憎む相手と交流するに従い相互理解が深まるというお話。1892年荒野の一軒家にコマンチ族が襲い掛かり、一家皆殺しを企てた。夫・子供三人が犠牲に、ただ一人生き残ったのが妻であり母親のロザリー(ロザムンド・パイク)。
その地方の砦にはインディアン討伐に勇猛をふるったジョー・ブロッカー大尉(クリスチャン・ベール)がいた。「軍人は殺すのが仕事だ」と言って憚らない。そのブロッカー大尉にシャイアン族の首長イエロー・ホーク(ウェス・スチュディ)がガンで余命いくばくもないことから、故郷モンタナ州にある熊の渓谷まで護送する大統領令が発せられた。大尉はしぶしぶ受けるしかなかった。
途中一家惨殺されて生き残ったロザリーを助け出し同道する。長い旅の間にはコマンチ族の襲来もあったが、共に戦い寝食を共にすることで相互理解と友情すら生まれる。そしてブロッカー大尉とロザリーの間にも微妙な感情の渦が起き始めた。
西部劇で楽しいのは馬の疾走だろう。馬の走る姿がキレイだ。この映画にはそれがなかった。しかし、山の穏やかな稜線を馬に乗った人々が行くショットや荒野を大俯瞰するショット、朝日が昇る場面を観ながら、これがロケーションであることを望まずにはいられない。
そしてラストシーンが気に入った。シカゴ行きの列車に乗るために駅までロザリーを送ってきたブロッカー大尉。プラットホームで別れの言葉。ロザリー「ありがとう……」あとの言葉が続かない。列車に乗り込んでも言い残したくないという素振りで「ありがとう……」で車内に消えた。
うなずいただけの大尉は、何か考えているようなのだ。列車が動き始めると大尉は、ゆっくりと歩きながら最後尾の列車のステップに乗り込んだ。やがてドアを開けて車内に消える。ロザリーの満面の笑みが見えるようだ。この映画、批評家の評価が高いようだ。
監督スコット・クーパー 1970年ヴァージニア州アビントン生まれ。
音楽マックス・リヒター 1960年ドイツ生まれ
撮影マサノブ・タカヤナギ 高柳 雅暢 群馬県高岡市出身。2011年ハリウッドデビュー
キャスト
クリスチャン・ベール1974年イギリス、ウェールズ生まれ。2013年公開の「アメリカン・ハッスル」でアカデミー賞主演男優賞を受賞。
ロザムンド・パイク1979年ロンドン生まれ。オクスフォード大学で英文学を学び、優秀な成績で卒業。2014年の「ゴーン・ガール」でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされた。
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