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ジェルマン(ファブリス・ルキーニ)は、ギュスターヴ・フローベール高校の国語教師。妻ジャンヌ(クリスティン・スコット・トーマス)は、ミノタウロスの迷宮という画廊に勤めている。
ジャンヌが葬式から帰宅した。黒いワンピース、黒い靴下、黒い靴。フランスも日本同様黒っぽいものになるんだなあと思いながら観ていた。
ジェルマンは生徒に与えた宿題「週末の出来事」の採点中。0点、3点、7点まったく出来が悪い。
「2行以上の文章が書けない。“日曜日は嫌いだ““土曜日は好きなのに、父に携帯を取り上げられ外出禁止に”彼らに文学を教えたくて教師になったんだが」
ジェルマンは一枚のレポートを取り上げた。「週末のこと」と題したやや長文の作品だった。声を出して読み始める。コーヒーを淹れる準備をするジャンヌ。徐々にジャンヌも聞き耳を立て始める。
それは級友のラファエルの家庭のことだった。ラファエルの母エステル(エマニュエル・セニエ)について「ある香りが僕をとらえた。実に独特な中産階級の女の香りだ」生徒の名前は、クロード・ガルシア(エルンスト・ウンハウアー)だった。
ジャンヌはちょっと危険だと言う。ジェルマンは、思春期の青年には当然だという反応を示す。思春期というのは女の匂いに敏感で、たとえ自分の母親や妹でも女を感じることもある。猫の発情期のような時期とでも言えるかもしれない。
この作文はやがてとんでもない妄想を生みジェルマンをも飲み込んでいく。静かな中にフランスの階級意識(ラファエル家は中産階級、クロードは労働者階級となっている)も垣間見え、お国柄が窺がえた。
一枚のレポート用紙に書かれた作品が、徐々にサスペンスを生んでいき最後に指導した教師ジェルマンの悲運へとつながる。私はいい映画だったと思う。
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監督
フランソワ・オゾン1967年11月パリ生まれ。
キャスト
ファブリス・ルキーニ1951年11月パリ生まれ。
クリスティン・スコット・トーマス1960年5月イギリス生まれ。
エマニュエル・セニエ1966年6月パリ生まれ。
エルンスト・ウンハウアー