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歪んだ肢体とエロティシズム、人間の苦悩を描いたと言われる「エゴン・シーレ死と乙女」

2017-08-27 16:30:28 | 映画

                  
 1918年10月第一次世界大戦後に流行ったスペイン風邪で28歳の若き命を失ったエゴン・シーレを描く。1910年エゴン・シーレ(ノア・サーヴェトラ)は、妹ゲルティ(マレシ・リークナー)を裸にしてデッサンするところから始まる。いきなりヌードで、モデルが妹となるとやや違和感を持ちながら観ることになる。

 画家とモデルというと親密になる例が多いが、妹とならその心配はない。とは言ってもモア(ラリッサ・アイミー・ブレイドバッハ)をモデルに描きはじめるとゲルティの機嫌がよくない。女心の微妙なところか。

 ヴァリ・ノイツェル(フィレリエ・ペヒナー)と出会ったのもウィーン工芸学校の先輩グスタフ・クリムトのアトリエだった。このヴァリとは同棲をはじめるくらいだからかなり親密。とは言ってもエゴン・シーレの女性観は複雑で理解できないほどの自己中心的なのだ。

 ヴァリに「世界の誰とも永遠に結婚しません」という誓約書を書かせておきながら、自分は別の女性と結婚するが年に一度ぐらいは逢おうというのだから理解せよというのは無理。

 そんなこんなでスペイン風邪の病床で世話をするのは妹のゲルティだった。エゴン・シーレが日本の春画を参考にしたと思われるシーンがある。ただ、春画を眺めるだけのシーンではあるが。

 ここで三人の俳優について、エゴン・シーレを演じたノア・サーヴェトラは2009年に高校を卒業、オーストリア国立劇場(ブルク劇場)が運営する青少年のための演劇クラブに参加し、初めて舞台に立つ。「ミヒャエル・コールハースの運命」(ハインリヒ・フォン・クライスト作)で主演。2013年からは、ウィーン・コンセルヴァトリウム音楽大学の演劇コースで学んでいる。2014年テレビドラマ”Copstories”にゲスト出演。本作で長編映画出演デビュー作。監督の言によると「文章を二つ覚えることも出来なかった」ノアを指導し彼の努力と相まってこの映画が完成した。

 妹ゲルティを演じたマレシ・リークナーは、2013年からウィーン・コンセルヴァトリウム音楽大学の演劇コースで学ぶ。いくつかのTVドラマに参加し、現在初主演作品でHenry Steinmetz監督の”Limbo”を撮影中。

 ヴァリの役フェレリエ・ペヒナーは、2013年にウィーン国立音楽大学所属の名高い演劇コース、マックス・ラインハルト・セミナーを卒業。その後はドイツ、ミュンヘンのレジデンツ劇場に所属している。初主演作は““Blind” (13)。テレンス・マリックの最新作”Radegund”にアウグスト・ディールと出演予定。2016年制作 劇場公開2017年1月
   

  
監督
ディーター・ベルナー1944年8月オーストリア生まれ。

キャスト
ノア・サーヴェトラ1991年オーストリア生まれ。
マレシ・リークナー1991年ウィーン生まれ。
フェレリエ・ペヒナー1987年6月オーストリア生まれ。

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