マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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北白木当屋の御幣

2013年01月14日 22時54分15秒 | 桜井市へ
御供下げを見届けた当屋が動いた。

奉幣振りをされた御幣は当屋が自宅に持ち帰る。

樽桶に入っているのは前日に麹を仕込まれた甘酒。

飾っていた小さな御幣を外した同一場所に送られた御幣を後方に立て祀る。



昨日に搗かれた当屋のモチは一升。

なかでも特異なのは丸モチに五つのコモチ。

熱いときに小さく千切ってくっつける。

それをカニノモチと呼ぶ。

カニノモチは八つ。

御供されたあとで六人衆に配られる。



残りの二つは山の神に供えるホデの内部に入れる。

ホデは太い藁束。

その中にセキハンのオニギリを二枚入れる。

それを重ねるように二枚のカニノモチも入れるホデだという。

聞きなれないカニノモチは何であるのか。

ふと思い出したカニノモチの名。

『奈良県の祭り・行事』を収めた県の行事調査報告書が手元にある。

初瀬三社権現の三社権現祭における南之郷地区が供える餅である。

その名はカニモチ。

北白木とは形が異なるが名前はほとんど同じ。

木板に載せたモチは丸モチと舌状のモチ。

丸餅の上に載せて足のように見えるモチ5本。

それをカニモチと呼ぶが北白木との関係は判らない。

神さんを祀ったT当家の玄関口の小屋根にあった庚申塔婆。



なんでも何十年も前にヤドを勤めたときのものだという。

青面金剛講中安全など願文は残っていたが年代記銘は見られない。

西垣内の庚申トアゲは東垣内が行われた翌日の平成24年4月8日に行われた。

垣内の戸数は10軒。

以前はもっとあったというから戸数の回りの庚申ヤド。

旧暦に営まれるトアゲは2、3年に一度。

4年の間をあくこともある。

仮に3年回りとしても30年に一度が回ってくるヤド。

もう一本あると拝見した塔婆にも記銘はない。

なくともそれ以前の30年を足せばおよそ60年前。

家の歴史を物語る旧暦閏年の庚申トアゲの塔婆である。

この年に旧暦から新暦に替えられた北白木のトアゲ。

10戸であればひと回りするには40年も要することになった。

祭りのことを聞いたT当屋家を出たときだ。

庭先を出て道に出る直前にあった2本の竹の棒。

先端は焼けている。

話によれば8月のお盆のときに迎え、送りをした松明痕だという。

13日の夕方に戻ってくるオショウライサン

迎えのときは竹の先端に藁を取り付ける。

それに火を点けてオショウライサンを迎える。

鉦を叩きながら家に迎え入れるという当主。

「かえらっしゃれ」と云って迎えたそうだ。

15日はオショウライサン送り。

家から鉦を叩いて向えと同じように藁に火を点ける。

「いなっしゃれ」と云って送るのだという。



2月2日にはクルミモチを作って重箱に納めて供える。

その日の昼にはご馳走をよばれる「二月当屋」と称される行事が行われるそうだ。

1月18日、5月18日、9月18日、11月18日の日には「オシメイレ」。

当屋の営みである注連縄掛けだ。

その証しが当屋家の神棚に奉られた注連縄。

その本数がある。



当屋家では神棚だけでなく玄関にも「オシメイレ」が行われる。

(H24.11. 9 EOS40D撮影)