ジョージア州の小さな町パイクビルに住む姉サマンサ・クインと妹シャーロット・クインが遭遇した悲惨な事件から、28年後に真実が明らかになる。
ある日、二人の男が訪れる。姉妹の父親に用があるらしくショット・ガンを携えている。不在と知るや姉妹にレイプしようとしたので、母親のハリエット・クインが娘たちの盾になるが、非情な男の銃弾で斃れる。
姉妹は奇跡的に命拾いをするが、姉サマンサは、両目、脚に傷を負い、頭を撃たれて父ラスティが放り込まれる筈だった墓穴に埋められる。
妹シャーロットは、一人の男にレイプされ大事なところにナイフの柄を突っ込まれ子供を産めない体にされながら、森の中を傷だらけになって助けを求めた。サマンサが生きているのは、暴漢の一人が裏切って助けてくれたからだ。
28年後、サマンサはニューヨークで特許法律事務所の弁護士。シャーロットは地元で父親と同じ弁護士。父ラスティ・クインは、麻薬の売人、性的暴行犯、殺人者、強盗、車泥棒、小児性愛者、誘拐犯、銀行強盗などの犯罪者を弁護する。すべてがうまくいくとは限らないから、恨みを買うこともある。この暴漢二人組の要求は、弁護士費用2万ドルをチャラにせよというもの。こんな身勝手なことを言えたものだ。
たまたま不在だった父親の代わりに、妻の犠牲と娘二人が被害にあった。そのラスティも後日、ナイフで刺される。疎遠だった姉妹がこれを機縁に再会するが、不幸なことにラスティが息を引き取る。
残された姉妹には28年前の事件が、体のそこここに残り心の片隅にも影を落とす。肉親といえども理解し合えるとは限らない。この本の主題がここなのだ。著者のカリン・スローターは、巧妙なプロットで読む者を魅了する。
カリン・スローターは1971年生まれの50歳、現在アトランタに在住。作品が27編。2018年刊行の「彼女のかけらPieces of her」がNetflixでオリジナル作品として公開が予定されている。ただ、アマゾンの書評にはバラツキがあるが、ドラマ化は別物として期待したい。