マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
すべての写真、文は著作権がありますので無断転載はお断りします。

室生無山サシナエの日

2013年09月26日 06時50分32秒 | 宇陀市(旧室生村)へ
かつてはオソナエもあった。

田植えを終えれば村人が九頭神社に集まる行事である。

オソナエの形は細長いユキダルマのようなオニギリだったと話したのはN婦人である。

それを「ススキ」と呼んでいたような気がするがはっきりしない。

この日はサシナエの作業をしていた。

この年の5月1日、2日辺りは霜が降りて寒い日であった。

済ませていた田植えの苗は赤い色になって枯れた。

その部分が空いたのでサシナエをしていると云う。

正月初めの無山の行事がある。

牟山寺で行われる初祈祷のオコナイである。

7年間に取材した行事では本堂で鬼の的をめがけて矢を射った。

その矢と祈祷したヤナギの枝木を苗代に挿す。

そのような話を聞いていた7年前。

ご婦人に伺えば、そのようなことをしているのはただ一人だけではないだろうかと話す。

牟山寺から下った田んぼにあるだろうと云っていたが見当たらない。

あるにはあるが、数年前に挿したものであろう、それが朽ちていた。

田植え終いもしていないという婦人は三重県名張の夏見(なつみ)が出里。

青連寺川から名張川へと川名が替る地辺りの山里。

そこではナエサンを束にして、炊いたマメゴハンを入れたフキダワラとともにオクドサン(竃)に供えていたと云う。

今でもしているかどうかは判らないくらいの時代のことのようだ。

お嫁さんとともに作業をされていたサシナエの風景を撮り納めて、九頭神社にあがった。

参籠所では数人の村の人が集まっていた。

この日は毛掛けコモリ。

神事をするわけもなく、風呂敷包みを抱えて参拝する村には参籠所へ上がって毛掛け籠りの会食をする。

ホトトギスが囀るこの日は夏の訪れ。

「田植えも無事に終わって、秋には実りを待つだけ」と伝える区長の挨拶。

パック詰め料理を食べ時間を過ごす。

無山を離れて多田から小倉へのワインディングロードを走行中にクマゼミが鳴いた。

(H25. 5.26 EOS40D撮影)