室生の小原で村の年中行事を教えてくださった。
なにかと多い小原の年中行事にふつふつ興味がわいてくる。
場を離れて、どこに車を走らせるか。
とにかく県道に出て奈良市の旧都祁村辺りで民俗に出合ってみたい。
なにも行事が民俗でなく、暮らし、生活の全般が民俗。
その一部にハレなどの地域行事がある。
探し出す、見つけ出すには、耐えずアンテナを伸ばしておけば・・・
小原から西へ、西へと向かった。
走行するフロントガラス越しに見た、これ何?
賽銭箱に線香立てがあるそこは室生の染田。
地元に住まい、野鍛治仕事をしているFさんが、話していた染田の「染田の穴薬師算(ざん)」。
毎年の9月7日に無病息災のための会式が行われている、とあった。
それから、その時期になれば足を運んでみたが、どなたにもお逢いしたことがない。
この通りを走る度に見るのは、石造物と「染田の穴薬師算(ざん)」の由緒板書き。
毎度、変わりのない情景に、いつも通りすぎていく。
ところがだ、この日は違った。
目に入った特別なモノ。
線香立ての隣に並べていたソレは、いつの時代なのか、さっぱりわからない、旧い道具。
見た目からして木工工具の”キリ”。
穴あけするキリの部分は鉄錆状態。
そう、これは、納めたキリ道具。
Fさんが話していた願かけの用具。
染田の穴薬師算は、「室町時代初期のころ。薬師如来の十二神将、七仏薬師に因んで、祀られたもので、染田天神とともに、文化的価値が高く、特に耳、口、婦人病にご利益があると、云われています」と、あった。
野鍛治師のFさんの話によれば、「願かけに、穴あけ道具のキリを12本、納める人が、見られる」。
常にではなく、願かけだけに、患った人が、なんとか”思い”を解決してくださる、と願い、12本のキリを納める人がおられた、ということだ。
毎年の九月七日は、無病息災を願う人たちによる会式がある。
近所の善男善女たちが営む穴あけの願かけ。
耳が聞こえないなど、キリを供えて願かけしたら、治った、という人もおられる穴薬師信仰。
キリを納めて願かけする地蔵さんがある。
その地は、明日香村の平田。
下平田の「耳なおし地蔵」である
不特定日に、願かけをする人が何人も・・。
たまたま出合えた平成28年6月19日。
参拝に来られた婦人の話によれば、耳の病気が治ってほしいと願かけされた人が、平癒した場合、願満のお礼にキリを納める民間信仰であった。
ちなみに、Fさんがいうには、9月7日は、地区役員による「代参」詣で。
願かけされた方が納めた12本のキリに違いない。
キリの錆に柄の経年劣化から判断するに、相当な年数が経っているもよう。
それも、記録と判断し、映像に収めた。
状況がわかったことで、再出発。
数メートル走ったそこにあった護符は、今年に行われた染田の田の虫送りの痕跡。
ここは、染田と隣村の多田との境界地。
田の虫送りは、どことも境界地に立てるのが習わしである。
ところで、ネットに見つかった全国津々浦々、各地にある「穴薬師」。
古墳名称に多い穴薬師もあれば、それぞれ地域に意味のある穴薬師信仰事例もある。
見つかったごく一部を下記に書き留めておく。
宮城県仙台市太白区門前町にある穴薬師は「薬師瑠璃光如来」。
埼玉県熊谷市江南地区の穴薬師。
群馬県高崎市・小暮の穴薬師。
また、コトバンクに挙がっている穴薬師に、奈良県宇陀市・室生の向淵(むこうじ)の地蔵三尊石仏があり、「耳病の人は錐(キリ)を奉納し、乳のほしい人は、手拭いを納める」民間信仰がある、とあった。
(R3. 7.22 SB805SH撮影)
なにかと多い小原の年中行事にふつふつ興味がわいてくる。
場を離れて、どこに車を走らせるか。
とにかく県道に出て奈良市の旧都祁村辺りで民俗に出合ってみたい。
なにも行事が民俗でなく、暮らし、生活の全般が民俗。
その一部にハレなどの地域行事がある。
探し出す、見つけ出すには、耐えずアンテナを伸ばしておけば・・・
小原から西へ、西へと向かった。
走行するフロントガラス越しに見た、これ何?
賽銭箱に線香立てがあるそこは室生の染田。
地元に住まい、野鍛治仕事をしているFさんが、話していた染田の「染田の穴薬師算(ざん)」。
毎年の9月7日に無病息災のための会式が行われている、とあった。
それから、その時期になれば足を運んでみたが、どなたにもお逢いしたことがない。
この通りを走る度に見るのは、石造物と「染田の穴薬師算(ざん)」の由緒板書き。
毎度、変わりのない情景に、いつも通りすぎていく。
ところがだ、この日は違った。
目に入った特別なモノ。
線香立ての隣に並べていたソレは、いつの時代なのか、さっぱりわからない、旧い道具。
見た目からして木工工具の”キリ”。
穴あけするキリの部分は鉄錆状態。
そう、これは、納めたキリ道具。
Fさんが話していた願かけの用具。
染田の穴薬師算は、「室町時代初期のころ。薬師如来の十二神将、七仏薬師に因んで、祀られたもので、染田天神とともに、文化的価値が高く、特に耳、口、婦人病にご利益があると、云われています」と、あった。
野鍛治師のFさんの話によれば、「願かけに、穴あけ道具のキリを12本、納める人が、見られる」。
常にではなく、願かけだけに、患った人が、なんとか”思い”を解決してくださる、と願い、12本のキリを納める人がおられた、ということだ。
毎年の九月七日は、無病息災を願う人たちによる会式がある。
近所の善男善女たちが営む穴あけの願かけ。
耳が聞こえないなど、キリを供えて願かけしたら、治った、という人もおられる穴薬師信仰。
キリを納めて願かけする地蔵さんがある。
その地は、明日香村の平田。
下平田の「耳なおし地蔵」である
不特定日に、願かけをする人が何人も・・。
たまたま出合えた平成28年6月19日。
参拝に来られた婦人の話によれば、耳の病気が治ってほしいと願かけされた人が、平癒した場合、願満のお礼にキリを納める民間信仰であった。
ちなみに、Fさんがいうには、9月7日は、地区役員による「代参」詣で。
願かけされた方が納めた12本のキリに違いない。
キリの錆に柄の経年劣化から判断するに、相当な年数が経っているもよう。
それも、記録と判断し、映像に収めた。
状況がわかったことで、再出発。
数メートル走ったそこにあった護符は、今年に行われた染田の田の虫送りの痕跡。
ここは、染田と隣村の多田との境界地。
田の虫送りは、どことも境界地に立てるのが習わしである。
ところで、ネットに見つかった全国津々浦々、各地にある「穴薬師」。
古墳名称に多い穴薬師もあれば、それぞれ地域に意味のある穴薬師信仰事例もある。
見つかったごく一部を下記に書き留めておく。
宮城県仙台市太白区門前町にある穴薬師は「薬師瑠璃光如来」。
埼玉県熊谷市江南地区の穴薬師。
群馬県高崎市・小暮の穴薬師。
また、コトバンクに挙がっている穴薬師に、奈良県宇陀市・室生の向淵(むこうじ)の地蔵三尊石仏があり、「耳病の人は錐(キリ)を奉納し、乳のほしい人は、手拭いを納める」民間信仰がある、とあった。
(R3. 7.22 SB805SH撮影)