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うつ病の家族が起こす喜劇「クロッシング・マインド消えない銃声」2017年制作 劇場未公開

2017-12-31 16:11:25 | 映画

            
 実に分かりづらい映画で劇場未公開はうなずける。観終わって場面と場面をつなぎ合わせるのに苦労する。二女エリサ(ライリー・キーオ)がアイランド・キッチンでコーヒーを淹れてトルーマン・カポーティ著「ティファニーで朝食を」を指でなぞる。画面はここでカット。

 ずいぶん時間がたってからコーヒーを淹れるシーンから「ティファニーで朝食を」をなぞり、リビングを通って恋人の男がいる部屋へ。こういうカット割りには戸惑ってしまう。「ティファニーで朝食を」の本をなぞるまでのカットは必要ない。その意図が見えない。随所にこういうカット割りがあるから見る側からは混乱しかない。映画のテーマもうつ病だから、こちらもうつ病になりそうだ。

 ただ「ティファニーで朝食を」は、マンハッタンで暮らすポリーは華やかな世界に生きるパーティガール、いつでも自由気まま富と贅沢が大好きでお金持ちの男性との結婚を夢見ている女のお話。エリサの憧れる生活を示唆しているのかとも思う。

 それはさておき大きなお屋敷に住む家族は、母親ナンシー・グリーン(キャサリン・キーナー)、長男マックス(アントン・イェルチン)、長女マデライン(アニー・スターク)、二女エリサ(ライリー・キーオ)、三女リリー(ケイトリン・デヴァー)だった。それが今住んでいるのは母親のナンシーと三女のリリーだけ。リリーも精神科医にかかる軽度の病気を持っている。映画はこのリリーを中心に展開されていく。

 やがて家族がそろう時が来る。自殺未遂を起こしたマックス、出戻りのマデライン、歌手として成功しているエリサたちの帰宅。母親ナンシーのレズ、マックスのゲイという意味は何だろう。

 屋敷の近くにある木の橋の真ん中から、車が落ち込んでいるのをナンシーが発見する。男を引っ張り出して名前を聞く。「フランク・ハーパー」と名乗る。「警察に連絡する」と言って屋敷に戻り受話器を上げたが考え直す。拳銃を取り出して男のもとに戻って射殺する。それは今しがた二女のエリサから告白されたのが「フランク・ハーパーからレイプされた」だった。

 そしてマックスが拳銃を入れた袋を外のゴミ箱に捨てて、みんなで屋敷を後にする。いったいどこへ行くのだろうか。うつ病に限らず普通の家族とは言えない。

 オープニングで次のキャプションが出る。「人間は悲しみや激情から自らを守るために心の中に防波堤を築く。愛や仕事や家族、信仰に友情、否認、アルコール、ドラッグ、薬物療法それがいかなる手段であれ我々は生きている間、壁を築いていく。“躁うつ病を生きる”ケイ・レッドフィールド・ジャミソン」

 これをテーマにしたピア・ベダーセンは、出自未詳で本作では脚本・監督を務める。もともとは上級プロデューサー。

 エルビス・プレスリーの孫ライリー・キーオ、女優のグレン・クロースの娘アニー・スタークなど次世代を担う人もいるが、祖父や母を越えられるか。

 この映画が分かりずらいのは当然、うつ病がテーマだから健常者にはムリと言っているようだ。さらに邦題の「消えない銃声」の意味がさっぱり分からん。
  
監督
ピア・ベダーセン出自未詳

キャスト
キャサリン・キーナー1959年3月フロリダ州マイアミ生まれ。
アントン・イェルチン1989年3月ソ連、レニングラード生まれ。2016年6月19日自宅で自分の車と門に付いている郵便受けに挟まれて死亡。27歳だった。
ケイトリン・デヴァー1996年12月アリゾナ州フェニックス生まれ。
ライリー・キーオ1989年5月カリフォルニア州サンタモニカ生まれ。
アニー・スターク1988年4月コネチカット州生まれ。
モリー・シャノン1964年9月オハイオ州生まれ。
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