製作費5000万ドル、興行収入約330万ドルで興行的には失敗作。評価も平均値が41点から46点、支持率24%というから評判の程が知れる。
1933年スターリン政権がウクライナに招いた飢饉で日に2万5千人が餓死した。この飢えによる虐殺“ホロドモール”は多くの孤児を生んだ。
その孤児の一人が孤児院を脱走した。森の中でソ連軍に保護され、司令官が「レオ」と命名した。
1953年、そのレオ(トム・ハーディ)はMGBつまり国家保安省の一隊を率いるリーダーとなっていた。この時代のレオは、反抗分子やスパイを厳しく取り締まっていて権力に溺れ、強引に言い寄ってライーサ(ノオミ・ラバス)を妻としていた。
子供が森で死亡する事件が頻発する。レオは、殺人事件だと思い始める。上司に言っても、「ソビエト連邦には犯罪は存在しない」という建前で、列車事故の報告書にするように要請される。
ネステロフ将軍(ゲイリー・オールドマン)とともに捜査を行う。犯人を追い詰めた森の中で対峙しているとき、いきなり犯人の頭が撃ち抜かれる。撃ったのはワシーリー(ジョエル・キナマン)だった。
このワシーリーは、裏切り者とされた獣医を追って山中の友人の家に踏み込んだとき、子供二人の前でその両親を射殺した。踏み込むときレオは「撃つな!」と命じていた。にも拘らずこのワシーリーは撃った。レオはワシーリーの顔面にびんたを飛ばした。それを根に持つワシーリー。
今度も邪魔をしたワシーリー。レオとワシーリー、それにライーサも加わって泥だらけの死闘となった。ワシーリーが斃れたとき、ワシーリーの部下が迫った。レオは機転を利かせて「ワシーリーの手柄だ」と言ってワシーリーの死を殉職にした。
1953年3月スターリンの死によって時代が変わった。MGBに復帰したレオは、司令官から「君の昇進は私が決める」の言葉を受けて、モスクワ殺人課新設とネステロフ将軍を迎えることの言質を取った。
そしてレオとライーサ夫妻は、ワシーリーが見せしめと言って射殺した夫婦の子供を養子として育てることにする。その子供たちもそれを受け入れた。
エンディングはとってつけたようだが、レオの生き様とライーサの変貌を暗い画面に乗せて、レオ、ライーサ、ワシーリーの個性が描かれていてよかった。必見の映画ではないが、観て損をするということもない。
ちなみにこの映画は、ロシアでは史実をゆがめているとして上映中止になったらしい。
劇場公開2015年7月
監督
ダニエル・エスピノーサ1977年3月スウェーデン生まれ。
キャスト
トム・ハーディ1977年8月ロンドン生まれ。2014年「オン・ザ・ハイウェイ その夜86分」でLA批評家協会賞男優賞受賞。2015年「レヴェナント・蘇りし者」でアカデミー助演男優賞にノミネート。
ゲイリー・オールドマン1958年3月ロンドン生まれ。2011年「裏切りのサーカス」でアカデミー主演男優賞にノミネート。
ノオミ・ラバス1979年11月スウェーデン生まれ。
ジョエル・キナマン1979年11月スウェーデン生まれ。海外ドラマ「The Killing」シリーズに刑事役で出演。
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