今回はネタバレから入ろう。このミモザの島は、フランス、ヴァンデ県の大西洋岸のノワールムーティエ島のこと。冬にミモザの花が咲くことから「ミモザの島」と言われている。ミモザはマメ科の常緑高木で黄色の花も咲かせる。黄色のミモザの花言葉は「秘密の恋」。
アントワン(ロラン・ラフィット)の母は、絵画教室の先生と同性愛の関係になり家を捨てる決心をする。まさに秘密の恋。ところが今から30年も前だから、叔母は同性愛を受け付けない。
この島と本土をつなぐ、日に二度満潮を迎える4,5キロの道の砂州がある。その対岸のホテルに絵画の先生は宿を取っていた。叔母は絵画の先生宛に、母名義の断りの手紙を使用人に持たせた。それを知った母は、満潮を迎えた砂州に車を乗り入れた。干潮のとき乗り捨てられた車を発見したのは母の夫だった。
妹アガット(メラニー・ロラン)と喧嘩しながらもアントワンは調べる。アントワンが最初に疑問を持ったのが、母の遺体が発見されたのが湾の対岸で10キロも離れているフロマンティーヌだったからだ。地元の漁師も、それはあり得ないという。
離婚者のアントンの新しい恋。相手は死体安置所のアンジェル(オドレイ・ダナ)。妹のアガットにはボーフレンドがいるが、なにやら順調ではない様子。兄妹で訪れたミモザの島でも、まるで恋人同士のような雰囲気。夜、海岸に散歩に出るが兄の肩に頭を預けセーターの上からキスをする仕草。子供の頃の映像が出るが、「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と慕っている様子が伺える。
そして、最大のハイライトが祖母の葬儀の場面だった。別れの言葉を述べるアガット、最後に付け加えたのは、母の死の謎を解明した兄に「私は兄に敬意を表します」と言ってその行為を称えた。
ロラン・ラフィットとメラニー・ロラン二人の俳優のさりげない演技のお陰で、キレイな風景と珍しい砂州を見ると行ってみたくなった。映画は、バイクを運転するアンジェル、後ろに乗るアントンが潮の引いた砂州を疾走する場面で終わる。
アメリカ映画とは違う味わいのあるフランス映画、何に喩えればいいのだろう。その人によって違うだろうが、私はフランス料理のように幸せを感じる点だろうか。まあ、味わい深いといったところ。
監督
フランソワ・ファヴラ出自不詳
キャスト
ロラン・ラフィット1973年8月フランス、パリ生まれ。
メラニー・ロラン1983年2月フランス、パリ生まれ。
オドレイ・ダナ1977年9月フランス生まれ。
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