夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ゴヤの名画と優しい泥棒』

2022年03月04日 | 映画(か行)
『ゴヤの名画と優しい泥棒』(原題:The Duke)
監督:ロジャー・ミッシェル
出演:ジム・ブロードベント,ヘレン・ミレン,フィオン・ホワイトヘッド,アンナ・マックスウェル・マーティン,
   マシュー・グード,ジャック・バンデイラ,エイミー・ケリー,シャーロット・スペンサー他
 
休日、本当は西宮で観たい作品があったのですが、遠いなぁと断念(泣)。
朝1本だけイオンシネマ茨木で鑑賞することにしました。
9時に着いて11時過ぎにイオンを出るならば、入庫&出庫渋滞にもひっかからないと思われ。
 
こんな大騒動が本当にあったのですね。ゴヤ名画“ウェリントン公爵”盗難事件。
監督はロジャー・ミッシェル。まだ65歳だったのに、昨秋にお亡くなりになってしまいました。
『ノッティングヒルの恋人』(1999)が懐かしい。
 
1961年のイギリス。
60歳のケンプトン・バントンは、公共放送BBCの受信が有料であることに納得できず、
受信料の無料化を求めて熱心に活動していた。
メディアに訴えかけるなど、さまざま行動に出るものだから、トラブルも頻発。
 
そんななか、ゴヤの“ウェリントン公爵の肖像”を政府が14万ドルで購入したとのニュースが。
そしてある日、ロンドン・ナショナル・ギャラリーに展示されていたその名画が盗まれる。
なんと犯人はケンプトンで、次男ジャッキーと結託して自宅の箪笥の中に隠す。
 
ケンプトンはこの絵を人質に、高齢者のBBC受信料を無料にするよう、
匿名で政府に脅迫状を送りつけるのだが……。
 
なんともユーモアにあふれた事件です。誰がこんなことを思いつくというのでしょう。
美術館から名画を盗み出しておいて、受信料の無料化のみを求め、
自ら手渡しで返却しに歩いてやってくる奴なんて、正気じゃないけど惹かれます。
 
ケンプトン役に名優ジム・ブロードベント。この人が亡くなっても私は悲しいだろうなぁ。
理想主義者で楽天家すぎるこの夫に困り果てている妻ドロシーにヘレン・ミレン
息子のジャッキーがまた本当にいい奴で、彼の役をフィオン・ホワイトヘッド
ケンプトンの弁護士ハッチンソン役のマシュー・グードがめっちゃよかった。
 
ふざけているわけではないんです。
戦争でお国のためにと言われて戦った退役軍人や年金受給者にとって、テレビは友だち。
外界と彼らを繋げてくれて、孤独を和らげてくれるかもしれない。
いつからそんなことを考えるようになったのかとハッチンソンに問われたケンプトンが
幼い頃に命を落としかけたときの話をするとき、じんわり涙が出ました。
 
原題は“The Duke”。この名画を英語で言うと“Portrait of the Duke Wellington”。
実物を見たケンプトンが「たいした絵じゃないな」というのも笑ったし、
「普通選挙に反対した人物だぞ。それに14万ドルも税金を払うなんて」というのも可笑しかった。
そうですか、そういう人なんですね、ウェリントン公爵って。
私の知識って、映画からばっかりやなぁ。

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