監督はテレンス・マリック、経歴を見るとハーバード大、オックスフォード大を卒業の後、マサチューセッツ工科大学で哲学の講師をしていたという。なるほどそれで哲学的なんだ。
この映画を劇場で一回観ただけですべて理解できる人は、そうそう居るものでもないと思いたい。セリフが極端に少なく、部屋に調度類もないし風景も茫洋たる大平原が隣り合わせにある。それは素敵な音楽と映像美らしい。私には分からないが。
「To the wonder」を翻訳させると「驚異に」と返事があった。で思ったのは、この映画はごく一部の人例えばハーバード大の哲学科の学生向けとして、教室で議論を戦わせるためのものなのかもと。とはいっても商業ベースに乗せて、劇場で公開しているから主張を理解して欲しいらしい。
愛は気ままで移ろい壊れやすい。その驚異には、神も遠ざかると言うことか。ニール(ベン・アフレック)は、フランスで恋人のマリーナ(オルガ・キュリレンコ)と恋をした。その娘ともどもアメリカに帰る。しかし、マリーナの娘はフランスに帰りたいといい帰国する。愛はここまで。
早々とニールは、地元の幼馴染のジェーン(レイチェル・マクアダムズ)と恋におちる。ジェーンは衝動的に通りすがりの浮気をする。車の中でニールに「許して!」と言うが、ニールはいきなり車を停めてジェーンを車外へ。車は走り去ったかに見えた。遠くにニールの車が停まっていた。そして家で愛を交わす二人。
時々あらわれるクインターナ牧師(ハビエル・バルデム)の聖書の一節の朗読や説教。それが何を意味しているのか? 理解できない私がいる。
もともと無神論者の私にとってはどうでもいいこと。確かに人間の心というのは不可解なものだ。私は男だから、いまだに女性の深層心理が分からないままである。映画を観ながらそんなことを考えていた。面白かった? 全然ダメ。分かる人が観れば面白いんだろうね。
監督
テレンス・マリック1943年11月イリノイ州生まれ。
キャスト
ベン・アフレック1972年8月カリフォルニア州バークレー生まれ。
オルガ・キュリレンコ1979年11月ウクライナ生まれ。
レイチェル・マクアダムス1978年11月カナダ、オンタリオ州生まれ。
ハビエル・バルデム1969年3月スペイン、カナリア諸島ラスパルマス生まれ。