夜な夜なシネマ

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『ヒプノティスト 催眠』

2013年08月01日 | 映画(は行)
『ヒプノティスト 催眠』(原題:Hypnotisoren)
監督:ラッセ・ハルストレム
出演:ミカエル・パーシュブラント,レナ・オリン,トビアス・ジリアクス,
   オスカル・ペッタソン,アンナ・アスカラーテ,ヨナタン・ボークマン他

B級を感じる邦題ですが、『マイライフ・アズ・ア・ドッグ』(1985)、
『ギルバート・グレイプ』(1993)、『サイダーハウス・ルール』(1999)の名匠、
スウェーデン出身のラッセ・ハルストレム監督による作品です。

最近は『HACHI 約束の犬』(2008)でリチャード・ギア、
『親愛なるきみへ』(2010)でチャニング・テイタム
『砂漠でサーモン・フィッシング』(2012)でユアン・マクレガーと、
アメリカやイギリスで著名俳優を起用して撮ることがほとんどでしたが、
本作は1987年以来の母国凱旋作品だそうで。
この監督、こんな作品も撮るんだと驚いたサスペンスです。

本作の主演はハリウッド俳優ではないものの、
『未来を生きる君たちへ』(2010)が強い印象を残したミカエル・パーシュブラント。
妻役にはハリウッド作品でもおなじみのレナ・オリン。
彼女が約10年前にハルストレム監督と再婚していたとは知らなんだ~。

どこで上映されていたかは知らず、先週末にDVDレンタル開始。

ストックホルム郊外で、ある夜に起きた一家惨殺事件。
体育教師の父親をまずは体育館で殺害してから自宅にやってきた犯人は、
母親と15歳の息子、幼い娘をメッタ刺しにしたらしい。

死亡した父親が発見され、彼の自宅の惨状までは知らずに駆けつけた国家警察の警部ヨーナは、
かろうじて息をしている息子ヨセフを病院へと運ぶ。
ヨセフは犯人の姿を見ているはずだが、昏睡状態では話も聞けない。

困り果てるヨーナに、女医のダニエラは「方法がひとつだけある」と言う。
ダニエラは催眠療法の第一人者として知られる精神科医エリックに電話。
ある事情から催眠療法を封印していたエリックだったが、
さらなる犯行を懸念するヨーナの気持ちを汲み、ヨセフの意識と接触。
それ自体は成功したものの、ヨセフが取り乱したために途中でやめる。

数日後、エリックと妻シモーヌの就寝中に何者かが押し入り、
息子のベンヤミンが連れ去られてしまう。
「催眠をやめろ、さもなくば息子の命はない」とのメッセージが残されていて……。

北欧のミステリーは厳しく重く、でも真夏に観るには冷ややかでいいかも。
ヨセフの目つきが『少年は残酷な弓を射る』(2011)を思わせ、
嫌な感じだなぁと思っていたら、やはりそんな展開。
オカルトっぽい異常さはそれなりに怖く、『ゴースト・フライト407便』よりドキドキできます。

エリックは2年前にダニエラと浮気していた事実があり、
それゆえダニエラから着信があるとシモーヌは居たたまれません。
仕事の話だと説明されようとも信じることができず、イライラ。
しかし、ベンヤミンが誘拐されたことをきっかけに、ふたりの気持ちに変化があらわれます。
ま、こんなことをきっかけにされちゃあ、息子はたまりませんが、
ラストの家族団らんシーンには思わずウルウル。

シモーヌが画家であることもちょっとした伏線で、ちゃんと最後に生きてきます。
放り出したままの点がなかったのも楽しめた理由でしょう。

たとえ狂人であっても、母親は息子を想う。

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