンタリー。
コメディしか撮ったことがないスティーブにシリアスな題材なんて無理。
楽天家のスティーブは、とりあえず日本へ行こうとボブを誘い、
「日本に行ったけれど、震災はすでに過去のもの。
誰も覚えていないし復興しているから、取材できなかった」と言えばいいと考える。
通訳として同行してくれることになったのが女優だという玲奈(ルナ)で、
アジアン美女の彼女を見たスティーブとボブは若干やる気に。
震災をテーマにした映画など撮る気はないとも玲奈には言えないから、
とりあえず被災地を訪れて取材を始めるのだが……。
初めの何分かはとても嫌でしたねぇ。
飛行機の中でも店の中でも大声でしゃべるスティーブとボブ。やかましいっちゅうねん。
このまま話が進むととても嫌だなと思いながら。
話に入り込めるようになったのは、スティーブが被災地で観た演劇に触発されてから。
そこで会った週刊誌の記者マキ(片山萌美)の協力のもと、
被災者たちがそんな状況下でも笑いを求めていたことを知り、
彼らに出演してもらってコメディ映画を撮ることを考えはじめます。
一方、歌手のレイコ(Awich)は仕事を優先して息子を親に預けたせいで、
実家が被災して息子を亡くしました。
日本にいることがつらくて渡米しますが、傷は癒えない。
レストランオーナー(アレキサンダー・ハンター)に促されて店で歌うまでは、
日本から来たというだけで放射能を心配する客の差別にも遭います。
そんな彼女に日本から手紙を送り続けるのがタクシー運転手の夫(毎熊克哉)。
全体的には自主映画的な雰囲気が漂っています。
でも、被災地を舞台にしたコメディを撮ることを否定的に捉えられたせいで、
結局スティーブが自主制作した作品の話だからこれでよいかと。
阪神・淡路大震災の後に出版された『大震災名言録』を読んで大笑いしたのを思い出します。
いつだって、笑いと歌は必要。