『銀河鉄道の父』
監督:成島出
出演:役所広司,菅田将暉,森七菜,豊田裕大,坂井真紀,田中泯他
TOHOシネマズ梅田にて。ひとり飲みの前に1本だけ。
原作は門井慶喜の直木賞受賞作。
その後はわりとコンスタントに撮っていらっしゃるようです。
早く家業を継がせたい父親に抗い、進学させてほしいと主張する。
怒りを募らせる政次郎を長女で賢治の妹トシ(森七菜)が説き伏せ、賢治は無事進学。
ところが、一流校を目指すと思いきや農業を学ぶと言うわ、人造宝石で一儲けしたいと言うわ、
果てには学校を辞めて日蓮宗に身を捧げると言い出す。宮沢家は浄土真宗だというのに。
どうすればいいのか政次郎も困り果てる。
そんな折、トシが結核で倒れてしまう。
昔から「日本のアンデルセンになる」と妹に話していた賢治は、トシを励まそうと物語を書きはじめて……。
宮沢賢治がこんな人だとは知らなかったんです、私。
こらえ性がないというのかなんというのか、ダメダメですよねぇ(笑)。
それにひきかえトシの賢いこと。父親も兄もトシの手のひらの上で転がされている。
そのやりとりが可笑しくて、場内からしばしば笑いがこぼれていました。
家族みんなが取り押さえようとして慌てているシーンで、トシが喜助の頬をビンタ。
「きれいに死ね!」と言うところです。強烈すぎて笑ってしまうくらい。
ただ、トシはそう言ったあとに喜助をしっかりと抱きしめ、
「人は必ず死ぬのだから、死を恐れることはない。みんな爺ちゃんのことが大好きだ」と言います。
トシが亡くなった後、自分がいちばんの読み手になるから書くのをやめるなと賢治に言った政次郎。
娘に続いて息子まで喪ってしまう場面では涙が止まらなくなりました。
生きている間はその作品が売れることはなかった賢治。
彼が今もこうして読み継がれているのは、この父親がいたからこそなのかもしれません。