谷出からそれほど遠くない地にジャスコ、もとい、今はイオン名張店にもトビウオを売っていたと聞いたのは、昨年の12月。
行事調査に訪れた三重県名張市黒田に住むMさんが教えてくれた。
同地にはかつてダイゴ水産がトビウオを売っていたが、何年か前に閉店。
代わりかどうかわからないが、イオン名張店内の魚屋さんにあった、と話していたが・・・。
そのイオン名張店からすぐ近くに大きな鳥居があった。
この鳥居は見たことがある。
平成31年2月7日に訪れ、取材した鍛冶町蛭子神社の「名張八日市の宵宮蛭子祭」。
大にぎわいの宵宮蛭子祭を見終わって、はまぐり売りをしていた通りをぶらり散歩。
辿り着いた場に鳥居に出くわしたが、魚屋さんは見当たらなかった。
ちなみに鳥居は、蛭子神社でなく名張市平尾に鎮座する宇流冨志彌神社(うるふしねじんじゃ)の大鳥居。
女将さんに娘さんが話していたとおりの位置にいしかわ魚店が見つかった。
「ととやのいしかわ」で呼ばれる石川魚店。
車も潜って通りに入る大鳥居。
一方通行でもない本町通り。
店主は、魚介類の仕入れに毎日出かける奈良県中央卸売市場。
早朝だけに片道1時間。
今日はまだ仕入れていないホントビ(※干物のトビウオをそういう)。
翌月の8月5日に仕入れるホントビは、中央卸売市場松本水産から・・・に、えっ。
奈良の都祁白石もトビウオ仕入れは松本水産。
同じく白石のショッピングプラザたけよしもまたサシサバ仕入れに松本水産。
まさか、三重県の魚屋さんも仕入れていたとは・・・。
奈良県中央卸売市場は、私が住まいするおひざ元の大和郡山市の馬司町にある。
思わず、「なんてこったい」が口に出た。
お盆に買い求めるお客さんは8月10日辺りに集中する。
その前後の、午後1時過ぎなら、仕入れから戻っているから取材に応じられるから、来ていいよと逆にお願いされた。
ととやの先代は店主の父親。
トビウオを仕入れて塩干物のホントビをつくって売っていた。
当時はお客さんも多く、百枚はゆうに買ってくれたが、今は当時の半分くらいに落ち込んだそうだ。
その時代、嫁さんは盆に実家へ里帰りする。
そのとき、実家に持って行かせるようにしたのがトビウオだった。
塩干物のトビウオは10枚。
それに三輪のそうめんも1箱持たせて里帰りさせるお中元。
今では、まず聞くことのない里帰りの中元。
風習はとんと聞かれなくなったこともあって飛ぶように売れたトビウオも半滅以下。
伊賀地方では聞くこともなくなった里帰り風習。
ここ名張では少なくなったものの、しょっぱいトビウオの味を食べたくなって、今も買いに来てくれるお客さんがあるから、仕入れている。
仕入れに伊勢くんだり、行くこともあるが品数が少ないから、奈良の中央卸売市場。
そりゃぁもう、質も量も多いし、需要にこたえてくれるから、仕入れ先は自然と奈良の中央卸売市場になる。
先代の親父さんが言っていた。
「両親が揃うてる子どもに食べさす塩干物のホントビ」である。
が、片親しかおらん家もある。
不平等な言い方は今の時代に相応しくないから、私はそういうことは口にしないと現店主はいう。
父親が健在だった時代は、飛ぶように売れたホントビ。
今どきの人たちは、とてもじゃないが、しょっぱいホントビなど食べやしない。
見向きもしないが、かつてホントビを食べて育った高齢者が、今でも口にしたいといって買いにきてくれる。
まぁ、気のもんやから、と話す店主。
奈良と三重を結ぶ峠を越えたらここ名張ではホントビだが、奈良はまっ茶に焼けた刺し鯖。
冷蔵庫のなかった時代の魚の保存に塩干物しかない。
生の魚が、食べられるようになったのは、戦後に発展した流通の文化のおかげ。
トビウオの水揚げが盛んな地域は丹後地方も含む日本海寄り。
島根や鳥取がそうだ、という。
4月~5月によく捕れるトビウオ。
そのころの鯖もよく捕れる。
水揚げ量が多い月は、値も安い。
安いときに捕ったトビウオとかサバは塩漬け干物を作っていた。
店の奥で加工する塩干物。
ひと塩入れて、風通しのえーとこで天日干し。
つくった塩干物は、夏場に店前に並べて売っていた。
食べ方は、塩抜きが大切。
水に浸けておくだけでは塩分はとれない。
迎え塩をするんや、という。
迎え塩は、うすい塩水に漬けおき。
2日間は、そうして寝かしておけば塩分が抜ける。
トビウオを食べる習慣がある地域は、ここら辺りでいえば、比奈知に滝之原。
青山も高原の向こうは伊勢文化だが、手前は名張文化。
他にもまだあるような気がする、と話してくれた。
料理人は、刺しさばの味わい方をたぶん意識していないから、旨味を重視する”迎え塩“処理をされるでしょう。
ちなみに参照したブログがある。
「迎え塩の意味・・和食の料理用語集」を拝見すれば、完全な塩抜きでなく、塩味を損なわないように”塩”だけを抜く処理のようだ。
その塩抜き、知人のAさんが届けてくれたコメントは「塩数の子は迎え塩しますね。なんせ、刺しさば初めてだったのですが、ひとかけらでご飯一杯食べられるので美味しくいただきました。水に浸けるとふにゃーってなりそうです」と。
そのコメント返した「酒なら有りですが、水浸けはさすがにやらんです」。
塩抜方法は専門的に伝えるブロガーさんや、こと細かに素人でもわかりやすく解説されるブロガーさんの記事も参考になる。
(R3. 7.30 SB805SH撮影)
(R3. 8.22、23 追記)
行事調査に訪れた三重県名張市黒田に住むMさんが教えてくれた。
同地にはかつてダイゴ水産がトビウオを売っていたが、何年か前に閉店。
代わりかどうかわからないが、イオン名張店内の魚屋さんにあった、と話していたが・・・。
そのイオン名張店からすぐ近くに大きな鳥居があった。
この鳥居は見たことがある。
平成31年2月7日に訪れ、取材した鍛冶町蛭子神社の「名張八日市の宵宮蛭子祭」。
大にぎわいの宵宮蛭子祭を見終わって、はまぐり売りをしていた通りをぶらり散歩。
辿り着いた場に鳥居に出くわしたが、魚屋さんは見当たらなかった。
ちなみに鳥居は、蛭子神社でなく名張市平尾に鎮座する宇流冨志彌神社(うるふしねじんじゃ)の大鳥居。
女将さんに娘さんが話していたとおりの位置にいしかわ魚店が見つかった。
「ととやのいしかわ」で呼ばれる石川魚店。
車も潜って通りに入る大鳥居。
一方通行でもない本町通り。
店主は、魚介類の仕入れに毎日出かける奈良県中央卸売市場。
早朝だけに片道1時間。
今日はまだ仕入れていないホントビ(※干物のトビウオをそういう)。
翌月の8月5日に仕入れるホントビは、中央卸売市場松本水産から・・・に、えっ。
奈良の都祁白石もトビウオ仕入れは松本水産。
同じく白石のショッピングプラザたけよしもまたサシサバ仕入れに松本水産。
まさか、三重県の魚屋さんも仕入れていたとは・・・。
奈良県中央卸売市場は、私が住まいするおひざ元の大和郡山市の馬司町にある。
思わず、「なんてこったい」が口に出た。
お盆に買い求めるお客さんは8月10日辺りに集中する。
その前後の、午後1時過ぎなら、仕入れから戻っているから取材に応じられるから、来ていいよと逆にお願いされた。
ととやの先代は店主の父親。
トビウオを仕入れて塩干物のホントビをつくって売っていた。
当時はお客さんも多く、百枚はゆうに買ってくれたが、今は当時の半分くらいに落ち込んだそうだ。
その時代、嫁さんは盆に実家へ里帰りする。
そのとき、実家に持って行かせるようにしたのがトビウオだった。
塩干物のトビウオは10枚。
それに三輪のそうめんも1箱持たせて里帰りさせるお中元。
今では、まず聞くことのない里帰りの中元。
風習はとんと聞かれなくなったこともあって飛ぶように売れたトビウオも半滅以下。
伊賀地方では聞くこともなくなった里帰り風習。
ここ名張では少なくなったものの、しょっぱいトビウオの味を食べたくなって、今も買いに来てくれるお客さんがあるから、仕入れている。
仕入れに伊勢くんだり、行くこともあるが品数が少ないから、奈良の中央卸売市場。
そりゃぁもう、質も量も多いし、需要にこたえてくれるから、仕入れ先は自然と奈良の中央卸売市場になる。
先代の親父さんが言っていた。
「両親が揃うてる子どもに食べさす塩干物のホントビ」である。
が、片親しかおらん家もある。
不平等な言い方は今の時代に相応しくないから、私はそういうことは口にしないと現店主はいう。
父親が健在だった時代は、飛ぶように売れたホントビ。
今どきの人たちは、とてもじゃないが、しょっぱいホントビなど食べやしない。
見向きもしないが、かつてホントビを食べて育った高齢者が、今でも口にしたいといって買いにきてくれる。
まぁ、気のもんやから、と話す店主。
奈良と三重を結ぶ峠を越えたらここ名張ではホントビだが、奈良はまっ茶に焼けた刺し鯖。
冷蔵庫のなかった時代の魚の保存に塩干物しかない。
生の魚が、食べられるようになったのは、戦後に発展した流通の文化のおかげ。
トビウオの水揚げが盛んな地域は丹後地方も含む日本海寄り。
島根や鳥取がそうだ、という。
4月~5月によく捕れるトビウオ。
そのころの鯖もよく捕れる。
水揚げ量が多い月は、値も安い。
安いときに捕ったトビウオとかサバは塩漬け干物を作っていた。
店の奥で加工する塩干物。
ひと塩入れて、風通しのえーとこで天日干し。
つくった塩干物は、夏場に店前に並べて売っていた。
食べ方は、塩抜きが大切。
水に浸けておくだけでは塩分はとれない。
迎え塩をするんや、という。
迎え塩は、うすい塩水に漬けおき。
2日間は、そうして寝かしておけば塩分が抜ける。
トビウオを食べる習慣がある地域は、ここら辺りでいえば、比奈知に滝之原。
青山も高原の向こうは伊勢文化だが、手前は名張文化。
他にもまだあるような気がする、と話してくれた。
料理人は、刺しさばの味わい方をたぶん意識していないから、旨味を重視する”迎え塩“処理をされるでしょう。
ちなみに参照したブログがある。
「迎え塩の意味・・和食の料理用語集」を拝見すれば、完全な塩抜きでなく、塩味を損なわないように”塩”だけを抜く処理のようだ。
その塩抜き、知人のAさんが届けてくれたコメントは「塩数の子は迎え塩しますね。なんせ、刺しさば初めてだったのですが、ひとかけらでご飯一杯食べられるので美味しくいただきました。水に浸けるとふにゃーってなりそうです」と。
そのコメント返した「酒なら有りですが、水浸けはさすがにやらんです」。
塩抜方法は専門的に伝えるブロガーさんや、こと細かに素人でもわかりやすく解説されるブロガーさんの記事も参考になる。
(R3. 7.30 SB805SH撮影)
(R3. 8.22、23 追記)