◆酒の肴・酒井佐和子・婦人画報社◆
昭和34年出版の、古い料理本です
酒井さんは、山形出身で山菜や漬物に精通し
日本橋で「お茶漬け屋」も営んでいたらしい
当時は、河野貞子さんと同じように
TV・新聞などでも活躍されていたようです
タイトルどおり、「酒の肴」が紹介されていますが
レシピだけでなく、短いエッセイも散りばめられていて
これがなかなか、胸にしみたり耳が痛かったり(笑)
古い本を読むと、時代の違いからか「?」って内容も多々あるし
女性の立場も現在とは違うので、全て参考になるわけではないけれど
やはり、人生の先輩方々の言葉は重く心に響く
中には、今東光大先生(笑)相手に
堂々と「くってかかってる」部分もあり
「気の強い女性」が好きなアタシは、ニンマリと読んだ
どうやら大先生は、関西料理を愛するあまり
「江戸っ子の舌」を侮辱するような文章を書かれたようで
佐和子さんはいたく御立腹し、そのナンセンスさを説いておられた
いま読めば、大先生のご意見は「お笑い草で話にならない」けど
当時はまだ、差別的な表現が許されていた時代だったからなのか
こんな幼稚で大雑把な批判も、普通に掲載されていたのかもしれない
現在だったら炎上もんだと思う(それが良いのか悪いのか)
そこへ猛然と「名指し」で突っ込み反論する勇敢さ、すばらしい
今更いうまでもないけど、うまいまずいは「人それぞれ」で
アタシが「不味い」と思ったものを「美味しい」と思う人は
当然いるはずだし、それを変だと思う気持ちなんか毛頭ない
どっちのほうが美味いかなどと張り合うことは、愚の骨頂の馬の鹿で
味覚の世界は複雑怪奇で奥が深く、そんな単純な論理では語れない
だけど、「美味しいねぇ」と同調しなかっただけで
(好きか?と聞かれたから、正直に「苦手だ」と書いただけ)
批判されたと勘違いし、目を吊り上げてキーを叩く方もおられるので
油断できない(笑)
苦笑しながらも、こんな人間にはならないよう注意しよっと
などと、良い意味で教訓にさせて頂いた経験が、過去にはある(笑)