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読書「チャイルド44」トム・ロブ・スミス

2011-12-27 13:03:18 | 読書

               
 スターリン体制下の恐怖政治。ウィキペディアによると「スターリンは、帝政時代において少数民族であり一般のロシア人より格下と認識されていたグルジア人である。貧困層で身長が低く、加えて自身がグルジア人であるというコンプレックスは相当に強く、劣等感の強い男であった。
 人一倍コンプレックスを強く感じるゆえ、スターリンは異常なまでの権力欲、顕示欲の塊であり、その目的を達するためには全く手段を選ばなかった。
 裏切り者を絶対に許さない不寛容さと、人間を殺すことをなんとも思わない冷酷な性格の持ち主であった。
 アブバジアの「冷たい地」という地域の別荘で寝ていた深夜に犬の遠吠えで目が覚めたスターリンは、「私を眠らせないのは誰の犬だ?」と護衛に尋ねた。近所の犬であることを聞かされ、「犬を見つけて撃ってしまえ」と命令した。
 翌朝目が覚めたスターリンが、犬は死んだのかどうかを護衛に聞くと、「あの犬は盲導犬であり、追い払いました」と答えた。するとスターリンは「ではその犬を連れてこい」とわめき、連れてこられた盲導犬を自らの手で射殺した。そして「今度命令に背いたら、お前もこうなる」と告げた。ほかには、粛清した政敵の写真を見て悦に入りながら、故郷のグルジアワインを愛飲していたという」

 こういう人間の統治の下に起こる殺人事件。しかも、広範囲な地域にわたる犯行現場。国家から見てこういう犯罪は起こってはいけない部類に入る。したがって十分な捜査もなされず誰かを犯人にでっち上げる必要もあった。槍玉にあがったのが同性愛者であった。正義のかけらもない。

 国家保安省の捜査官レオがたどる正義の道のりは、かって在籍した保安省の追跡まで受ける。隣人といえども密告の可能性もあって信用できない。想像も出来ないような世界だ。
 しかし、かつての戦時中の日本も思想犯の摘発には余念がなかった。都会から地方の小さな村になると俄然団結力が強くレオも助けられた。そして、犯人に到達してみると、まさかの事実に向き合うことになる。

 ふと思うのは、日本でも正義が行われているのだろうか? ということだ。国民の信頼を裏切る検察のいい加減さも指摘されている。尋問の可視化が叫ばれているが、けだし正論に思える。

され、気分を変えてカーリー・サイモンの曲でもどうぞ! 「I only have eyes for you」です。
Carly Simon - I Only Have Eyes For You (Music Video)