女性の更年期なんて男が気にかけてもしようがない。体の調子は悪いときもありいいときもある。ということで、気にもしていなかった。
ところが「快楽(けらく)~更年期からの性を生きる~」工藤美代子著を読むと、それは大きな間違いだった。男の無知が女性を苦しめていることが多い。
更年期について引用してみよう。「女性の更年期は、五十歳を中心に前後5年といわれている。一般的には、この間に女性は閉経する。それに伴ってホルモンのバランスが崩れるため、さまざまな症状が表われる。不眠や不定愁訴、ホットフラッシュ、動悸、ドライ・アイなど、それこそ多種多様な障害がふりかかってくる」
男にはないこの閉経というのがポイントのようで、いろんな角度からの検証が試みられている。
ある医師の「更年期におけるほかの症状は、やがて時間を経過すれば必ず治るのです。ただ、セックスだけは、そのままにしておくと出来なくなります。これはもう確実にそうなります」
これは著者にも意外だったようで、更年期とセックスの関係を突き詰めていく。それをルポルタージュ形式の小説に仕立て上げてある。したがって、大学教授や医者や大企業の役員などで、庶民の目線がないと批判する向きもある。
実際のところ、大企業の部長とその部下の女性との関係が20年間も続いたとあるが信じられない思いだった。勿論不倫だ。そんなに続くわけがない。部長も女性も同じ部署に20年間在籍すること自体がふしぎ。
小説の部分はさておき、参考になるところも多々あって、女性はもとよりむしろ男が読むべきだと思った次第。そこからは女性に対する思いやりが生まれるはずだ。