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人生は続くよ。どこまでも「ライフ・ゴーズ・オン彼女たちの選択」2016年制作 劇場未公開

2017-08-13 16:46:12 | 映画

                      
 これは物凄く地味な映画。ラブロマンスなし、アクションなし、殺人なし、夫婦のささやかな口喧嘩とちょっと変わった男が出てくるぐらい。

 モンタナ州の小さな町、テレビは強い寒気の影響で「飼い犬の飲み水が凍る恐れもあります」と警告している。弁護士のローラ(ローラ・ダーン)が事務所に出勤するとフラー(ジャレッド・ハリス)が待ち構えていた。まったく迷惑な男。会社を訴える権利がないといくら言っても納得しない。しかも妻から追い出されたと言って事務所にやってくる。

 別の弁護士に頼んで同じことを言ってもらうしかないか。というわけで男の弁護士が「雇用主の怠慢ではあるが和解契約を結んだ。和解金を受け取ったなら訴権を放棄したことになり責任は問えない」
 フラーは「分かった」
 ローラの嘆き「男に生まれたかった。依頼人を簡単に納得させられる」

 ジーナ(ミッシェル・ウィリアムズ)は、家を新築したらガーデニングの材料にアルバート(ルネ・オーベルジョノワ)が持っている砂岩を有償で譲り受ける気でいる。夫と娘とのキャンプの帰りアルバートの家に立ち寄る。娘は反抗期でまっすぐ家に帰らないので不満たらたら。なんとかなだめようとする夫に、先に車から出ていたジーナが「甘やかしてる。いつも私を悪者にする」と不満。

 さらにアルバートとの会話で砂岩の話がまとまりかけた時に「嫌なら売らなくてもいい」と話の腰を折るような発言。これもジーナの神経を逆なでする。恋人時代はともかく、夫婦になると思ったことを口に出して、相手の気持ちに鈍感になる。こういう夫婦はどこにでも見られる。私もこうなっているかもしれない。

 牧場で馬の世話をするジェイミー(リリー・グラッドストーン)は、夜、町に出かけていったとき学校の教室に何気なく入って行った。成人教育なのだろうか年配の男女数人が机に座っている。やがて遅れて入ってきたのは、ベス(クリスティン・スチュワート)。

 ベスは、弁護士で「学校法」の授業を担当。9時に授業が終わったあと、食堂の場所を聞かれてジェイミーが先導していった。これがきっかけで何度か授業に出て、決まっていつものダイナーでベスが夕食をとるのに付き合っていた。ベスはここへ来るのは大変で片道4時間もかかるとぼやく。

 ある日突然この授業を引き継いだと言う町の弁護士が現れる。ジェイミーは授業を放棄してベスの町に向かう。車で一夜を明かし弁護士事務所の駐車場でベスを待つ。出勤してきて驚くベス。
ジェイミー「授業を楽しみにしてたのに」
ベス「言いそびれちゃったけど、運転が大変だから」
ジェイミー「実感したわ」
ベス「でしょ」
ジェイミー「邪魔する気はないけど、二度と会えないのはイヤだから。それだけ」
 ベスのぎこちない沈黙をあとにしてジェイミーは帰路につく。動物相手の日常は、無言でただひたすら働くだけ。誰かとの会話を望むべくもない。そんな時に会ったベス。「二度と会えないのはイヤだから」この気持ちは痛いほど分かる。

 この三つのオムニバスは、誰でも過ごしている日常にほかならない。この映画を退屈と思うかどうか、それは観る人の見方による。私は意外と気に入ったんですよ。

 本作は、自主映画を対象とした映画賞の第26回ゴッサム・インディペンデント映画賞の作品賞にノミネートされる。ちなみに「ゴッサム」はニューヨークのニックネームといわれる。

 ここでこの映画を監督したケリー・ライヒャルトに興味を持ちませんか? 彼女(そう女性です)は、フロリダのマイアミー・デイド・カントリーで警察官の家族として生まれ育つ。子供の頃から興味を持っていた写真を父親のカメラで撮り始めた。マサチュウーセッツ州ボストンにあるMuseum of Fine Arts に学び、2005年の夏、「OLD JOY」を監督。2006年サンダンス映画祭でプレミア上映される。ロッテルダム映画祭ではタイガー賞を受賞した最初のアメリカ映画となる。彼女はアメリカ人としては小柄で身長152cm。
     
キャスト
ローラ・ダーン1967年2月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
ミッシェル・ウィリアムズ1980年9月モンタナ州生まれ。
クリスティン・スチュワート1990年4月カリフォルニア州ロサンジェルス生まれ。
リリー・グラッドストーン出自不詳。
ジャレッド・ハリス1961年8月イギリス、ロンドン生まれ。

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