夜な夜なシネマ

映画と本と音楽と、猫が好き。駄作にも愛を。

『ハンターキラー 潜航せよ』

2019年04月23日 | 映画(は行)
『ハンターキラー 潜航せよ』(原題:Hunter Killer)
監督:ドノヴァン・マーシュ
出演:ジェラルド・バトラー,ゲイリー・オールドマン,コモン,リンダ・カーデリーニ,
   ゼイン・ホルツ,ミカエル・ニクヴィスト,トビー・スティーブンス他
 
TOHOシネマズデーにTOHOシネマズ伊丹にて。
 
ジェラルド・バトラー、結構好きです。
弁護士として仕事をしたことはあるんですかね。
何かあればこんな人に弁護をお願いしたい(笑)。
 
米海軍原子力潜水艦タンパ・ベイがロシア近海で姿を消す。
露軍の襲撃を受けた模様だが、いったい何が起きたのか。
“ハンターキラー”と呼ばれる攻撃型原子力潜水艦アーカンソーが捜索に向かうことになり、
少将フィスクが艦長に任命したのはジョー・グラス。
 
グラスは人生の大半を潜水艦で過ごしたという現場のたたき上げで、
そんな者がこの一大事に艦長を務めるのは前代未聞。
しかし、だからこそこの状況に対応できるのではないかとフィスクは考えたのだ。
 
一方、ネイビーシールズの5名が露軍基地の様子を探るため現地入り。
そこで判明したのは、露国防相ドゥーロフによるクーデターの企て。
ドゥーロフは大統領ザカリンを拉致監禁し、
全権を自分のものにして第三次世界大戦を勃発させようとしているのだ。
 
応戦やむをえずという意見が大半のなか、フィスクはザカリン救出を提案。
グラス率いる水中のアーカンソーと陸地のネイビーシールズが連携し、
ザカリン救出に向かうのだが……。

困ったことに、軍隊について私はさっぱり詳しくないので、
誰がどういう立場で、上下関係もよくはわからない。
ここにあらすじを書こうとすると、官職名が思い出せません。(^^;
 
実際にこんなことが起きたら、こう上手く行くなんてあり得ませんが、
そこはジェラルド・バトラー主演の娯楽もの、安心して観ていられます。
米露の戦いとなると笑って観られないところもありそうだけど、
米露どっちが良いとか悪いとかの話にはならず、どちらにもいい人がいて、
悪いのは露国防相だけ。上手くバランスを取っています。
 
こんな娯楽ものなのに、泣きそうになったシーンもいくつか。
一昨年急逝してしまったミカエル・ニクヴィストが露側の艦長で、
ジェラルド・バトラーと心を通わせるところなんぞに涙。
この人の演技をもう見られないんだと思うとさらに泣けてくる。
まだ56歳だったのに。本当に残念です。
 
小難しい映画は苦手だという人には本作みたいなのがお薦めですよね。

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『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』

2019年04月22日 | 映画(ま行)
『名探偵コナン 紺青の拳(こんじょうのフィスト)』
監督:永岡智佳
声の出演:高山みなみ,山崎和佳奈,小山力也,山口勝平,山崎育三郎,河北麻友子,
     緒方賢一,岩居由希子,高木渉,大谷育江,林原めぐみ他
 
日曜日とTOHOシネマズデーが上手く重なりました。
TOHOシネマズ伊丹にて、公開されたばかりの“名探偵コナン”を。
相変わらず大人気で、朝8:20の回なのにほぼ満席。
次回は満席で、その後の回も一日中ずっと残席が少ない状態。
私にしても、以前はほかに観るものがないときに観ていただけでしたが、
ここ最近は必ず観たい気持ちにさせられています。
 
劇場版シリーズ第23弾だそうで。ついにコナンも海外ロケ(笑)。
いざ、シンガポールへ。
 
空手家の京極真がシンガポールでおこなわれる大会に出場すると知り、
江戸川コナンはそれを観戦したくて仕方がない。
彼のパスポートには工藤新一の顔が写っているわけだから、
新一の姿に戻る薬を灰原哀に求めたところ、一蹴される。
観戦をあきらめざるを得なくなり、がっかりするコナン。
 
ところが、何者かに襲われて失神したコナンが目覚めると、そこはシンガポール。
彼を襲った犯人は変装名人の怪盗キッドで、なんと新一になりすましているではないか。
 
新一になりすましたキッドは、毛利蘭や鈴木園子と真の試合を観戦するふりをしつつ、
実際はシンガポールにある秘宝ブルーサファイアを狙っているらしい。
しかしブルーサファイアを頂戴するつもりならば、
わざわざ新一になりすましてコナンをシンガポールまで連れてきた意味は何なのか。
コナンは蘭と園子にコナンだと名乗るわけにいかず、
現地の子どもでアーサーヒライという名前だと偽る。
 
一方、マリーナベイ・サンズ近郊で殺人事件が発生。
そこには怪盗キッドの犯行を示すカードが残されており、キッドは追われることに。
キッドを犯人に仕立て上げるために練られた計画だとわかるのだが……
 
いや〜、面白いですよねぇ、コナン。
今回はシンガポールが舞台ということで、英語が飛び交う飛び交う。
字幕が表示されるシーンも多く、子どもがこれについていけるのか。
けど、“ドラえもん”よりは年齢層がずいぶん上なのでしょう。
誰も退屈することなく、ときには大きな笑い声も。湧いています。
 
前作のすげ〜カーアクションに比べると、ハラハラしなかったけれども、
次々と仕掛けられたどんでん返しが楽しい。
 
私はひそかに小五郎のおっちゃんにイライラしています。
あんた、飲みすぎやし、女性に鼻の下のばしすぎやろ!(笑)
 
すっかりコナンが好きになっちゃいました。
しかもちょっとキュンキュンできます。

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『バイス』

2019年04月20日 | 映画(は行)
『バイス』(原題:Vice)
監督:アダム・マッケイ
出演:クリスチャン・ベイル,エイミー・アダムス,スティーヴ・カレル
   サム・ロックウェル,タイラー・ペリー,アリソン・ピル他
 
選挙の日に、TOHOシネマズ伊丹にて1本だけ。
 
いつの頃からかよく見かけるようになった、
プロデューサーとして名を連ねているブラッド・ピット。本作もそう。
ついでにと言っちゃなんですが、ウィル・フェレルの名前も。へ〜っ。
本人が出演するのはおちゃらけた作品でも、
こういう社会派作品の製作に関わっているとわかれば、
「出来る人」みたいなイメージがつきそうな気もします。
 
ジョージ・W・ブッシュ政権で副大統領(バイスプレジデント)を務めたディック・チェイニー。
彼の実像とともにブッシュ政権の内幕を描く、かなりブラックなコメディです。
 
1960年代半ば。
ディックは学業に優れているわけでもスポーツに秀でているわけでもない若者。
そんな彼の恋人リンは名門大学でオールA。
彼女の勧めでイェール大学に進学したディックだったが、
授業にも出ずに酒ばかり飲んで事故を起こしてはリンにすがる。
 
いくら成績が良くても自分は女だから議員にも大統領にもなれない。
その夢をディックに託しているのに、彼はどうしようもないろくでなし。
我慢ならないリンは、心を入れ替えなければ別れるとディックに宣言。
 
どうしても別れたくなかったディックは一念発起。
下院議員ドナルド・ラムズフェルドのもとで政治のいろはを学びはじめたところ、
彼にはその天賦の才能があったようで、めきめきと頭角をあらわす。
さまざまな政界の要職を歴任したのち、世界最大の石油掘削機販売会社のCEOに着任。
平穏無事に家族で暮らす日々が続くはずだった。
 
そこへ、ジョージ・W・ブッシュから連絡が入る。
大統領選に出るから、大統領になったあかつきには副大統領になってくれないかと。
副大統領といえば形だけの役職に過ぎない、ただのお飾り。
断るつもりで出向いたディックだったが、
ありとあらゆる権限を得る手段があることに気づく。
こうしてディックはアメリカのみならず世界を思い通りに動かしはじめるのだが……。
 
構成が面白く、途中でエンドロールもどきが流れたときは笑いました。
 
とにかく曲者役者ばかり。
老けメイクはものすごく苦手な私ですが、クリスチャン・ベイルの顔ももともと苦手なため、
むしろチェイニー役の彼が老けメイクをしていてくれてよかった(笑)。
ラムズフェルド役のスティーヴ・カレル、ブッシュ役のサム・ロックウェル
3人とも堂々のタヌキおやじぶり。
 
チェイニーもすごいんですけど、その奥様リンの逞しさといったら。
女にできることは限られていた時代、夫を利用してどんどんのし上がって行きます。
 
悪いところばかりが描かれているのではなく、
チェイニーとリンが娘たちを大事にしていたことも見て取れる。
レズビアンだと両親に打ち明けた次女を守るため、
大統領になることをあきらめたわけですが、
しかし、長女が政界に進出するときは両親共に次女を守らなかった。
そのせいで長女と次女の仲が険悪になってしまったのは悲しいことです。
 
こういう話まで入れたせいで、ちょっと中途半端になった印象。
夫婦も娘もみんな健在だから、気遣いを見せざるを得ななかったのかも。
もっとブラックなほうが面白い作品になった気はします。
 
若者たちは政治になんてまるで興味ないんだよ、
『ワイルド・スピード』のほうが楽しいんだから。

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『マイ・ブックショップ』

2019年04月18日 | 映画(ま行)
『マイ・ブックショップ』(原題:The Bookshop)
監督:イザベル・コイシェ
出演:エミリー・モーティマービル・ナイ,パトリシア・クラークソン,ハンター・トレメイン,
   ジェームズ・ランス,フランシス・バーバー,レッグ・ウィルソン他
ナレーション:ジュリー・クリスティ
 
十三で1本、梅田で3本、計4本ハシゴしたこの日。
本命はシネ・リーブル梅田で4本目に観た本作でした。
 
原作はブッカー賞受賞作家ペネロピ・フィッツジェラルドの『ブックショップ』。
 
1959年、イギリスの海岸沿いにある小さな町。
戦争で夫を亡くしたフローレンスは、この町に書店を開くことを決意する。
夫との夢が、1軒も書店のないこの町に書店を開くことだったから。
 
7年のあいだ空き家だったオールドハウスを買い取り、
着々と書店オープンの準備を進めていたところ、思わぬ横やりが入る。
保守的な町では新しいものを嫌う人も多く、地元の有力者ガマート夫人がその筆頭。
 
ガマート夫人は、自分もオールドハウスを買うつもりであったと言い、
すでに住居としても使用しているフローレンスに引越しを強要する。
フローレンスが断ると、以来、ガマート夫人の執拗な嫌がらせが。
 
それでもなんとかオープンにこぎつけたフローレンス。
応援してくれる人はごくわずかな中、
町外れの屋敷に40年ひきこもっている老紳士ブランディッシュから
フローレンスお薦めの本を見繕って届けてほしいという連絡が。
こうしてフローレンスとブランディッシュのささやかな交流が始まるのだが……。

湿気の多い建物なんて、およそ書店には向かないと思うのですが、
そこはスルーするとして。(^^;。
 
フローレンスにエミリー・モーティマー
『メリー・ポピンズ リターンズ』のジェーン伯母さんですね。
ブランディッシュにビル・ナイ。めちゃくちゃイイ。
意地悪で不愉快なこと極まりないガマート夫人にパトリシア・クラークソン
 
ネタバレになりますけれども。
 
ブランディッシュの説得にガマート夫人が心を入れ替えてハッピーエンド、
なんてことには残念ながらなりません。
見かけだけの慈善家に結局は負けてしまうという、悲しいエンディング。
でも、書店を手伝っていたおしゃまな少女クリスティーンが
ちょっとした(ものすごい)仕返しをしてくれて胸のすく思い。
 
独裁者は自分の支配下にあると信じる人々が本を読むことを嫌う。
書店や図書館を封じ、本を没収し、焼いてしまうこともある。
書店のある国は栄えるという言葉を思い出します。
人が考えるということを抑えつける国は発展しない。
 
ずっと心に残りそうな物語です。
本好きの人には絶対オススメ。

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『ザ・プレイス 運命の交差点』

2019年04月17日 | 映画(さ行)
『ザ・プレイス 運命の交差点』(原題:The Place)
監督:パオロ・ジェノヴェーゼ
出演:ヴァレリオ・マスタンドレア,マルコ・ジャリーニ,アルバ・ロルヴァケル,ヴィットリア・プッチーニ,
   ロッコ・パパレオ,シルヴィオ・ムッチーノ,シルヴィア・ダミーコ,ヴィニーチョ・マルキオーニ他

ナナゲイで『世界一と言われた映画館』を観て、
梅田阪急のB2でグラスワイン1杯とおつまみセット。
グランフロントを通ってシネ・リーブル梅田へ移動しました。
最近はムスリムの人たちもよく見かけます。
世界中のあちこちから観光に来られているのですねぇ。
 
イタリア作品。
監督は『おとなの事情』(2016)のパオロ・ジェノヴェーゼで、
アメリカの人気ドラマのリメイクとのこと。
2016年にシーズン1から3まで制作され、Netflixで放映されたそうな。
もとのドラマを観ていないので比べようがありませんが、
もともとイタリアのドラマだったかのようなヨーロッパ感が漂っています。
 
ローマのとある交差点角にあるカフェ“ザ・プレイス”。
分厚い手帳を手に一日中おなじ席に居座り続ける謎の男。
 
彼に相談事をしてアドバイスに従えば、どんな願い事も叶えられるという。
入れ替わり立ち替わりやってくる老若男女9人の訪問者の願いはさまざま。
認知症の夫に戻ってきてほしい、幼い息子の病を治したい、
美人になりたい、視力を取り戻したい、神の存在を感じたい、などなど。
 
その願いを叶えるためにはどうすればいいのかと問う訪問者たちに
謎の男が命じるのはあまりにおかしなことばかり。
爆弾を仕掛けよ、少女を殺せ、強盗せよ、妊娠せよ、強姦せよ。
客たちは非情な話で無理難題だと思いつつも、
自らの願いを叶えたい一心で、なんとか実行しようとするのだが……。

一見かかわりのない9人が相談に来ていると思いきや、繋がっています。
観ている間に、その繋がりが少しずつわかっていくのが面白い。
 
キャッチコピーは、「欲望の代償は、他人の運命」。
自分の欲望のために人は残忍になれるのか。
根っからの悪人は相談に来ないから、そこまで残忍にはなれません。
男の言うとおりにしようと努めた結果、見えてくるもの。
良い結果ばかりではなく、辛い結果も待っています。
 
謎の男の口数がとにかく少ない。
感情を表にも出さないようにしているけれども、微妙に見え隠れします。
そんな男を演じる主演のヴァレリオ・マスタンドレアをはじめとして、
イタリアでは有名な俳優が多く出ているようで。確かに巧い。
 
オリジナルのアメリカ版をものすごく観てみたいです。
きっとずいぶん空気はちがうのでしょうね。

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