『KCIA 南山の部長たち』(英題:The Man Standing Next)
監督:ウ・ミンホ
出演:イ・ビョンホン,イ・ソンミン,クァク・ドウォン,イ・ヒジュン,キム・ソジン,
ソ・ヒョヌ,パク・チイル,キム・ミンサン,ジェリー・レクター他
シネ・リーブル梅田にて3本ハシゴの3本目。
原作はキム・チュンシク原作のノンフィクション小説。
1979年に起きた韓国のパク・チョンヒ大統領暗殺事件を描いた作品です。
『インサイダーズ/内部者たち』(2015)のウ・ミンホ監督が映画化、
主演はイ・ビョンホンと来たら絶対観るでしょ。
またまた恥ずかしながら、韓国でこんな事件が起きていたなんて知らず。
世界にはいったいいつの時代の話やねんと思うことがいろいろ。
大統領の直属の機関として絶大な権力を振るうKCIA(韓国中央情報部)。
そのトップだったパク・ヨンガク元部長(クァク・ドウォン)が亡命し、
腐敗した韓国大統領を告発する証言をアメリカの議会でおこなう。
これに激怒したパク大統領(イ・ソンミン)は、
現部長のキム・ギュピョン(イ・ビョンホン)に事態の収拾を命じる。
さっそく渡米し、ヨンガクに接触するキム部長だったが……。
この1本前に観た『羊飼いと風船』では申し訳なくも睡魔に襲われましたが、
本作は眠気に誘われる隙などまったくなし。
見ていたくなるイケメンのイ・ビョンホンではないけれど、
眼鏡をかけた堅物風であっても彼の演技には魅入られます。
パク大統領、パク元部長、キム現部長、そして嫌みこのうえない警護室長、
みんな革命に命を懸けた同志なのに、大統領はいつしか独裁に走り、
自分におべっかを使う警護室長を可愛がる。
デモ隊なんぞ戦車で轢き殺してしまえばいいという大統領の言葉を聞いたとき、
キム現部長は、このままでは革命の意味がなくなる、
大統領を殺すしか道はないと考えます。
後日談によれば、キム現部長による嫉妬心から起きた事件として彼は死刑に処されました。
実際にはどうだったのかはわかりませんが、
彼の心を推し量った本作は非常に面白い。
革命の意味がなくなると考えて大統領を殺した結果、
また独裁政権が始まってしまったとはなんたる皮肉。
こうして世界のいろいろを知るたびに、日本の平和を思う。