『凱歌』
監督:坂口香津美
京都シネマで3本ハシゴの2本目。
ハンセン病はらい菌によって引き起こされる感染症。
かつて患者は全国に点在するハンセン病患者の収容施設に強制的に入所させられました。
そのうち、東京都東村山市にある国立療養所多磨全生園に入所していた元患者の人々を
9年間にわたって撮影したドキュメンタリーです。
ハンセン病患者が結婚するときは、子どもを産めなくする手術も強制されました。
男性側の断種か女性側の不妊手術を強いられる。
本作に登場する山内さん夫婦は、ふたりともハンセン病患者でした。
自分が手術を受けるよという妻に、
女性にそんな手術を受けさせるなんて男が廃ると断種手術を受けた夫。
病弱だった夫は結婚時に余命4年と言われていたそうで、
22歳だった妻は「4年で亡くなるなら、この人が亡くなった後でまた恋ができる」と思ったと笑います。
でも結局、夫はその後60年近く生き、いつまでも仲睦まじい夫婦でした。
ハンセン病でなかったらよかったのに、
指があればよかったのにと思ったことはないかと若者から問われ、
「残念ながらそう思ったことはないのよ。
私を見た誰かが、この人よりいい、五体満足でよかった、そう思ってくれたらそれでいいから」。
こんなこと普通思えますか。すごい。
隔離されて、閉じ込められて、子どもを持つことは許されず、
この世に存在しなかったかのように生きることを強いられて来た人たち。
この事実は多くの人が知らなきゃいけないと思います。