マネジャーの休日余暇(ブログ版)

奈良の伝統行事や民俗、風習を採訪し紹介してます。
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興隆寺町・シバシの日

2018年01月16日 10時03分20秒 | 奈良市(旧五ケ谷村)へ
この年は3月5日が「シバシ」の日である。

かつては3月1日にしていた。

山行きにシバ(柴)を伐ってくる。

朝8時ころに出発する。

村の山林に入ってシバ(柴)を刈る。

伐った材木は割り木にする。

神社行事の直会の場のトンド火に使う割り木は焚き木だ。

一年に一度は纏めて割り木作りをする日が「シバシ」の日と呼んでいる奈良市興隆寺町の人たち。

「シバシ」の名を聞いたのは、ここ奈良市興隆寺町以外に京都府加茂町の銭司(ぜず)であった。

世話人の名で呼ばれる神社行事の奉仕者が山へ出かけて椎の木などの雑木を伐り出してくる。

その材は割り木にして束ねておく。



保管する場所は春日神社境内の拝殿辺りだ。

割り木の使い方は聞いていないが、行事の際に焚きものに利用しているのだろう。

京都府南山城村の南大河原も同じように割り木は拝殿下に収納している。

ここでも何らかの焚き木に利用している。

南大河原では名称を聞いていないが、銭司と同様に雑木を伐り出すことを「シバシ」と呼んでいるように思える。

そういうことだが、なぜに「シバシ」の名であるのか。

『亀山市史民俗編』に「シバシ」のことが書いてある。

「シバ(柴)」は小枝類。

おじいさんは山へ行ってシバ刈りにいった・・と始まるお伽噺は誰しも知っているが、現代の生活文化には見ることもない。

ところが、山村などの村の神社の焚き木集めにあったのだ。

亀山市史を読めばわかるが、「シバシ」を充てる漢字は「柴仕」。

つまりは柴材を集める仕事ということである。

それから1年後。

同町ではなく橿原市一町に住むMさんが伝えてくださった地域で交わしていた言葉は“「柴」をしにいく“であった。

なんという心地いい響きであろうか。

また、大淀町大岩に住むKさんも今いまらか50年前の中学生のころの体験談を寄せてくれた。

お寺さんが竃の火に使うシバ。

寒い1月ころに門徒総出に集めたシバを割り木にしていたそうだ。

「柴仕」ワードで手繰ってみれば、『写真で見る郷土食』中に鯖街道で名高い朽木村の郷土食がずらりと紹介されていいた。

その一つに山へ出かけて材を伐り出す「柴仕」の映像が見つかった。


(H29. 3. 5 SB932SH撮影)