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都会の片隅で閉所恐怖症の女と人ごみ恐怖症の男が出会う物語「ブエノスアイレス恋愛事情’11」

2014-08-28 17:09:58 | 映画

             
 大都会の無機質な建物に囲まれていると人間はどうなるのだろう。マルティン(ハビエル・ドロラス)は言う。「破局や離婚、家庭内暴力、過剰なテレビ、会話の欠如、倦怠感に無気力、抑うつ症状、自殺やノイローゼ、パニック発作や肥満、肩こりや不安、心気症やストレス、座りっぱなし、すべては建築家と建設会社のせいだ。僕は自殺以外のすべてを患っている」

 マルティンは、ウェブ・デザイナーで10年間自宅の机に座りっぱなしで、人ごみに恐怖を抱き引きこもり状態だ。精神科医が写真を撮ることをすすめるが車、地下鉄、飛行機ダメときている。

 マリアナ(ピラール・ロイス・デ・アジャラ)は建築家ではあるが一つの部屋も一軒の家も作ったことがない。もっぱらショウウィンドウに飾るマネキンと衣装のセッティングを生業としている。しかも閉所恐怖症をもち、四年続いた男関係も消えていた。

 近くに住むこの二人がどのようにして出会うのか。最期にはハッピイエンドに終わるが、なかなか見せるなというのが感想。

 この人ごみ恐怖症とか閉所恐怖症は、おそらく誰でも少しは持っている気がする。私も人ごみは嫌いだしエレベーターも嫌いだ。人ごみは疲れるしエレベーターは途中で止まる恐怖がある。それを意識するとますます怖くなる。30階建てのビルなんてとてもエレベーターで昇る気がしない。スカイツリーは見ているだけでいい。

 いわゆるコンクリート・ジャングルは、何も生まないし癒されもしない。唯一癒され生きる実感をもてるのは恋以外にないと言っているようだ。それに独特の雰囲気も持っている映画だった。

 マリアナになったピラール・ロイス・デ・アジャラは、私好みのお顔であった。美人だよ。でも、一流のスターになるにはちょっと個性が足りないかな。主役を張るスターを見ているとハンサムでなくてもいいが、個性が光る俳優がその座を占める気がする。アルゼンチン、スペイン、ドイツの製作。2013年11月劇場公開
          
          
          

監督
グスタボ・タレット1965年アルゼンチン生まれ。

キャスト
ハビエル・ドロラス出自不詳
ピラール・ロシス・デ・アジャラ1978年9月スペイン、マドリード生まれ。