『アンダーグラウンド』(英題:Underground)
監督:エミール・クストリッツァ
出演:ミキ・マノイロヴィッチ,ミリャナ・ヤコヴィッチ,ラザル・リストフスキー,スラヴコ・スティマチ,
エルンスト・シュトッツナー,スルジャン・トドロヴィッチ,ミリャナ・カラノヴィッチ他
シネマート心斎橋にて、『スイッチ 人生最高の贈り物』の次に。
1995年のフランス/ドイツ/ハンガリー作品です。
いつだったか、テレビで放映されていたときに母に録画を頼みました。まだVHSだった時代。
観よう観ようと思っていたのに、3時間近い長尺だから集中力がもたず、家で観るのは断念。
これを観ないまま私は死ぬのだろうかと思っていたら、鑑賞の機会が巡ってきました。
エミール・クストリッツァ監督の作品は、ふだんあまり映画を観ない人にはお薦めできません。
ハリウッド映画とはまったく違いますし、そもそもこの音楽。慣れていないとビビる(笑)。
けれども凄く難解というわけでもなくて、『ウェディング・ベルを鳴らせ!』(2007)のように、
結構いろんな人が楽しめるんじゃないかという作品もあります。
本作は、1941年から始まった旧ユーゴスラビアの戦いと動乱の歴史を描いています。
「ユーゴスラビア」という国名が出てくることはなく、ただ「くに」と呼ばれるだけですが、
ベオグラードだったりザグレブだったりという都市名は頻繁に登場します。
主人公はマルコとクロというふたりの男性。
詩人で共産党員のマルコは、元電気工のクロを入党させ、共にパルチザンに参加。
ナチスの爆撃を受けたベオグラードは焼け野原となり、
イヴァンは生き残ったチンパンジーのソニを連れて命からがら逃げ、兄マルコを頼ります。
クロの妻ヴェラは、息子のヨヴァンを出産する際に亡くなりましたが、
妻の生前から舞台女優のナタリアに入れあげていたクロは、恋敵であるナチス将校フランツを殺してナタリアを奪う。
マルコの助けによりナチスからなんとか逃げおおせたクロでしたが、大怪我を負います。
こうしてマルコのもとに集結した生き残りの人々。
それはイヴァンやクロ、ナタリアのみならず、爆撃を避けて地下に身を潜めていた人たちで、
彼らは戦争が終わったことを知らずにずっと地下で暮らし続けることに。
戦争の終結を知っているのはマルコとナタリアだけで、クロは怪我のせいで地下室に寝たきり。
マルコは地下の住人に戦争が続いているものと思わせて武器を造らせます。
武器商人として金を稼ぎまくるマルコ。
3時間はなかなかにつらくて、途中少しだけ寝そうになりました。
でもこれは壮大な作品ですよね。
本作から30年近くが経過しようとしているのに、世界のどこかで途切れることなく戦争が続いています。
なぜ争うことをやめられないのでしょうか。