ストーリング&ウェッブ法律事務所の弁護士メアリー・ディナンツィオは、差出人やサインのない手紙それに見張られているように感じる黒い大型車を意識し始め、夫の事故死や秘書を目の前でひき逃げされ、徐々に緊迫するが終盤犯人はあっけなく現れる。
適度のユーモアで楽しませてくれるが、犯人出現の場面は、唐突に感じられる。メアリーを育て指導した判事の片思いが、恋敵と思い込んだ殺人だった。
銃の暴発で判事は事切れるが、読後感は可も不可もなし。
ただ、サイドストーリーとして、メアリーが双子の姉アンジーがいる修道院での記述は、雰囲気も文体もよく好印象で、むしろこちらの方が記憶に残る。
どんなジャンルの小説でも、サイドストーリーをうまく書ければ、物語に厚みが出るということを教えてくれた。
面白い表現を一つ。“バッグの底に手を突っ込み、鍵を捜した。父のお決まりの冗談を思い出して、めまいがした。
鍵がいつも決まって最後に捜す場所にあるのはどうしてだ? アンジーとわたしはそれを聞くと、またかとばかり、よくうめき声を上げたものだ。声をそろえてステレオで。
答えはこうだった。だってな、鍵を見つけたら、もう捜さないからだよ”
この作品は、著者の処女作で、1993年に上梓する。1995年には「最後の訴え」で、アメリカ作家クラブ賞のペイパーバック賞を受賞している。
著者の写真も掲載されているが、わたしはニューヨークヤンキースの投手ランディ・ジョンソンを連想する。
さらに著者はペンシルヴェニア大学のロー・スクールを出て、大手法律事務所に勤務の経験がある。
適度のユーモアで楽しませてくれるが、犯人出現の場面は、唐突に感じられる。メアリーを育て指導した判事の片思いが、恋敵と思い込んだ殺人だった。
銃の暴発で判事は事切れるが、読後感は可も不可もなし。
ただ、サイドストーリーとして、メアリーが双子の姉アンジーがいる修道院での記述は、雰囲気も文体もよく好印象で、むしろこちらの方が記憶に残る。
どんなジャンルの小説でも、サイドストーリーをうまく書ければ、物語に厚みが出るということを教えてくれた。
面白い表現を一つ。“バッグの底に手を突っ込み、鍵を捜した。父のお決まりの冗談を思い出して、めまいがした。
鍵がいつも決まって最後に捜す場所にあるのはどうしてだ? アンジーとわたしはそれを聞くと、またかとばかり、よくうめき声を上げたものだ。声をそろえてステレオで。
答えはこうだった。だってな、鍵を見つけたら、もう捜さないからだよ”
この作品は、著者の処女作で、1993年に上梓する。1995年には「最後の訴え」で、アメリカ作家クラブ賞のペイパーバック賞を受賞している。
著者の写真も掲載されているが、わたしはニューヨークヤンキースの投手ランディ・ジョンソンを連想する。
さらに著者はペンシルヴェニア大学のロー・スクールを出て、大手法律事務所に勤務の経験がある。