マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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大阪府北部の亥の子

2013年01月10日 06時47分51秒 | もっと遠くへ(大阪編)
隣村の稲地では太鼓を打つという。

100軒もある稲地を巡る亥の子行事も時間が相当かかるらしい。

小学校1年生のときに森上(もりがみ)から平野に移った22歳の男性が話すにはツチを叩くことはなかったそうだ。

囃し言葉はあるが、なぜか叩かないと話す。

能勢の平野からそれほど遠くない地区であるが、それぞれに亥の子行事の様相が多少異なるようだ。

ネットで調べてみれば次のようなことが判ってきた。

大阪府豊能郡能勢町・豊能町(旧東能勢村)は、京都府と兵庫県に接する関西の秘境の一つに数えられるそうだ。

この辺りでは11月の一番目の亥の日か、その日に近い日に亥の子祝いが行われている。

能勢町倉垣字歌垣は午後5時。小学校裏の集会所に集合した十数人の子供たちはふた手に別れて家々を回る。

玄関口で「亥の子祝いです」と家人を呼び出すと同時に「亥の子のボタモチ祝いましょう 一つ二つじゃ足りません お櫃にいっぱい祝いましょう やれまい 獅子舞」と全員で歌いながらシュロ(棕櫚)のミノ(蓑)を使った手作りの獅子頭で獅子舞を披露する。

太鼓で拍子を取って、ツチというワラヅトを持った子供たちが太鼓に合わせて地面を叩く。

次の日になるくらいの夜遅くまで、およそ百軒の家々を訪ねて巡る。

かつてあったとされるボタモチを食べる習慣は少なくなったようだ。

サンダワラ(桟俵:俵の両端の円型の蓋)とざる(笊)で作った獅子の頭を子供の一人が被り、残りの子供たちがワラで作った亥の子槌で巡った。

家の玄関前で地面を叩いて獅子役の子供が玄関土間に入って舞い踊る。

槌で地面を叩きながら「亥の子のぽた餅祝いましょう、おひつにいっぱい祝いましょう」と歌う。

亥の子を迎えた家々では子供にお金を渡すのが習わしであったと記す地区もある。

川尻地区での囃子唄は「いのこのぼたもち 祝いましょう おひつにいっぱい 祝いましょう いのこの晩に 重箱ひろて あけって見れば ほこほこまんじゅう 一つ、二つ、三つ」だそうだ。

亥の子行事は猪名川町にもある。

西畑地区での囃しは「いのこのもち 祝いましょ しんまいワラで 祝いましょ 男の子も 女の子も ようできますように」である。

ここでは中学3年生までが行っているようだ。

西畑地区以外に杉生地区・鎌倉地区・杤原地区でも行っているらしい。

大阪府の民俗行事はこれほど存在していたことに驚かせる。

事前調査をした上で訪問したいが時間がとれないジレンマに陥る。

前述した地域以外に野間地区がある。

地区の氏子区域は6地区。

地黄・野間稲地・野間出野・野間中・野間大原・野間西山である。

サンダワラの囃子頭を今でも使っているのはおそらく野間中地区ではないだろうか。

そこでは囃子唄が4番まであるようだ。



映像は亥の子行事の取材の折りに撮らせていただいた知り合いのらんま職人が作っている能勢浄瑠璃で使用される高下駄である。

いつかは浄瑠璃を拝見したいものだ。

(H24.11. 3 EOS40D撮影)